コメ生産コスト指標はコメ相場の下支え機能を発揮するのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2026年3月10日
米穀機構は3月6日に第4回コスト作成等委員会を開催し、令和8年3月6日時点の各段階のコメのコスト指標の価格を策定した。それによると生産段階のコスト指標は2万0437円(60kg玄米 税込み、以下同)、集荷段階は2544円、卸売段階は2346円、小売段階は5028円になっている。1年前に比べると生産段階が3.6%、集荷段階が2.9%、卸段階が2.8%、小売り段階が3.1%値上がりしている。
コメのコスト指標は食料システム法に位置付けられた極めて重要な指標であり、今後のコメ取引において考慮されなければならない意味を持っている。すでに与党は農水省に対してこの米コスト指標を政府備蓄米買入価格策定において考慮するように求めている。

米コスト指標とはどのようなものなのか?今後の米取引において大きな意味を持つと想定されるので長くなるが、コスト指標作成委員会がまとめたものを最初に記しておきたい。
【趣旨・目的】
○食料システム法では、食料全般の取引を対象として「 費用等の考慮を求める事由を示して協議の申出があった場合 、誠実に協議に応じること」等の努力義務が課され、この努力義務が果たされているかの判断基準(協議の速やかな開始、協議において取引条件の一方的な決定を行わないこと等)に基づき指導・助言等の措置が講じられる。
○同法に基づき、指定飲食料品等(米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆)について、農林水産大臣が認定した団体により コスト指標が作成・公表されると、取引条件の協議においてコスト指標を合理的な根拠のあるものとして活用することが可能となる。
○これにより、費用を考慮した取引が行われることを通じて、米を含む食料の持続的な供給の実現を図る。
【コスト指標の活用】
○取引価格は需給状況や品質評価が適切に反映され、当事者間で決定されるもの。
○実際の取引の場においては、必要に応じて各産地においてコスト指標を参考に個別のコストを整理・提示し、交渉が行われることを想定。また、取引では自らの利潤やブランド力も加味した交渉が必要。(地域別・地帯別等の作成は、各産地の実状を踏まえ、それぞれの産地で対応を検討)
○米においては、生産者が買い取りを行う事業者に対して直接交渉する場合や、集荷業者や卸売業者がそれまでの各段階で増加したコストを踏まえた交渉が行われることを想定。
○消費者に対しては、生産から販売までの各段階の果たす役割や、各段階でどれくらいのコストがかかっているのかが周知されることが重要。
○コスト指標はコストの積み上げ値であり、利潤を含まないもの。また、取引における価格を約束するものではなく、取引において参照される指標である。
食料システム法の施行に向けたスケジュールでは4月1日から取引適正化に係る制度が施行されることになっており、フードGメンよる指導の開始やコスト指標作成団体によるコスト指標が作成され公表されることになっている。重要なことは、農水大臣は「適切な実施を確保するための必要な場合、指導・助言(法第38条)」、「実施状況が著しく不十分な場合、実態の改善を勧告(法39条第1項)」→「勧告に従わない場合、事業者名、勧告した旨を公表(法第39条第2項)」→公正取引委員会への通知されることになっている。また、報告徴収・立入検査に従わないと罰則規定まである。
それ以前に米の価格に直接的に影響する。冒頭に記したように与党は国に対して「令和8年産米の買入価格については、合理的な価格形成に向けた取引を促していることも踏まえ、今後の対応を検討すること」と言う要請を行っている。3月6日時点で米コスト指標作成委員会が示したコストは生産者段階と集荷段階の価格を合計して税別にすると2万0892円になる。驚くべきことに江藤大臣の時に買戻し条件付き政府備蓄米の売却価格は平均で2万0812円であった。偶然にしてはあまりにも良く出来過ぎている。
今月中には公表されると見込まれる8年産政府備蓄米買入入札の上限価格がこの価格になっても不思議ではない。仮にそうなった場合この価格が8年産米の下値の目途になるのか? 産地側としては8年産米の主食用米の価格のみならず、加工用米など制度米穀の販売価格を決める際にこの米コスト指標に基づいて策定することが最も合理的だと判断するだろう。
実際、8年産米の概算金の「保証価格」を策定している産地では、最低下限価格をコスト指標に置いているのではないかと見受けられるところがある。しかしながらコメの取引価格はあくまでも市場動向で決められるものであり、マーケットで決まっていく。マーケットの価格が間違っているとして法を楯に価格を捻じ曲げることが出来るのだろうか。
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