「所得補償制度」与野党で賛否真っ二つ 令和の百姓一揆実行委が政党アンケート 2026衆院選2026年2月2日
高市政権発足後初の総選挙。農政公約は有権者の審判にどう響くのか。農業・食料政策に関する政党アンケートでは、「所得補償制度」についての意見が与野党で割れた。自民党は慎重、野党は前向きだ。若者の新規参入支援では回答した全政党が前向きだった。
令和の百姓一揆実行委が実施
アンケートを行ったのは、日本の食と農を守る運動を展開する令和の百姓一揆実行委員会(菅野芳秀代表)。
自民党、参政党、社民党は今回回答がなく、昨年7月の参議院選挙時に行った回答を引用した。立憲民主党と公明党で結成された中道改革連合(中道)は立憲民主党からの回答で、日本維新の会は回答がなかった(1月30日現在)。
質問は3問で、食料自給率、新規就農支援、所得補償について聞いた。
食料自給率 国民、れいわ、共産、社民が「50%(以上)に」
日本の食料政策は、輸入依存体制の維持と自給率向上、どちらを優先すべきと思うかという質問には、自民党だけが「その他」と回答し、全野党が「国内自給率の向上」と回答した。
自民は「国内生産力向上を推進するとともに、安定的な輸入と備蓄を確保します」とした。国内生産だけでなく輸入、備蓄も含めトータルで食料安保を確立しようとする考えだ。それに対し野党各党は、「自給率向上により、食料安全保障を確保し、農林水産業の持続的発展をめざします」(中道)などとし自給重視のスタンスを示した。国民と社民は50%、れいわは「まずは50%」、共産は「早期50%、引き続き60%」と数値目標も示した。
新規就農支援 全党が賛成、国民・れいわは対象拡大
若年層の新規就農促進策の必要性については、回答した全政党が「必要」と足並みを揃えた。自民は「経営発展のための機械・施設等の導入に係る支援を行うとともに、新規就農者に対する資金の支援や、地域のサポート態勢の整備、農業大学校・農業高校等の農業教育の充実、雇用環境の改善に取り組む農業経営体の支援等を実施」と具体的なメニューを並べた。
これまで専業農家中心で49歳以下との条件もあった新規就農者支援から、「支援の対象を広げる」ことを打ち出すのは国民とれいわだ。国民は「移住者や二拠点居住」の人に譲渡所得の税制優遇や住宅ローン減税の拡充をし、兼業農家や「半農半X」など多様な農業人材も国による支援対象とすることを唱える。れいわは「49歳までの新規就農支援の対象者の年齢引き上げや新規就農支援の増額」を提案する。共産は「新規就農者総合支援法」(仮称)の制定を提案した。
減税日本・ゆうこく連合(減ゆ連)は「儲かる農業を目指し、輸出拡大と技術革新で種子種苗と土壌を大事にした政策を強く進めていく」と訴える。
自民VS野党―所得補償制度で割れる公約
所得補償については「欧米諸国では、農業の安定経営と地域の持続可能性を支える制度として、農業者への直接所得補償が広く導入されています。日本も農家の所得を補償することにより、農業を守り食料を安定的に確保すべきだと考えますか?」と質問した。
自民は「所得補償は創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、農地集積、集約化も阻害される恐れもあります」と唯一、所得補償制度のマイナス面を指摘。「品目ごとの経営安定政策、日本型直接支払等きめ細やかな支援を講じるとともに、基盤整備、共同利用施設整備やスマート農業の推進などを図り、農業・農村政策の所得増大を目指します」とした。合理的価格形成で「所得」ではなく「価格」を適正化するとともに、農地集積、生産性向上を進めることで「稼げる農業」を実現するというシナリオだ。
それに対し野党側は、農家と農地を守ることを重視する。これ以上離農が進めば「稼げる農業」どころではないし、農業には市場価格に転嫁されない多面的価値があることも重視する。
中道は「食料と農地を守る直接支払『食農支払』(食料確保・農地維持支払)制度の創設が必要」とし、米価格が急落する恐れがある場合には「米のトリガー(主食用米直接支払)を発動」すると説明する。旧民主党政権の戸別所得補償のバージョンアップといえる(中道の公式サイトの「衆院選主要政策」第3の柱にも、食農支払、米のトリガーは明記されている)。
国民も「適正な価格形成に向けた環境整備を消費者の理解を得ながら進めるとともに、『食料安全保障基礎支払』(稲作:20,000円/10a、畑作・果樹10,000円/10a、含「洪水防止機能加算」)を創設するなどし、直接支払い制度を再構築するという。れいわ、社民も所得補償制度を「最優先」(れいわ)、「基本政策」(社民)と位置付ける。
共産は「主な農産物に他産業なみの労働報酬と生産費をカバーする価格の保障と、農業のもつ環境保全など多面的機能に配慮した所得補償を組み合わせて農業を支える」と価格政策と所得補償との組み合わせを提案。参政は「公務員並みの所得水準を目指す」とする。
このアンケートにはないが、総選挙では「消費税減税」「食品の消費税ゼロ」の是非が、財源も含め焦点になっている。総選挙での議論が有権者の投票行動に反映するとともに、こうした公約が総選挙後の国会内外での議論を通じ政策に結実し、農政が前に進んでいくことが期待される。

1月30日現在、「令和の百姓一揆実行委員会」の公表資料から編集部作成
※自給率向上、新規参入支援が必要、所得補償が必要との回答を「○」、それらに反対を「×」、その他を「△」とした
※自民、参政、社民は昨年参院選時の回答、立憲と公明党とが創設した中道は立憲の回答、日本維新の会は未回答、減ゆ連は減税日本・ゆうこく連合の略
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