消費減税の次の経済政策が見えない【森島 賢・正義派の農政論】2026年2月2日
●選挙公約は消費減税の一本鎗
衆院選は、あと1週間で結果が出る。自民と中道が、第1党を奪いあうのだろうか。
自民には、防衛費をGDP比2%へ増額する軍拡計画を2年前倒しで実施した、などの実績がある。中道など他党の多くは、それを厳しく批判しなかった、という実績がある。
防衛・安保政策に、こうした重大な問題があるが、ここでは、もう1つの重大問題の経済政策について考える。
選挙後の日本は、経済政策をどうするのか。日本社会の基本を作る経済政策をどうするのか。各党は、そのために、どんな公約をしているか。
そこのところが分からない。公約を熟読せよ、というのだろうが、ほとんど全ての党が公約したのは、消費減税である。そして、ほとんど全ての党が、消費減税の次に続く経済政策を示していない。次に続く経済政策は、各党でこれから議論するしかない。呑気なものだ。
消費減税は不必要、というわけではない。だが、消費減税さえすれば、その後の経済は、何もかもうまくいく、というのだろうか。消費減税は対症療法であって、根治療法ではないのだ。
●新政権はどんな経済政策をとるか
市場は、どう反応しているか。市場は、選挙の途中からすでにトリプル安を演じている。つまり、株式市場、為替市場、債券市場の3市場が、同時に値下がりしている。
これは、市場が発した、選挙後の消費減税の後の経済破綻を予想した防衛策であり、社会への警告である。
新政権は、選挙後に、どんな経済政策をとるのか。
●失われた30年は何だったのか
新政権が、消費減税の後にとるべき経済政策は、賃金の下落と経済の停滞の悪循環から脱出することではないか。失われた30年の経済政策からの決別ではないのか。
下の図を見てみよう。

この図は、失われた30年について、社内留保金の推移をみたものである。資料は厚労省の「法人企業統計」である。
図の縦軸は、その金額である。●印の大きさは、その金額に比例して大きくした。くどいようだが、その特徴を強調して見易くするためである。
この図をみると、この30年間、膨大な資金が企業内に溜り続けてきたことが分かる。そして、2025年3月末には、637兆円にまで膨れた。
これは、GDPの609兆円を超えている。だから、国民全部が1年間遊んで暮らせる、というほどの金額である。人口1人あたりにすると、520万円になるほどの膨大さである。
これは、この30年間の、苛烈で強度な労働搾取による、恥ずべき結果である。人間性のある資本家なら、自分が犯した罪の大きさに畏れ慄くだろう。
●失われた30年からの脱出
これに対して、政治は、どうすればいいか。
いま政治に必要なことは、失われた30年からの脱出である。失われた30年の経済政策の否定である。
失われた30年の経済政策は何であったか。その目指すものは、低賃金による利潤の追求であり、それによる経済の発展である。この政策が、失われた30年の経済政策の根底にあった。そして失敗した。
●賃上げ⇒技術開発⇒経済発展へ
対置すべき経済政策は何か。それは、最低賃金の大幅な引き上げによる賃上げである。それに加えて、非正規労働をなくすための労働規制の強化による、低賃金労働の禁止である。
それには、前の図で示した内部留保金を原資にすればいい。それだけではない。内部留保金を使って、技術を開発し、コストを削減すればいい。
失われた30年の経済循環は、
経済停滞⇒低賃金⇒経済停滞
という悪循環だった。これを、
賃上げ⇒技術開発⇒経済発展⇒賃上げ
という好循環にすればいい。
この好循環を進めることを、何党が基本政策にするか。公約に追加するか。
いまからでも遅くない。まだ1週間ある。
(2026.02.02)
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