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原発再稼働をめぐる動きがにわかに活発に 高市内閣は"原発亡国内閣"2025年12月8日

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高市内閣になってにわかに原発再稼働の動きが活発になってきた。先月、新潟県では花(はな)角(ずみ)英世知事が東京電力ホールディングス(以下東電)柏崎刈羽原発の再稼働を容認することを表明し、この動きに呼応したかのように、北海道でも鈴木直道知事が北海道電力(以下北電)泊原発の再稼働を容認した。次の焦点は茨城県の東海第二、という報道もある。そこで、これらの動きを整理し、何が問題なのかを見てみる(客員編集委員 先﨑千尋)

柏崎刈羽と泊原発で再稼働の動き

まず柏崎刈羽原発から。

同原発は、2011年3月に福島第一原発で事故を起こした東電が新潟県柏崎市と刈羽村に立地している。1号機から7号機まであり、85年に稼働を始め、合計出力は821万2000kw。世界最大の原発だ。ほとんどを首都圏に送電している。原発の安全審査を行う原子力規制委員会は、17年末に6号機は福島事故後に定めた新規制基準を満たしたと認めた。花角知事は先月21日の記者会見で同原発の再稼働を容認する考えを表明し、現在開かれている県議会での議決を経た上で、政府と東電に正式に地元同意を伝達する方針だ。

知事は、原発の必要性や事故対策を県民に丁寧に説明すること、事故時の避難道路の整備、東電への監視活動など7項目を政府に確認した上で、「再稼働について了解する」とした。

県議会では再稼働容認の意見が強い自民党が過半数を占めているので、知事の判断は信任される見通し。これで、早ければ来年1月にも6号機の再稼働が見込まれる。原発が動けば1基当たり年間1000億円の収支改善効果があるという。東電は10月に、全7基のうち1、2号機の廃炉検討や地域経済活性化のために、1000億円規模の資金拠出を県側に示している。

知事は県民の意思を無視

花角知事は、再稼働の判断に当たり、当初から「県民の意思を見極め、リーダーとして判断し、その判断について県民の意思を確認する」と発言してきた。県が9月に実施した県民意識調査では、県全体で再稼働の賛否が拮抗し、再稼働の条件が現状では整っていないという回答が6割に上っている。

また、新潟の地元紙「新潟日報」が知事の再稼働容認の考えを示した会見後に緊急アンケートを実施しているが、その結果は「知事の判断を支持しない」との答えが78%にのぼり、「支持する」の20%を大幅に上回った(11月28日)。県民の過半数が「再稼働できる状態ではない」としているのに容認するのは、県民の意思を無視する行為という意見が強いことを示している。

県民の意思を確認する方法として、知事は当初、知事選や県民投票を考えていたようだが、負けたときのことを考え、県議会で信任を得ようとしたことも知事に対する不信感につながったようだ。同調査では「福島事故を起こした東電が再び原発を運転することに不安を感じるか」と問うているが、83%が「不安を感じる」と答えている。県民調査でも約7割が「心配だ」と答えている。

同原発では、21年に社員によるIDカードの不正利用などテロ対策不備が発覚し、最近もテロ対策に関する機密文書を社員が無断で持ち出したことが判明している。福島事故を起こした後も重大な不祥事を重ねる企業に、安心して原発の運転を任せることはできないというのが多くの県民の考えであろう。原発の再稼働に好意的な「日本経済新聞」ですら「県民の不信は払拭されていない。信頼回復は途上」と社説で書いている(11月22日)。

原発30㌔圏にある長岡市の磯田達伸市長はこれまでに「東電に不信感を持つ県民が多いので、再稼働の判断を下すのは時期尚早」だと、花角知事に伝えていた。

東電に運転資格はあるのか

再稼働に舵を切った柏崎刈羽原発。福島県の人たちはこの動きをどう見ているのか。

同県飯舘村で生活基盤を奪われたため、菅野哲さんらが国と東電を相手取り損害賠償を求め訴訟を起こした裁判は、裁判長の和解勧告を受け、東電と和解し、11月23日に東京電力側が菅野さんに社長名の謝罪文を手渡し、決着した。

菅野さんは今回の柏崎刈羽原発の再稼働の動きを見て、「東電は福島事故を起こし、福島県民を犠牲にした。復興も補償もまだ終わっていない。東電に原発を動かす資格などない。運転は絶対にやめてほしい。訴訟で和解したことは悔しいけれど、原告の高齢化などを考えると仕方がないと判断した」と怒りをあらわにする。

日本原子力発電㈱で理事を務め、福島第一原発の事故で帰還困難区域に指定された同県大熊町から須賀川市に移住した北村俊郎さんは「再稼働には賛成だが、慎重に動かしてほしい。東電はいまだに、社員がルール違反をしたり、メーカーや下請け任せにしたりという体質があり、そう簡単には直らないと思う。さらに、国や地方自治体には事故対応能力がないことが福島事故で明らかになった。避難について最悪の想定が甘い」と指摘している。

北村さんが心配している避難方法などについては、今回の一連の報道を見ていると不十分というより欠落しているのではないか、と言わざるを得ない。昨年の能登半島地震の際、道路の寸断や水など生活インフラが崩壊したことから考えると、冬の雪対策など、余りにも課題が多いのではないか。また、地域の重要な産業である農業、農村がどうなるのかについての言及が全くないのも気がかりだ。県議会に信を問うというのも、筋違いではないか。

拙速な道知事の表明

次に、北海道の泊原発。泊原発は北海道泊村に位置し、北電が所有する。1号機から3号機まであり、出力は207万kw。59年に運転を始めている。3号機は09年に営業運転を始め、東電福島第一原発の事故後の12年から止まっている。

この泊原発について、北海道の鈴木直道知事は先月28日の道議会で「原発の活用は、当面取り得る現実的な選択と考えている」と述べ、再稼働を容認した。同原発の再稼働には「地元の同意」が必要とされ、国は8月、道と立地・周辺の4町村に同意を要請し、泊村長らが同意を表明していた。道が同意すれば、北電が目指す「2027年早期の再稼働」が大きく進むことになる。北電は、新しい防潮堤が完成するなど必要な安全対策が終わる27年中に再稼働させたい考えだ。

これに対し、立憲民主党や共産党など野党系の道議は鈴木知事に対し、道議会で議論を尽くす前に再稼働に関する意向を表明しないよう求める文書を提出。事故対策や避難計画が不十分で多くの住民が不安を抱いている、とした。北海道では住民の意向調査も実施していない。

鈴木知事はなぜこの時期に表明したのか。知事の背中を押したのが、花角知事の東電柏崎刈羽原発再稼働容認表明だ。また、27年に北海道千歳工場での量産体制を目指す次世代半導体メーカー「ラピダス」も背景にあると見られている。

この鈴木知事の再稼働容認表明に対し「北海道新聞」は、社説で「原発の安全神話はすでに崩壊し、過酷事故が起きれば道民の生命は危険にさらされる。1次産業や観光に立脚する北道は致命的な打撃を受けかねない。知事の表明は拙速であり、到底受け入れられない」と糾弾する(11月29日)。

社会学者の上野千鶴子東京大学名誉教授は、12月3日までにXで「補正予算18.3兆円のうち国債という名の借金が17.7兆円。高市『亡国』内閣と呼びたい」と発信している。

原発が一たび暴発すれば、その地域や日本社会に重大な被害をもたらす。原発再稼働の旗を振る高市内閣は"原発亡国内閣"ではないか。

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