農薬:サステナ防除のすすめ2025
【サステナ防除のすすめ】IPM防除の実践(病害編) 生態系、環境に配慮(3)耕種的防除法2026年2月13日
「サステナ防除のすすめ」の主体となるIPM防除技術であるが、化学的防除以外の防除法は、病害、虫害、雑草ごとに異なるのでそれぞれで整理しておいた方が防除戦略への活用が検討しやすくなると考えている。そこで、病害編、害虫編、雑草編の三つに分けて整理してみようと思う。まずはじめに病害防除に使用するIPM防除技術を整理してみよう。
(3)耕種的防除法
耕種的防除法とは、抵抗性品種や輪作、肥培管理や栽培時期の移動など、実際の栽培技術の工夫で病害を防除するものである。以下、技術ごとに概要を紹介する。
①抵抗性品種の利用
抵抗性品種とは、人間にも病気になりにくい人がいるように、作物にも病害にかかりにくい品種がある。このことを抵抗性品種といったり、耐病性品種といったりしているが、実は、抵抗性と耐病性は似たようにみえて、病害のかかりにくさには差がある。厳密にいうと、抵抗性とは病原菌がやってきても感染せず病徴も出ないくらい強いものをいい、耐病性とは病原菌の数が少なければ発病しなかったり、感染したとしても軽い症状ですむ程度のものをいう。病害へのかかりにくさでは、抵抗性の方が耐病性よりも強い。種苗会社によっては同列に扱っているところもあるので説明書をよく読んで判別するようにしなければならない。
ただし、抵抗性・耐病性品種といえども万能ではないので、「発病する可能性があり病害の劇症化を抑える効果がある」といった程度の効果と認識し、できるだけ他の防除法を組み合わせて防除体系を組み立てる方が効率の良い防除が実施できる。
②土壌のpH調整
土壌病原菌には多くの種類があり、それぞれが生育するための好適条件を持っている。その一つが土壌pHであり、ある病原菌は酸性を好み、ある病原菌はアルカリ性を好む。適宜土壌pHを計測し、作物の生育に適したpHの範囲内で、病原菌の嫌うpH域にしてやることで病害の発生を防ぐことができる。
例えば、アブラナ科野菜根こぶ病は、強酸性を好み、中性から弱アルカリ性では極端に発生が少なくなるため、酸性土壌になっていたら、石灰質肥料を投入して酸度を矯正し、中性に近くすることで同病の発生を大きく減らすことができる。
③輪作
主に連作障害を回避するための方法で、科が異なる作物を輪番に植え付けることにより、特定の病原菌が増殖するのを防ぐ方法である。いったん連作障害が出始めると徹底した土壌消毒や抵抗性品種の植え付けなど労力とコストのかかる作業が必要となるので、そうなる前に特定の菌を増やさないようにする輪作が有効である。
同じ科の作物とは、例えばアブラナ科であれば、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、カブといった作物があるので、キャベツのあとにハクサイを植えるのは同じ科の連続になり、作物が違っても連作したのと同じことになる。
また、病原菌、特に土壌病原菌は、土壌の中での寿命は3年から5年程度と長いので、輪作において同じ科を植えない期間を最低3年間は設けるようにした方が良い。
④混植
混植とは、科の異なる複数の作物を同じ場所で育てることをいい、作物の畝間に違う作物を植えるの間作というが、一般に同じほ場で違う作物を植えている場合には混植と呼ばれることが多い。作物の組み合わせによっては、病害虫を寄せ付けない効果があったりするのでバンカープランツと呼んだりしている。
組み合わせるときは、根の張り方、光要求量、養分吸収量など特性の異なる作物をうまく組み合わせる。有名なものでは、ユウガオつる割病の防除対策にネギやニラを混植する方法がある。
⑤中間宿主の除去
病原菌には、自分が生活する作物(植物)を時期によって変えるものがある。この時、作物に病原菌がやってくる前に寄生する植物のことを中間宿主という。
例えば、梨の大敵、赤星病があげられる。赤星病は、秋から冬の間にはビャクシン類に寄生しており、春が来て梨の開花が終わり新葉が出る時期になると、ビャクシンから梨に移り住んで梨に病斑をつくり被害を起こす。
このため、梨園の近くにビャクシン類がなければ冬の間の居場所がなくなり、結果として梨に被害を起こすことが無くなる。
⑥肥培管理
〇ケイ酸質資材の利用
ケイ酸質資材は、ケイ酸を含む資材の総称で、稲には必須の栄養素でもある。このケイ酸質資材を作物が吸収すると、表皮が固く丈夫になり、病害が侵入しにくくなる体をつくることができることを利用しており、特にイネいもち病の発生が起こりにくくなるなどの効果が認められている。
〇窒素施用量
窒素が多いと葉色が濃く、やわらかくなる傾向がある。植物病原菌は、この葉色が濃い状態を好み、病害の発生は窒素施用量が多い方が多くなる傾向にある。土壌診断などにより適正な窒素量を把握した上で、作物の生育に必要な分だけ施肥する適正施肥を徹底する。
〇土づくり
有機質を含み、腐植が多い土壌であれば、土壌中の微生物の種類も多くなり、病原菌の密度も減らすことができる。また、土づくりによって健全な作物をつくることによって、作物自体のもつ抵抗力も高められ、強い作物の育成に役立つ。
⑦栽培時期の移動
病害の発生時期は、病原菌の生活環によって異なる。このため、病原菌が活動しない時期に作物を育てることができれば、病害防除が可能になる。しかし、現実には、病害が発生しない時期には作物も育ちにくいので、栽培が難しく、実際には採用されることは少ない方法である。一つでも防除対象が減れば、防除体系の組み立ても楽になるので、可能性があるような場合は一度栽培時期の変更について検討材料にするとよい。
(4)化学的防除
化学的防除とは、化学物質を用いて行う防除のこと、一般的には農薬を使用して行う防除のことをいう。病害防除では、殺菌剤が使用される。殺菌剤は、文字通り病原菌に作用して作物を病害から守るものである。その有効成分は大きく分けて、化学合成によってつくる化学合成農薬と銅や硫黄などの天然物や食品添加物などを原材料とする農薬の2種類がある。
このうち、銅や硫黄は、有機農産物にも使用できる農薬として認められており、一般的にも使用回数がカウントされない。IPM防除では生物農薬と組み合わせてよく使われている。
ただし、銅や硫黄は予防効果主体の成分なので、①必ず病害の発病前に使用すること②微生物農薬との併用の際には微生物農薬の注意書きを厳守すること③薬害が生じやすいので注意事項を守って用法・用量を守ることの3点を厳守してほしい。
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