JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(77)土壌吸着の仕組み【今さら聞けない営農情報】第343回2026年4月4日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。前回までに、除草剤の選択性や作用機作をご紹介しましたが、これらに加え、処理する際の環境条件が除草剤の効果や薬害に大きな影響を与えますので、除草剤を上手に使うためにはこのことも知っておく必要があります。
これまでご紹介してきましたように、除草剤はその有効成分が雑草に接触してはじめて効果を発揮します。このため、雑草を漏れなく枯らすためには、ほ場の土壌面に均一に除草剤成分が存在するようにしなければなりません。その時に重要な特性が土壌吸着です。
除草剤成分が土壌に吸着する仕組みは、化学的吸着(イオン吸着)と物理的吸着(ファンデンワールス結合)の2つがあり、どちらの吸着をするかは、除草剤成分の化学構造によって変わります。
前者の化学的吸着は、土壌がマイナスに帯電しているために起こります。つまり、除草剤成分がイオン化してプラスに帯電するものであれば、マイナスの土壌に引き寄せられて土壌粒子に吸着することになります。
後者のファンデンワールス結合は、すべての分子や原子間に働くもので、電荷を持たない中性粒子間に働くファンデルワールス力(引力)による結合です。分子量が大きいほど強くなりますが、イオン結合に比べれば桁違いに弱い結合力しかありません。このため、イオン化しない除草剤成分の場合は土壌吸着力は一般的に小さくなります。
この土壌吸着力は土壌の性質(土性)によって異なり、火山灰土や粘土、腐食土が土壌吸着力が強い土壌です。このような吸着力の強い土壌に処理された除草剤の有効成分は土壌で移行しにくくなるので、これらの土壌では、除草剤の成分が土壌表面に留まりやすくなります。
大部分の除草剤成分は、土壌に処理されたのち水によって移行し均一な処理層を作りますので、土壌吸着力の強い土壌では、有効成分の薬量を十分に保った除草剤処理層をつくりやすくなります。
(つづく)
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