JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(70)アミノ酸合成阻害【今さら聞けない営農情報】第336回2026年2月14日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。現在、除草剤の生態に合わせた上手な使用方法を紹介していますが、除草剤の上手な使い方を理解するためには、雑草の生態に加え、除草剤の選択性や作用機作も知っておく必要があります。
現在、除草剤の作用機作を紹介しており、今回は、アミノ酸合成阻害を紹介します。
雑草は、主に葉緑体の中でグルタミン酸の合成を出発点としてアミノ酸合成を行います。この合成された各種アミノ酸が生命活動において重要な役割を果たし、アミノ酸の合成が妨げられると正常な生命活動が行えなくなり、雑草は枯れてしまいます。
アミノ酸合成阻害の作用機作を持つ除草剤は、アミノ酸合成で働く各種酵素の働きを阻害することでアミノ酸を作れなくさせて殺草効果を発揮します。例えば、スルホニルウレア系の除草剤は、バリンやロイシン、イソロイシンといったアミノ酸の生合成経路で働くアセト乳酸合成酵素(ALS)を阻害して殺草効果を発揮します。その他、グリホサートは、トリプトファンやフェニルアラニンの生合成経路で働く5'-エノールピルビニルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)の働きを阻害しますし、グルホシネートはグルタミン酸合成酵素を阻害して殺草効果を発揮します。このように、除草剤によって阻害対象とするアミノ酸合成酵素が異なっています。ただし、これらのアミノ酸合成経路は作物を含めた全ての植物に存在するものでありますので、後述のグリホサートやグルホシネートなどは、散布されると全ての植物を枯らすため、非選択性茎葉処理除草剤などと呼ばれます。このため、作物の立毛中でこれらを使用する場合には、作物に絶対にかからないように注意する必要があります。また、アミノ酸合成阻害剤は効果の発現が遅く、効果の完成までに1~2週間ほどかかる場合が多いことも特徴です。
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