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【地域を診る】気仙沼・陸前高田を訪ねて  「思い込み」からの解放を 京都橘大学学長 岡田知弘氏2026年2月13日

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今、地域に何が起きているのかを探るシリーズ。京都橘大学学長の岡田知弘氏が解説する。東日本大震災から15年を迎える三陸沿岸。気仙沼・陸前高田の現場を歩くと、復興の歩みと新たな課題が交錯する。先入観を離れ、地域の実像に向き合う重要性を伝える。

京都橘大学学長 岡田知弘氏_sum京都橘大学学長 岡田知弘氏

1月末に、三陸海岸の気仙沼と陸前高田を訪ねる機会に恵まれた。被災地は東日本大震災から15年目を迎えようとしていた。両市には、被災後1~2年に1回程度、調査やフォーラムを実施するために訪問し、復興過程を見て来た。ただ近年は、コロナ禍もあって、なかなか行く機会がなく、約4年ぶりに訪れたことになる。

現地を見て、いろいろと書きたいことがあるが、ここでは「地域を診る」うえで特に大切であると感じたことを記しておきたい。

私が気仙沼に初めて調査に入ったとき、京都から新幹線を乗り継いで一ノ関駅まで行き、大船渡線に乗り換えて約7~8時間を要した。「陸の孤島」という言葉が思わず口をついたこともある。しかし、ある時、見当違いの「思い込み」であることに気づいた。気仙沼は古くから遠洋漁業の拠点であり、外国や国内の漁港とのつながりも強い。いわば「海の十字路」であり、生活文化も多様性に富んでいる。これは陸前高田にも言えることである。明治時代から航路を開設し、東京とつながっていた。私は、鉄道と道路という現代の交通手段を念頭に置いた勝手な「思い込み」に縛られていたのである。その間違いを地元の皆さんに教えてもらった。

今回も、長期にわたる震災復興過程における様々な不確定要素に目を配る必要があることを痛感した。震災復興計画を例えば10年計画で策定する場合、産業再建や住宅等の生活再建の進捗(しんちょく)度を目標とするのが常である。だが、例えば、その間の農業や漁業をめぐる外部環境の変化を予測することは不可能なので、「変化しない」ことを暗黙のうちに前提にしている。ところが、その前提が大きく崩れる場合がむしろ多いのである。

三陸海岸の場合、ひとつは、漁業の不振である。イカやカツオなどが獲れなくなり、それらを原料とする水産加工業なども不況となり、経営再建のための借金の返済が滞ってしまった企業が増えたという。そこにコロナ禍が襲いかかり、その後遺症で今もすし屋や居酒屋にお客さんは戻っていない。

ことは「地球温暖化」一般では済まされない。寿司屋の店主や漁業者に話を聞くと、日本の魚と漁業をめぐる大きな構造変化があるという。アベノミクスによる円安と農林水産物輸出政策、そして海外での和食人気によって、日本近海で漁獲された高級魚介類が輸出に振り向けられ、国内のお店や家庭の食卓に出回る魚介類が大きく減少しているのである。この点については、漁業経済学者の濱田武士氏の近著『サカナ戦争―グローバル化する魚食と日本漁業の未来』(家の光協会、2026年)で、活写されている。

先日、日本の農林水産物輸出額が過去最高の1・7兆円に達したという報道があった。2025年のデータで、うち水産物は4231億円だった。さて、輸入額はどれだけかと農林水産省のサイトを調べてみたが、「輸出・国際局 輸出企画課」が発表しているデータは輸出額だけであり、財務省「貿易統計」を元にした輸入額は、2024年が最新のものであった。それでも、この年の農林水産物全体の輸出額1兆4000億円に対して、輸入額は13兆4000億円であり、水産物については輸出額が3600億円に対して輸入額は2兆1000億円弱であった。

これでは、食料自給率が減少し続けるわけである。食料安全保障だけでなく、農地や農村、漁場や漁村の持続性を確保するためには、輸出と輸入の両側面を正しく理解することが大前提であろう。ここにも「輸出で稼ぐ」という「思い込み」の問題がある。

さらに漁村での人口減少と高齢化が、漁業者の激減を招き、震災から復興してきた陸前高田・広田湾のカキ養殖業にとって障害になりつつあるという。広田湾のカキは、ミネラル分たっぷりの海水で育ち、市場でも高い評価を受けている。隣接する気仙沼の唐桑は、有名な「森は海の恋人」運動の発祥の地でもある。広田湾の殻付カキの場合、殻を洗浄する必要があり、それは集落の高齢者たちが担ってきた。その人手不足が表面化してきているのである。「森」の方は、近年の乾燥気候のために、山林火災の危険がつきまとってもいる。クマをはじめ鳥獣害も広がっているという。これらの事態も、震災直後の復興計画づくりでは予見できなかったことである。過去の計画にかかわらず、新しい状況に柔軟に対応した計画、施策づくりが必要であろう。

一方、新しい動きも知ることができた。まだ30歳台前半のUターン青年である村上祐哉さんが、養殖業に携わりながら、それに必要な工程の省力化のために自動砂詰め機をはじめ次々と機械を「発明」している。今は、カキの殻の自動洗浄機を開発中である。彼の発明にかけた思いは「もうける」ことではなく、大好きな広田湾のカキ養殖業をいかに若い世代にも引き継いでいけるようにするかという点にある。聞いている方が元気になる取り組みであった。

頭の中の「思い込み」にとらわれず、現場の課題に素直に向き合い、その解決のために労力を惜しまない村上さんの姿勢と「突破力」に励まされるとともに、大いに学ぶことができた。

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