農政:GREEN×EXPOのキーパーソン
【GREEN×EXPOのキーパーソン】日本の素晴らしい園芸文化の再認識を 生駒植木 生駒順代表取締役2026年2月4日
2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)が2027年3月、横浜市で開催される。花き・園芸だけではなく、日本の農業全体を国際的に紹介する大きな機会だ。そこで、園芸博関係者に開催の意義や今後の展望をインタビューする。第1回は、地元JA横浜で植木部の部長でもある、生駒植木(横浜市)代表取締役の生駒順氏に聞いた。
生駒植木の生駒順代表取締役
江戸時代からこの地で農業を営み、大正8(1919)年に植木屋として創業しました。大正時代に鎌倉や逗子、葉山に別荘ができ始めて、植木が大量に必要になり、近くに調達できる場所が必要になりました。私は現在、地元JA横浜の植木部会の部長のほか、日本植木協会の副会長、全国花き輸出拡大協議会の会長も務めています。JAで植木部が組織されているのは全国でも数少ないのですが、JA横浜には植木部が設置され、現在270人ぐらいが所属しています。
世界一の園芸大国
国際園芸博は業界にとって、オリンピックを日本でやるようなものなので、力を入れています。来場者1000万人を見込んでいますが、来場者数ではなく、園芸や農業の素晴らしさを表現することが必要です。そうでなければ、園芸博とは言わないし、「あれは何だったの」という話になってしまう。そうなってほしくないので、主役は園芸や農業に携わる人たちだと広く訴え続けてきました。
日本植木協会が植物調達パートナーとなり、植物生産団体として日本の園芸文化の紹介にこだわっています。イギリス人プラントハンターのロバート・フォーチュン氏が幕末の1860年に来日し、「日本は世界一の園芸大国」と言ってくれました。植物に携わる団体としては、それを全国民に再認識してもらいたいですね。
日本の園芸文化は、植物に対する尊敬や愛着、執着がすごい。生活に植物や木が密着し、フォーチュン氏は「日本人の植物好き」と表現しています。一例が、雪から樹木の枝を守る「雪つり」です。先祖代々庭にあった木を特別な思いで絶対守る。神様が宿る、八百万の神という宗教観だろうと思います。
需要を作ることが目標
その素晴らしさを伝え、植木や花の生産者、農業者が、生産を続けられる需要を作ることが一番の目標です。それを表現できなければ、日本でやる意味が半分なくなってしまうと強く言いたいですね。1990年の大阪花博後にガーデニングブームが起きたように、開催後には、多くの人に植物を愛する気持ちが再認識され、愛着を持って育てたいと思うようになれば。
また、パビリオンを出展するトッパンのグループにも入り、町並みに植木が陳列されているような、江戸時代を彷彿とさせる「江戸花やしき」の展示スペースにも協力します。
横浜で開かれる意義もあります。日本のヤマユリが海外でカサブランカに品種改良されました。ユリはキリスト教上の特別な花で、球根が明治時代に横浜港から出荷され、外貨を稼ぎました。
また、エリザ・ルハマ・シドモアさんという方が隅田川の桜並木を見て、アメリカにも欲しいと、横浜港から桜の苗を6000本、ワシントンとニューヨークに出荷し、そのお返しにアメリカハナミズキが日本に来ました。世界的に流行している盆栽も、横浜港から少なからず出荷されています。
農協が作物の「出口」を作る
会場に植えられる生駒植木の高さ20メートルの楠
会場内の街路樹の整備として、JAが桜の木を納品させていただくという仕事を、4年がかりで横浜市から受注しました。環状4号線(通称「海軍道路」)沿道の桜の木を切ってしまうので、批判的な意見もあります。そこで、市からJA横浜が植え替えを受注し、市内産の桜の木を植えます。横浜で生育した桜を植えることで、農地を守るという大義も示すことができる。全部で240本の計画で、植樹祭も大々的に行い、毎年80本ずつ植えます。
農協が公共事業に参画していくことも重視しました。というのも、農協に入るメリットが問われているからです。農産物の出口を確保しない限り、安心して品物は作れません。生産に関わる研修や勉強会は助成もあり、みんな一生懸命やる。しかし、せっかくいい作物ができても、売れなきゃしょうがない。安心して生産するには、出口の確保が必要です。需要を拡大すればおのずと会員が潤い、農業経営を持続的に継続することができます。
日本の農業を守るイベントに
工事の遅れもあり、心配しているのは、最終的な出来栄えです。日本の園芸文化を表現した最高級のものに到達できるか。横浜でも、大阪花博後のガーデニングブームのようなものにつなげたい。農業は基幹産業であり、日本のDNAは農業です。農地を守るようなイベントにしたいので、ほんとうは「日本の農業を守る」といった大きなテーマを挙げてほしいですね。
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