原発事故を風化させない 利用者と「富岡復興ソーラープロジェクト」視察 パルシステム連合会2026年2月4日
パルシステム連合会は1月16日、福島県富岡町で「富岡復興ソーラープロジェクト」を視察した。福島第一原発事故後、帰還困難区域に指定された富岡町の復興を目的に、住民が立ち上げた太陽光発電事業で、震災から15年を迎える今、再生可能エネルギーを中心とする脱炭素社会の実現に向け、一人ひとりができることを考えた。
耕作されなくなった農地に広がる太陽光パネルを視察
視察で訪れた富岡復興ソーラー発電所(福島県双葉郡富岡町)は、再生可能エネルギーを中心とする電力供給事業を担うパルシステム電力を通じ、「パルシステムでんき」を契約する利用者に電力を届けている。視察には「パルシステム環境委員会」に所属し、グループ内の環境活動を推進する利用者と役職員29人が参加した。
富岡復興ソーラープロジェクトは、福島第一原子力発電所から約7km離れた34haの土地を活用した太陽光発電事業。プロジェクトは、原発事故により富岡町からの避難を余儀なくされた地域住民が主体となり立ち上げた。除染後も耕作が難しくなってしまった農地などを活用し、2018年3月から発電所が稼働して同年10月に「パルシステムでんき」への電力共有を開始した。原発事故後の地域復興を目的とし、収益は地域内の福祉や農業、教育活動の費用として活用していく。
富岡復興ソーラーのプロジェクトマネジメントを担うのは、株式会社エコロミ(東京都千代田区)。代表取締役の小峯充史さんは「2030年度までの復興庁設置期間の終了後、国の支援がなくなっても太陽光発電事業を通じて引き続き地域に貢献します」と展望を語る。将来的には、プロジェクトに賛同する発電所の土地所有者の世代交代が進むため「新しい世代とも顔の見える関係を築いていきます」と抱負を述べた。
広大な土地に設置された太陽光パネル
語り部が伝える被災地の今とこれから
富岡町文化交流センターでは、小峯さんの講演に加え、NPO法人富岡町 3・11を語る会の代表を務める青木淑子さんが当時の心境や復興への思いを語った。県外には伝わっていない課題も未だに多くあり、青木さんは原発事故を「終わっていない災害」だと訴える。事故から15年を迎えようとする今、語り伝えていくには世代交代が必要と課題を挙げ「地域に若者が戻ってくることを願います」と話した。
「とみおかアーカイブ・ミュージアム」と「東京電力廃炉資料館」の見学では、災害が地域にもたらした甚大な被害を知るとともに、原発事故の原因や廃炉に向けた進捗を確認した。
語り部ガイドの猪狩輝美さんは、車窓から見える富岡町のようすを案内しながら震災体験を語り、参加者は地域の事故前と現状の課題への理解を深めた。猪狩さんは、津波で自宅が流され家族で避難した経験を語り「今は離れた地で暮らしていますが、元気なうちに富岡町に戻りたい。今後も命を守る行動を伝えていきます」と話した。
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