米のコスト指標 東京新聞の「かさ上げ」批判に疑問 JA北つくば・川津修組合長2026年3月26日
取引の参考にするため農水省が4月に示す「米のコスト指標」をめぐって、東京新聞が「JA全農などの要望で......コスト指標がかさ上げされ」たとし「米価の上昇につながる恐れがある」と批判する記事を3月24日、1面トップで掲載した。この報道を産地はどう受け止めているか。JA北つくば(本店・茨城県筑西市)の川津修組合長に聞いた。
コスト指標の意義を語るJA北つくばの川津修組合長
的を射た「コスト指標」
JA北つくば管内には約8500haの水田が広がり、うち6400ha、2200生産者がJAに出荷しています。JAでは買取販売と委託販売をし、生産者が選べるようになっています。
米穀安定供給確保支援機構(米穀機構)のコスト指標作成等委員会がコスト指標の作成方法を固め、「米のコスト指標のイメージ」として示した精米5kg当たり2811円、生産段階のコストとしては玄米60kg当たり2万437円という数字は、非常に的を射たものと受け止めています。生産、集荷、卸売、小売という各段階のコストが明らかになったことで、食料システム法にもとづいて、費用を考慮した取引、ひいては米の安定供給の基礎が据えられた点に大きな意義を感じます。
さまざまな受け止めや意見があるのは当然で、東京新聞の報道もその一つでしょう。ただ、コスト指標が高くなるよう農業団体が誘導したかのような論調には疑問を感じます。米の取引価格がコストを踏まえた適正な水準になることは、生産者だけでなく、薄利や赤字に長年泣いてきた取引関係者全体にとって意味があります。
1~3haの生産者の営農継続、米自給に不可欠
コスト指標の算出方法を批判する「東京新聞」2月24日付朝刊
東京新聞の記事は、「小規模で生産費が高い傾向にある1~3ha未満の農家のデータのみをコスト指標の計算に反映させ、3ha以上の農家を除外」した結果、「コストが高くなるよう(指標が)算出された」と言います。たしかに3ha以上の規模の大きな生産者はコストが低めで生産量も多いのですが、生産者数では3ha未満が多数です。
管内では、大規模生産者がどんどん増える状況にはなく、規模を減らす生産者も出てきています。離農する人から条件不利地を引き受けると、手間やコストが増えるからです。筑波山のふもとのような中山間地では大規模化はできず、「大規模化=食料安全保障」とはなりません。大規模も中規模も小規模も、地域で生産が続けられてこそ食料安保も守れます。
その意味で、1~3haを「代表性のある作付規模」とし、その規模の生産者が再生産できるコストを出したのは適切です。生産者数が圧倒的に多い1~3haの層がコスト割れから離農してしまうと、年700万tなどまったく作れなくなり、米の自給は崩れます。多数の生産者が再生産を続けられる価格で取引がされ、中山間地直接支払いなどで支えてほしい。もちろん産地側では、コスト引き下げや輸出拡大の努力を続けます。
食べてくれる人がいなくなったら終わり
東京新聞は、生産段階の人件費のうち家族労働費の算出で、農水省の生産費統計と違って「パートタイム労働が除かれるなどコストが引き上げられた」とも指摘します。しかし、家族経営は生産者の基本ですし、農業法人などの雇用でも通年雇用が増えています。その意味で「長期的にかつ家族全体で業務達成に向け一定の責任を有しながら営農に従事している実態を踏まえた」というコスト指標作成等委員会での生産委員の説明は説得力があります。
米が高ければ高いほどいいと考える生産者はいません。価格が高騰したことで、買い控えが起きたり輸入米が入ってきました。「食べてくれる人がいなくなったら終わりだ」と生産者はよく言います。消費者が安心して手に取れ、生産者が再生産を続けられるにはどうしたらいいか。単に「高い」「安い」にとどまらず、コスト指標を参考に議論が深まってほしいと願います。
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