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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(97)JIRACの分類【防除学習帖】第336回2026年2月14日

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 令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っており、そのことを実現するのにはIPM防除の活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探りたいと考えている。

 IPM防除では、みどり戦略対策に限らず化学的防除法以外の防除法を偏りなく組み合わせ、必要な場面では化学的防除を使用して防除効果の最大化を狙うのが基本だ。その際、農薬のリスク換算量を減らせる有効成分や使用方法を選択できればみどり戦略対策にもなるので、本稿では現在、農薬の有効成分ごとにその作用点、特性、リスク係数、防除できる病害虫草等を整理し、より効率良く防除できてリスク換算量を減らすことができる道がないかを探っている。そのため、登録農薬の有効成分ごとに、その作用機構を分類し、RACコードの順番に整理を試みている。

 前回よりJIRACの分類表(2023年9月版)にもとづいて整理し紹介している。整理の都合上、JIRACコード表と項目の並びや内容の表記方法が若干異なることをご容赦願いたい。

3.GABA作動性塩化物イオン(塩素イオン)チャンネルブロッカー

 (1)主要作用機構:GABA作動性塩化物イオン(塩素イオン)チャンネル作動阻害
 この主要作用機構グループには現在のところ、環状ジエン有機塩素系[1B]とフェニルピラゾール(フィプロール)系[2B]の2つのサブグループがあるが、前者は国内では該当する有効成分が無いため、本グループでは後者のフェニルピラゾール系を紹介する。
 (2)作用分類:神経作用
 (3)サブグループ名:フェニルピラゾール系/IRACコード[2B]
 (4)有効成分名[農薬名]:
     フェニルピラゾール系に属する有効成分は2成分があり、それぞれの有効成分名[農薬商品名]は次のとおり。
    ①エチプロール[キラップ]
    ②フィプロニル[プリンス]
 (5)GABA作動性塩化物イオン(塩素イオン)チャンネルブロッカーの作用機構と特徴
  害虫が行動を起こす時、神経細胞が信号を受け取り、それに対する行動を起こすべく、隣接細胞へと新たな信号を発信するという情報処理が行なわれている。この時重要な役割を果たすのが神経伝達物質であり、神経細胞はこれを使って他の神経や筋肉細胞と通信している。神経伝達物質は神経細胞から放出される小さな分子で、速やかに隣接細胞へと拡散し、たどり着くとある決まった反応を促す。その反応の種類は神経伝達物質によって異なり、GABA(γーアミノ酪酸)は抑制性神経伝達物質と呼ばれ、塩化物イオンチャンネルを開いて神経興奮を抑制する働きをする。
 このグループは、塩化物イオンチャンネルをブロックしてその働きを阻害し、GABAの抑制作用を妨げる。その結果、害虫は興奮が抑えられなくなって運動障害を起こし殺虫効果が現れる。

 (6)リスク換算係数とリスク換算量削減の考え方:
フェニルピラゾール系殺虫剤の各有効成分のリスク係数と基準年のリスク換算量およびリスク換算総量を次表に示した。
これによると、フェニルピラゾール系殺虫剤のリスク換算量の合計は15.6トンと基準年のリスク換算総量に対し0.1%と少ない。本系統のリスク換算量を確認するために、基準年に出荷のなかったエチプロールの近年の実績を加味した本グループのリスク換算量計は54トンとリスク換算総量の0.2%となった。このようにリスク換算総量に対する影響も少なく、再登録制度の影響もあって有効な殺虫剤が減少する中、抵抗性が発達していない害虫種には高い効果を示す貴重な殺虫剤であるため、作用性の異なる殺虫剤とのローテーション防除など抵抗性害虫対策を徹底しながら使用を継続する方が得策であると考えられる。

フェニルピラゾール系殺虫剤のリスク係数とリスク換算量(7)フェニルピラゾール系の農薬登録がある主要作物・害虫一覧
     フェニルピラゾール系殺虫剤の適用作物・適用害虫および登録有効成分の一覧を次表に示した。この表は殺虫剤選定の参考とし、農薬の実際の使用にあたっては、適用作物等の適用内容を製品のラベルでよく確認して使用すること。

フェニルピラゾール系殺虫剤の登録害虫一覧

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