【特殊報】タケノコ園でキモンホソバノメイガの被害 府内で初めて確認 京都府2025年10月14日
京都府病害虫防除所は、タケノコ園でキモンホソバノメイガの被害を府内で初めて確認。これを受けて、10月10日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
京都府病害虫防除所によると、7月に京都府南部のタケノコ園において、タケの葉に食害痕が多く認められ、赤いチョウ目幼虫が地際に集まり、タケの株元や建造物の隙間で繭を作ったのち蛹化する個体を多数認めた。蛹を採集し羽化させた成虫を農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、キモンホソバノメイガと同定された。
同種の幼虫及び食害痕は、府南部の多数のタケノコ園で認められた。
同種は中国原産で、国内では平成18年に愛知県で侵入が確認された外来種で、以後各府県で発生が確認され、近畿地方では令和3年以降に発生記録があり、令和7年9月に大阪府で特殊報が発表されている。京都府内でのタケノコ園の被害の報告は今回が初めて。
キモンホソバノメイガはチョウ目ツトガ科に属し、成虫の前翅長は約13mm、開張は16~28mm。前翅の地色は暗褐色で、外横線の内側に大きな黄色の斑紋があり、外縁部も狭く黄色く縁どられている(写真1)。
(提供:京都府病害虫防除所)
産卵は、タケの葉の裏側に数十個の卵塊状に産下される(写真2)。孵化した幼虫は、1及び2齢期には体色が淡黄色~黄緑色で模様は目立たない(写真3)。3齢以降は体色が緑色となり胸部及び腹部後端の特異的な黒斑が明瞭となり、4齢以降は頭部に茶褐色の明瞭な斑紋を示す(写真4)。
(提供:京都府病害虫防除所)
終齢は6齢で体長は最大32mm程度(写真4)。タケの株元や地際の建造物の隙間などに移動して体色が赤くなり(写真5)、枯葉や土粒などにより繭を作り、第1世代幼虫は蛹化する(写真6)。第2世代幼虫の一部は、繭を作ってその中で越冬すると考えられる。
(提供:京都府病害虫防除所)
寄主はタケ・ササ類で、若齢幼虫が集団で葉の表面を残して食害し、葉を表から見ると、加害された部分は白く見える(写真7)。4齢以降は単独で加害し、1枚の葉を円筒状にして食害し、最後は矢じり状の特徴的な被害葉となる(写真8)。
(提供:京都府病害虫防除所)
同種は成虫が年に2回発生するとされている。同所(亀岡市)に設置のスマートモニタリング装置(虫をLED灯で収集し、画像を撮影し虫種を識別する予察灯)画像の目視による識別を行ったところ、発蛾盛期は令和6年、令和7年とも1回目は6月中旬、2回目は8月下旬だった。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)10月7日現在、たけのこ(野菜類)において同種に適用のある農薬はないが、植物防疫法第29条第1項に基づく都道府県の防疫措置として、たけのこのノメイガ類に対する防除には、京都府では当面の間、表1に記載された農薬を使用することができる。

(2)ほ場内をよく見回り、同虫の発生初期に防除する。
(3)同種の発生が見られた場合は、最寄りの農業改良普及センター又は病害虫防除所に相談する。
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