鴨川メガソーラー問題 「谷埋め盛土」に崩落の恐れ 専門家が学習会で指摘2025年11月26日
千葉県鴨川市で着工された大規模太陽光発電施設(メガソーラー)建設。現在は、許可条件違反の伐採によって一時中断している。山林破壊や水源への影響に加え、谷を埋める大量の盛土が豪雨や地震で崩れ、下流域に流れ出る恐れがあることが専門家に指摘された。
山を削り深い谷を埋める谷埋め盛土の危険性も浮上する鴨川メガソーラーの建設現場=千葉県鴨川市
(鴨川の山と川と海を守る会提供)
11月25日、「鴨川市のメガソーラーの現状と今後の展望、今起こっていること」をテーマに「生きものとしての土木研究会オンライン学習会」が開かれた。
学習会では「鴨川の山と川と海を守る会」の代表、勝又國江さんと事務局の川口訓平さんが現地の最新状況を報告、一般社団法人・有機土木協会の高田宏臣代表理事が土木から見た問題点を説明した。アルピニストの野口健さんもビデオメッセージを寄せた。
流れを変えたドローン空撮写真
勝又國江さんは全国最大級の「山林破壊型メガソーラー」=鴨川メガソーラー契約の概要を説明。神奈川県からサーフィンに来た方の提案でドローンを飛ばし、ドローンを飛ばして工事の現状を撮影。9月29日にX(旧ツイッター)にアップしたところ1400万回閲覧され、それが今の動きにつながり熊谷知事も動いたと話し、「まだ山の形は残っている。今止めないと、大変なことになる」と訴えた。
川口訓平さんは、以前の事業者が地元説明会で「さまざま心配されるでしょうが、山をなくすので山地災害はない」と住民に述べたことを紹介。「危険な谷埋め盛土が巧妙に規制の網を逃れている」と語った。
野口健さんはビデオメッセージを寄せ、「今はチャンスだ。釧路は(メガソーラーを止める)8合目まで来た。鴨川メガソーラーも、一言、ありえない。熊谷知事の現地視察も大きい。大事なのはあきらめないことだ」と呼びかけた。
熱海土石流の200倍超える盛土
熱海土石流災害の現場も鴨川メガソーラーの現場も調査した高田宏臣さんは、「熱海土石流災害での崩壊盛土は推定5.5万m³で、2km先の市街地を襲い27名の犠牲者を出した。鴨川メガソーラーでの谷埋め盛土は1300万m³にのぼる」とし、谷埋め盛土が崩れ、5kmほど下流にある鴨川市街に向かって流れ出る危険性を指摘した。
谷埋め型大規模盛土造成地で発生する滑動崩落のイメージ
(国土交通省「大規模盛土造成地の滑動崩落対策について」)
国土交通省も「『谷埋め型大規模盛土造成地』においては、主として地震時に宅地造成前の谷底付近や盛土内部を滑り面として、盛土造成地全体、または、大部分が斜面下部方向へ移動します」とし、谷埋め盛土では「滑動崩落」が起きやすいと解説している。熱海土石流災害を受けて盛土規制法が制定、施行されたが、鴨川メガソーラーの事業者は千葉県での施行10日前に「着工」することで規制を免れた。
「渓流盛土で斜面」県有識者会議でも指摘
千葉県が設置した「鴨川市内における大規模太陽光発電施設計画に関する有識者会議」は11月18日、第1回会議を開いた。そこでも有識者の委員から「渓流盛土で斜面ということもあり、工程における安全性の担保が重要と考える」「気候変動も視野に入れた近年の降雨状況、鴨川での降雨状況について情報提供を」など「災害リスク」に関わる意見が複数出された。委員の意向を受け、次回、現地確認(視察)を実施することになった。
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