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米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日

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農水省の需給見込み違いが端緒となったともいわれる「令和の米騒動」。一刻も早い日本人の主食の安定化が求められる。この現状をどう見るかJA全中元専務の冨士重夫氏に「米政策の温故知新」として寄稿してもらった。

JA全中元専務 冨士重夫氏JA全中元専務 冨士重夫氏

財政負担避けず所得補償柱に

② 減反政策・生産調整

米の減反政策は食管時代の1971年から始まり、国の責任で都道府県ごとに減反する面積を割り当て、農家に転作や休耕を促してきた。

その後、減反面積の割り当て配分を、米を作る生産面積・数量を割り当てるという考え方、いわゆるネガからポジへの転換をした。

そして1994年のウルグアイラウンド交渉の結果や新たな食糧法の制定を経て、2004年の改正食糧法において国の減反政策を廃止することとし、2018年から国は、需要予測に基づく適正生産の目標値を公表するだけとなった。生産者は、この目標値を参考に自らの判断で生産量、面積を決めて作付けるという形で今日に至っている。

転作作物への国の助成は、減反政策時代は生産者の耕作権を国が制限するための補償であったが、減反政策が廃止されてからは、転作作物である麦、大豆、飼料作物などの輸入価格との差に着目した作物振興を目的に転換して助成している。

今回の米騒動を踏まえて、米の多様な需要に対応した生産拡大へ向けた意識的生産目標を掲げるべきである。すなわち主食用、米菓、みそ・しょうゆ、酒米、米粉(めん・パン)、飼料用米(餌米・WCS)、もち米、輸出用など、米の需要先ごとの需給見通し、予測値の精緻化、提示の方法、MA米の運用基準など、国の役割・位置づけを明確にし、自給率向上に向け国家安全保障をふまえた用途別の米の戦略的な生産目標を設定すべきである。

③ 生産コスト・所得補償

食管法時代、国は生産者米価と消費者米価を定め、その差額を負担し、生産者米価には生産コストの保証と農家所得の補償を基礎に算定し、消費者米価には、国民生活、家計の安定を図るため生産者米価より低く定め、財政負担により支えた。

生産者米価は毎年、生産コストでは、どの階層、どの規模水準のコストを対象とするかで、農家所得では、どの労働者層の賃金を付与するのか、実労働時間数は、経営管理などの間接労働はどこまで補償するかなどが争点となった。

そしてウルグアイラウンド交渉結果の1994年以降のWTO交渉では、関税削減交渉以外にも貿易を阻害する各国の補助金、国家予算の削減という国内農業政策の分野においても交渉され、所得補償や不足払いなどの品目ごとの生産力を支える政策は「黄色の政策」と位置づけられ、予算を削減するルールを制度化することが実施された。

このWTO交渉での規律を受けて、米をはじめ重要品目のコストや所得を補償する制度は廃止され、市場価格の下落のリスクを平準化し、生産者の拠出金を前提とした共済制度というセーフティーネットへの転換が進められ、我が国の品目ごとの所得補償政策は全て経営所得安定対策へと変更されていった。

その後、2006年のWTO交渉決裂以降、WTOは機能不全となった。そして2009年から2012年までの民主党政権下ではWTO規律の枷(かせ)を外し、再び米の所得補償政策が再構築されたが、自民党が政権を奪回すると所得補償政策は廃止され、再びWTO規律の枷を復活させ、経営安定対策というセーフティーネットへと逆戻りした。そしてWTOが全く機能不全であるにもかかわらず、WTO規律を悪用して農業予算の財政支出削減圧力を加えているというのが現在までの実体像である。

そして今日、新たな基本法が制定され、農畜産物のコストを反映した適正な消費者価格が実現できるよう仕組みを検討するとされ、まずは米と牛乳と豆腐、納豆について検討することになっているのが現下の状況である。

貧富の格差が拡大している中で、再生産コストを見積もって消費者価格に転嫁し、適正に反映させるためには、消費者や小売業者などの理解を得られるような、的確な仕組み作りができるのか、極めて不明確である。そして消費者価格への転嫁は、低所得者層ほど負担感が大きい。それに比べ所得税、法人税、相続税などの累進税率で徴収される国税を財源とする財政負担の政策のほうが、国民の所得に対し、より公平であるといえる。

今後の米をはじめ重要農畜産物の安定供給、生産基盤の持続可能性を担保するため、国として、WTO規律を外し、財政負担を柱とする確固たる生産コスト・所得補償政策の仕組みを作り上げるべきである。

④米の流通規制

食管法時代の米の流通は国が統制していたが、政府米と併せ自主流通米制度といった民間流通も国の管理下で実施されていた。

1995年食管法が廃止され、新たな食糧法が制定され、米は計画流通米と計画外流通米に区分した中で、国の役割は計画的な米の生産、流通の調整と計画流通米、備蓄米、MA米の運用などに限定されることになった。

そして2004年の改正食糧法で、この計画流通制度も廃止し、米の販売事業者は届け出制となり、自由に売り買いできるようになった。

こうした米の流通自由化の歴史を経て生じた今日の米騒動をどう捉えるのか。

米は自由に売り買いできる商品となったとはいえ、転売目的で米の流通に参画する者をどう考えるのか。米と同じく主要穀物である小麦の流通や価格の動きが安定しているのはなぜか。輸入小麦は国が管理し、国内小麦は播種(はしゅ)前に入札する仕組みで生産者側の販売数量の提示、製粉施設を有する実需者による落札ということなども参考にするなど、今後の米の価格形成のあり方や米流通の秩序化といった観点から、安定流通の仕組みを作るべきである。

こうした四つの分野における新たな政策、確固たる仕組みを再構築することが「米の温故知新」となるものである。

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