【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日
熊本県病害虫防除所は、トマトにトマト黄化葉巻病が冬春トマト栽培地域で1月上旬以降、多発のおそれがあるとして、12月25日に令和7年度病害虫発生予察注意報第6号を発表した。
写真:黄化葉巻病発病株(12月撮影・抵抗性品種)(提供:熊本県病害虫防除所)
熊本県病害虫防除所によると、12月に県内の冬春トマト栽培ほ場(7地点)で実施した巡回調査では、トマト黄化葉巻病の発病株が前月より大きく増加している。12月のトマト黄化葉巻病の発病株率は、5.3%(平年2.2%)で平年比多の発生(図1)。過去15年の12月の巡回調査結果と比較すると、黄化葉巻病が多発した令和3年度(2021年度)に次いで2番目に多かった(図2)。また、病害虫防除員の報告(3地域)によると、12月の黄化葉巻病の発生は平年比やや多~並、タバココナジラミの発生は平年比やや多~並だった。
図1:黄化葉巻病の発病株率の推移
図2:過去15年の12月の巡回調査における黄化葉巻病の発病株率※各年7~8ほ場の平均。
抵抗性品種と感受性品種の比は年により異なる。
12月に県内の冬春トマト栽培ほ場(7地点)で実施した巡回調査では、タバココナジラミの寄生葉率0.7%(平年2.6%)と平年比少の発生(図3)。しかし、福岡管区気象台が12月18日に発表した九州北部地方1か月予報によると、気温は平年より高い予想であるため、温度の高い施設内では、TYLCV媒介虫であるタバココナジラミの活動・増殖に好適な条件となる。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
施設内でのトマト黄化葉巻病の感染拡大を防ぐには、タバココナジラミの防除と発病株の適切な処分が重要であるため、以下の対策を徹底する。
(1)ハウス内の開口部(サイド、谷部など)には、目合い0.4mm以下の防虫ネットを設置する。すでに設置しているハウスについては、被覆ビニルや防虫ネットに破損や隙間がないか点検し、必要に応じて補修する。
(2)施設内に黄色粘着トラップを設置し、コナジラミ類の早期発見、初期防除を徹底する。既にコナジラミ類の発生がみられるほ場では、継続した防除を行う。
(3)薬剤防除を行う場合、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
(4)発病株は重要な伝染源となる。見つけ次第直ちに抜き取り、ハウス外に持ち出して適切に処分する。また、TYLCV抵抗性品種であってもウイルスを保毒し、伝染源となるため、感受性品種と同様にタバココナジラミの防除を行う。
(5)ハウス内部の雑草は、タバココナジラミの生息・増殖場所となる。栽培期間中は定期的に除草する。
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