2025年「農業」の倒産は過去最多を更新 初の80件超え 帝国データバンク2026年2月10日
帝国データバンクは2月9日、「農業」の倒産動向を発表した。2025年に発生した「農業」の倒産は、前年比7.9%増の82件となり、2000年以降初めて80件を超えて過去最多を更新。また、負債額合計は373億8700万円となり、過去3番目の大きさとなった。背景には、肥料や飼料の高騰や、天候などの外部環境に大きく左右され、不作や品質不良に見舞われるケースが相次いでいる現状がある。
同調査によると、2025年に発生した「農業」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、前年比7.9%増の82件。2000年以降で過去最多となり、初めて80件を超えた。負債額合計は373億8700万円で、前年の182億6300万円を大きく上回り、2011年(4524億6600万円)、2022年(883億1900万円)に次ぐ、過去3番目となった。
業種細分類別にみると、野菜類の栽培および出荷を手がける「野菜作農業(きのこ類の栽培を含む)」が28件となり、過去最多。猛暑や豪雨災害の影響により、野菜の不作や品質の悪化で販売価格が低下、収益性の悪化を招いたことが、倒産増の一因となっている。2024年に過去最多の6件となった「米作農業」は1件減少し5件。猛暑による米不作の影響はやや落ち着いたものの、代表者の病気・死亡に伴い、事業継続を断念する企業もあった。

また近年、最新技術を駆使した「スマート農業」を導入する事業者もあるが、12月12日に民事再生法の適用を申請したサラ(岡山県笠岡市)は、太陽光利用型設備を用い、国内最大級の菜園を運営していた。「スマート農業」の先駆け的存在で、ファンドからも多額の出資を受けていた。設立5年で黒字化を達成したものの、その後猛暑の影響で野菜の生産量は伸び悩んだ。最終的には設備投資分の借入金返済が重荷となり、負債額は約157億円にまで膨らんだ。
「畜産農業」では、乳牛を飼育し生乳の生産を行う「酪農業」が10件と、過去最多を更新。7月24日に民事再生法の適用を申請したファーマーズホールディングス(岡山県倉敷市)とその関係会社が10件中7社を占めた。また、「肉用牛生産業」は2024年の3件から5件増加し8件となった。物価高に伴い豚肉や鶏肉に比べ、一般家庭での牛肉の消費は伸び悩み、需要が低下しているため、コスト増に対して販売価格への転嫁が追い付いていない。
業界関係者は「国外では和牛の需要が高いため、海外向けの販売ルートを確保できる企業が生き残るだろう」としており、今後も淘汰が進むとみられる。
いずれの業種をみても、倒産増加の背景としては、価格転嫁の難しさが大きな要因となっている。他の産業と異なり販売価格が市場価格に左右されるため、コストアップと連動しない場合も多い。物価高や作物の肥料、動物の飼料などのコスト上昇分を価格転嫁できていない現状がある。
地域別では九州が全体の28%
地域別にみると、「九州」が23件となり全体の28.0%を占めた。九州経済連合会が地域産業として農業の振興支援を強化していることや、「北海道」など広大な農地を有する地域とは異なり、小規模な土地を集約化する動きが進んだことで、個人農家が集まり法人を設立するケースも目立つという。このため、九州農政局によると、2025年の農業法人数は2020年と比べ6.8%増加している。法人化することで、大手メーカーや小売業者と専属契約ができる、肥料などをまとめて安く仕入れることができるといったメリットがある。
しかし、前述のように猛暑や豪雨、病害などの外部要因によって収益性が悪化するなか、法人が増えた結果、一定数淘汰されたことが、同地域での倒産増の要因といえる。
また、業種細分類別にみると「施設野菜作農業(きのこ類の栽培を含む)」が、全8件のうち3件が九州地域で発生した。ビニールハウスなどの施設を新設する際に、国からの補助金を受けられる場合もあるが、一部では「補助金を最初からあてにして参入してくる業者もある」と指摘する声も聞かれる。短期間での収益化は難しいことから、先行投資分を回収できないまま、資金繰りに行き詰まるケースが見受けられた。
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