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米の高騰一転、産地に懸念 政府が「暴落」の引き金? 小泉劇場に不安広がる2025年7月1日

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国民の主食で1年1作の米は、価格が変わっても消費はあまり変わらず供給もすぐには変えられない(価格弾力性が低い)ため、需給バランスが崩れると価格が変動しやすい。24年春からは不足感が強まり価格が高騰の一途をたどったが、いま、需給の歯車は逆回転を始めようとしている。25年産の作況など流動的要素も残るものの、政府が手を打たなければ暴落懸念は増すばかりだ。

相対取引価格と民間在庫の推移    出所:農水省「米をめぐる状況について」から作成

2013~4年の暴落、再来を危惧
「このままでは、平成25~6年と同じことになりかねない」

北関東の集荷業界関係者は、こう言って深刻な表情を浮かべた。

平成25~6年(2013~4年)には供給過剰から米価が暴落、2014年の相対取引価格は1等米60kg1万1967円となった。関東近県では、農家が出荷時にJAから受け取る生産者概算金が1万円を割り込んだ。
「小泉農相は『需給をじゃぶじゃぶにする』という。需給が大きく緩むのに手を打たなければ、当時の二の舞だろう」

「じゃぶじゃぶ」とは、小泉農相が6月10日の記者会見で、需給が大きく緩みじゃぶじゃぶになる見通しの受け止めについて記者に問われた際、「(需給を)じゃぶじゃぶにしていかなければ(米の)価格は下がらない。かなり強い手段を取らないと価格高騰のトレンドは変わらない」と力説したことを指す。

米価の歯車、逆回転へ
米の需給の目安は毎年6月末の民間在庫で、180万~200万tが適正水準とされる。2024年6月末の民間在庫は適正とされる量を大きく下回る153万tしかなく、その後の高騰に歯止めがかからなかった。逆のことが、今、起きようとしている。

農水省が示した2026年6月末の民間在庫の見通しは178万tだが、そこに放出する政府備蓄米81万t(第1~3回の入札31万t、随意契約20万t、随意契約の追加20万t)放出、25年産米の増産40万t(主食用米の希望作付面積の増加分に平均収量をかけたもの)、少なくとも6万tとされる民間輸入を単純に足すと約300万tとなる。2013年は224万tで、21年は218万tで価格が顕著に下がったことからすれば、6月末民間在庫が約300万tになったとすれば暴落しないとは考え難い。

猛暑、水不足、カメムシ...25年産収穫量は
これはあくまで予測の試算であり、流動的要素も残る。それは「25年産の増産」だ。

7月1日に開かれた米の安定供給に関する関係閣僚会議で石破茂首相は、25年産から米を増産する方針を示し「新たな米政策に転換する」と表明した。ただ、猛暑や、梅雨が短いことによる水不足、イネカメムシ被害もあり、「再生協議会が集約した作付希望面積に平年並みの収量をかけたのが増産予測だが、本当にそんなに取れるのか」(新潟県の米農家)といった見方も根強い。26年6月末在庫が膨らむという予測のうち、「25年産米の増産」については不確定要素が大きく、出来秋を迎えないと収穫量はわからない。

とはいえ「需給がじゃぶじゃぶになる」という予測の主因は政府備蓄米の81万t放出だ。6月末民間在庫が適正在庫量を大きく超えて暴落を引き起こすとすれば、「引き金」は政府が引いたことになる。

青田買い業者、「なかったことに」
卸業者間で短期間に売買するスポット価格は、この2ヵ月で1等米60kg当たり1万円前後も急落した。もっともこれは「高すぎたスポット価格が、備蓄米が出回ることで落ち着いただけで、今後下がり続けることはないのでは」(首都圏の取引関係者)との見方がある。POSデータにもとづいて農水省は集計、公表しているスーパーでの販売価格も6月16日の週は▲119円下がり、3801円/5kgとなった。価格低下は5週連続で、小売価格も下げ基調に入ったとみられる。

25年産米の価格は「各地の全農さんが概算金の最低保証として1等米60kg2万円強の提示をしていることもあり、そのあたりが目安となって米価が決まるのではないか」(北関東の集荷業界関係者)という見方が今のところ有力だが、「田植え前から3万円を超える価格で新米買い付けを予約(青田買い)した業者が『なかったことにしてくれ』と取り消した」という話も複数出ている。「そうした予約は正式な契約ではないので、『ガラガラポンでご破算に』と言うんだ」(同前)。

自民党の会議でも懸念の声
テレビ映りを意識しながら米の価格破壊を急ぐ「小泉劇場」には消費者の期待が高い。産地では、上がり過ぎた小売価格を落ち着かせるという政策目標は理解しつつ、中期的な需給と価格の見通しという点で不安が渦巻く。

そうした状況を受け、自民党内からも危惧の声がもれる。6月19日、自民党農業基本政策検討委員会が開かれた。参加した国会議員から「このままでは夏の決戦は戦えない。農業現場の不安は相当大きい」など、需給緩和への懸念が出た。

6月27日の農相記者会見で、産地の地方紙記者からこの点に関わる質問が出た。

記者「生産調整をやめて増産した場合に、中長期的に見た場合、米価が下がる、再生産することができなくなるという不安が農家にはある。総理は先日の記者会見で、令和7年産、8年産の米価が下落した場合の所得補償について前向きな発言をされた。大臣のお考えを」

小泉農相「総理は農政に長く携わっていた中での思いをお話された。どう政策に落とし込むかが大事だ。令和9年度産以降から水田政策大きく変わるので、与野党の垣根を越えた議論を踏まえ決めていきたい。まず、今の米価高騰を落ち着かせながら、令和9年度の水田政策の転換に向けてていねいな議論をしていきたい。農家の皆さんに、セーフティネットの議論も同時並行で進めるとお伝えしたい」(要旨)

このままでは農家は廃業
前出の集荷業界関係者は言う。「新しい水田政策が始まるのは令和9(2027)年から。令和7年産の価格は持ちこたえても、在庫が膨らみ新政策はまだ始まらない令和8年の米価が心配だ」

JA福井県の宮田幸一会長は6月27日の記者会見で「『とにかく米を下げないかん』。(小泉農相は)これ一点張りできているので生産者に向きよらない。やったことは仕方がないが、『2000円台で買える』という雰囲気になると困る。農家のみなさん全部廃業ですわ、このまま行ったら」と訴えた。

生産者保護にもスピード感を
求められているのは、備蓄米放出による価格調整に「出口」を明示し、政府備蓄米買い上げによる暴落回避と、所得補償を含むセーフティネット拡充に舵を切ることだ。小泉農相は随意契約での備蓄米放出でスピード感を発揮し、喝采を浴びた。2027年からといわず、今度は暴落回避と生産者保護にスピード感を発揮するときである。

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