政府備蓄米 随契米販売延長に懸念 再放出に反対 山野JA全中会長 2025年8月22日
JA全中の山野徹会長は8月21日の会見で農水省が決めた随意契約による政府備蓄米の販売期限の延長に対して米価下落などに生産現場から不安の声が出ているとして、販売期限の再延長や追加申し込み受け付けが行われないよう求めた。

JA全中の山野会長
山野会長は随契米の販売期限延長について、新米の収穫と流通に取り組んでいる現場では、今後の需給への懸念が出ているとして「不安を払しょくするための丁寧な情報発信」を求めるとともに、随契米の追加の買い受け申し込みや、販売期限の再延長などが行われないよう「安定的な水田農業経営ができる適切な制度運用をお願いしたい」と述べた。また、備蓄米の再放出は「やめてほしい」と語った。
また、来年産に向けた米の需給見通しが示されていないことについて、需要に応じた生産のためには「需給見通しは重要な指標」だとして「できるだけ速やかに食糧部会を開催し需給見通しの審議を行うことが必要」と指摘した。
石破総理が表明した米の増産方針については、総理発言は現時点では米の生産量が不足し、需給ひっ迫に対応するため「増産に舵を切る」と発言したとの認識を示したうえで、「言葉が独り歩きし、現場では需給が大きく緩和するのではないか、需要に応じた生産をやめるのか、と不安になっているのが実態。生産者が安心して水田農業に取り組めるように需給状況や見通しなど、増産を進める必要がある背景など生産現場に対する丁寧な説明を求めていきたい」とした。
JA全中は同日総会を開き決算と新役員の選任などを行った。
決算はJA向け事務システム「新コンパス」の運用費の増加とサービス停止などで16億9600万円の赤字決算となった。
山野会長は「当初の想定より大きな赤字となったことについて「会員に心配をかけ申し訳なく思っている」と話した。また、システム事業については「JAの事業に支障を来さないよう。別のシステムへの移行が完了するまで万全を尽くす」と述べた。
そのうえで「諸課題への対応について職責をまっとうして難局を乗り切っていくことが全中会長に課せられた責任であると考えており、現在強い危機感をもってJA全中刷新プランについて検討、協議を行っている」として、来年3月の臨時総会で刷新プランの決定をめざす。
山野会長は来年3月の臨時総会で退任することを表明しているが、新会長の選出に向けた手続きなどは今後検討する。
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