JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】楽しい活動モットー 女性枠・高知県農協理事 川井由紀氏2025年7月16日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。

その活動は、面白くて楽しくないと成功しない――と思って企画してきました。私たちが楽しそうにしていると人は集まって来てくれる、そして次への活動へとつながる。それは時には、悩み、工夫をして、感動と共に達成感を仲間と味わうことが出来る最高のものです。

32歳の時に高知県のJA土佐れいほく(当時)のフレッシュミズを結成してから29年、次から次へと新しいイベントを展開してきました。私の周りには、いつも素敵な多才な才能を持った人がいて、人との巡り合いにとても恵まれています。
2015年12人で「牛のうどん屋さん」を立ち上げました。現在は10人で活動しています。旧JA店舗を拠点として食を中心としながら活動しています。地元の旬の食材を生かした料理をして嶺北をPRすること、生産者を応援すること、地域の活性化につなげること、私たちが楽しく出来ることを目指しています。
JAの店舗から土佐町役場に移譲されました。その時私たちの活動は終わると思ったのですが、無償利用と改修が実現し、ランチ会やツアーの受け入れ、あかうしイーティングなど活動が広がっています。2023年には日本協同組合学会「実践賞」を受賞しました。地域に私たちの活動が必要とされている間は、ますます頑張るつもりです。
29年間の女性部活動で大切にしているのが「自ら企画し、資金をやりくりして、仲間と学ぶ」ことです。1996年フレッシュミズを結成して半年後にビアホールを開催しました。これには、地元食材のPR、郷土食の料理教室、女性部活動の広報、そして稼いだ資金での海外研修が目的でした。1999年には、JAの名の元、海外研修と言ってグアム島に行きました。広報の表紙に載り部員増になり話題になりました。
2001年助け合い組織「相川あおぞら会」を設立し、コツコツと活動を続け次は第71回となります。24年の間には地域の参加してくれるお年寄りが変わってゆきますが、顔見知りの方たちばかりで毎回和やかな雰囲気です。JAの助成が無くなっても続けることになっています。
20歳の時から就農して、棚田で米を作り、牛を飼い生産部会やJA女性部に参加してきました。生産部の役員や女性部の役員、38歳からは農協の理事として新たなJA参画が始まりました。大勢の中で女性は私だけでした。このままでは誰も理事に興味もなく次を受けてくれる人もいないだろうと思いました。男女共同参画の学習会を開き男性理事にも繰り返し声掛けをしました。女性部役員で、常勤役員に女性枠を増やしてもらいたいとお願いにも行きました。時間はかかりましたが、2011年に女性理事2人就任となりました。
2015年JA全国女性組織協議会の理事となり、2017年には全女協の会長となりました。この4年間は東京での会議、海外での国際会議に出席しました。改めて、JA女性組織の立ち上げについて勉強し、母や祖母の農家の女性の歴史を学び、この組織のすばらしさに気づかされました。
JA女性組織綱領の三つは、初めて綱領唱和した時から私の生涯のテーマになっています。特に女性の協同活動によって、ゆとりとふれあい・たすけあいのある、住みよい地域社会づくりを行います――は、正に私には、ここで、楽しく、生きる。なのです。
これからも米を作り牛を飼い、仲間と共に笑いながらわくわくドキドキできる新しいイベントを企画して地域がいつまでもあり続ける事ができるように活動をしていきます。
最後に、このような機会を与えてくださった方々に心から感謝申し上げます。
【略歴】
かわい・ゆき
1963年8月生まれ。1982年高知県立苓北高等学校卒業、1999年JA土佐れいほく女性部フレッシュミズ部部長、2002年同理事、03年同女性部部長、13年JA高知県女性組織協議会会長、17年JA全国女性組織協議会会長、19年~現在JA高知県理事。
【推薦の言葉】
共同活動の先駆的存在
川井氏は「土佐あかうし」の繁殖牛16頭を飼育し、1.2haの棚田で米を作る専業農家であると同時に、地域活性化、女性農業者のエンパワーメント、協同組合間協同の推進に卓越した功績をあげてきた。
1996年に旧JA土佐れいほく女性組織フレッシュミズを結成し02~11年まで旧JA土佐れいほく理事として活動。17年にはJA女性協会長に最年少で就任し、国内外で活動した。ASEAN諸国の農業分野における能力開発プロジェクトを主導した。
現在は、JA高知県理事及びJA出資会社の役員である。「牛のうどん屋さん」は嶺北家畜市場での食堂運営を通じ、地域経済に寄与しつつ多世代交流となり、「牛のうどん屋さんカフェ」に発展した。「まず自分たちが楽しむ」を重視しながら、地域に貢献し組織へのエンゲージメントを高める循環を作り上げている。
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