国内初 畜産分野のカーボンクレジット発行 JA鹿児島県経済連とEARTHSTORY2025年7月16日
JA鹿児島県経済連と、ボランタリークレジット創出支援サービス「EARTHSTORY」を運営する株式会社Linkholaは、牛・豚・鶏由来のGHG排出削減にかかる新方法論を開発し、先行して肉用牛を対象としたボランタリークレジットの発行を7月3日に完了した。Jクレジットよりも先行した、畜産分野における国内初の「補助飼料」によるカーボンクレジット発行となり、畜産の排泄物および消化管内発酵由来のGHG排出削減を同時に実現する。

鹿児島県は牛・豚・鶏の飼養頭数が国内トップの畜産県。同時に畜産由来の温室効果ガス(GHG)として年間1777千トンCO2相当を排出しているという側面もある。畜産業では、牛の消化過程から発生するメタン(CO2の28倍の温暖化効果)や、排泄物由来の一酸化二窒素(CO2の265倍)が大きな環境負荷となっている。
日本政府また世界各国で、畜産由来のGHG削減は、カーボンニュートラル達成に向けた喫緊の課題。持続可能な地球環境の実現に貢献する社会的意義のある取り組みとなっている。
JA鹿児島県経済連とLinkholaは、民間主導のボランタリークレジット制度であるEARTHSTORY(運営:Linkhola)において、3つの畜産、牛・豚・鶏に関する新しい方法論を開発した。メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)など温室効果ガスの算定評価の方法論としては、これまで実測方法が難しく、モデル式の算定方法によるものが一般的だったが、IoT技術の発達により、農場における温室効果ガスの計測、算定アプローチも導入可能になりつつある。
補助飼料によるボランタリークレジットを発行したJA鹿児島県経済連とEARTHSTORY
このほど、EARTHSTORY制度では、GHG排出削減量の算定にあたり、クレジットの透明性・信頼性を高める実測型の計測・モニタリング手法を推奨した方法論を策定。従来のクレジット算定では、国全体の平均値として算出される統計値(インベントリデータ)が用いられることが多く、個々の農場のベースラインおよびプロジェクトにかかる対象データを正確に把握することが困難だった。
この方法論では、実際の飼育環境下で継続的にモニタリングした「実測データ」に基づいて排出削減量を算定するロジックを整備している。このアプローチは、補助飼料の効果を正当に評価すると同時に、極めて信頼性の高いクレジットの創出を可能になる。
JA鹿児島県経済連は、中期経営計画に脱炭素活動、カーボンクレジット化事業を重点施策として位置付け、2024年度から補助飼料の切替えによる温室効果ガス削減(CH4、N2O)を牛・豚・鶏の3種類同時に行う実証プロジェクトを実施。さらに、EARTHSTORY制度に基づき、先行的に肉用牛のボランタリークレジットが68tCO2e発行された。
同プロジェクトは、JA鹿児島県経済連の実験牧場にて実施。IoTを活用した実測型の手法により、補助飼料を成長期の肉用牛に給餌し、開放型畜舎という一定の条件下で温室効果ガス削減効果を検証した結果、68tCO2eの削減が確認された。
今回の実証プロジェクトを皮切りに、JA鹿児島県経済連は、気候・湿度や季節変動の影響、肥育ステージ(子牛から出荷直前の成牛まで)の違いによる影響、実測精度の向上など、さらなる検証を予定。この実証で得られた知見・ノウハウと、さらなるモニタリング活動によるデータ蓄積をもとに、今後は直営農場や契約農場への水平展開を目指す。また、クレジット化の対象を牛だけでなく豚や鶏へ広げ、対象農家や家畜の規模を本格的に拡大する。
さらに畜産以外でも、省エネ(LED・空調)、再エネ(太陽光発電・バイオガス)、資源循環(有機堆肥・バイオ炭)、輸送燃料の削減など、農業現場で可能なあらゆるGHG対策のクレジット化の可能性を模索。実現可能なプロジェクトからクレジット化を推進する。
EARTHSTORYカーボンクレジット発行証書
◎肉用牛への補助飼料給餌-鹿児島モデルGHG削減事業
発行日:7月3日
クレジット発行量: 68tCO2e
プロジェクト実施場所:JA鹿児島県経済連の直営農場
発行対象: 22か月齢以降の牛46頭(対象期間:1月30日~5月7日)
発行基準: EARTHSTORY制度
第三者審査: EARTHSTORY審査チーム(妥当性確認:2月14日、検証:6月23日)
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