JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】"農の文化"次世代に 特別賞・千葉県八街市長 北村新司氏2025年7月16日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
千葉県八街市長 北村新司氏
八街市は、千葉県のほぼ中央に位置し、肥よくな大地と温暖な気候に恵まれた、古くから農業が盛んな地域です。中でも全国的に知られているのが「八街産落花生」です。ラッカセイは、明治時代からこの地で栽培されてきた歴史があり、今や八街は日本一のラッカセイ産地として、全国的にも高く評価されており、「八街の名を聞けばラッカセイを思い浮かべる」と言ってくださる方も多くいらっしゃいます。
また、「八街産落花生」は、千葉県の地域ブランドとして地域団体商標に登録され、ラッカセイを専門に売っている小売店が市内各地にあり、その店舗数でも日本一となっております。市内ではラッカセイをはじめ、スイカ、ショウガ、ニンジン、サトイモなど、多くの農作物が市民の手によって丹精込めて育てられ、日本全国に届けられており、「八街ブランド」の確立を後押ししてくれております。
このような農業を基幹産業とする八街市で、私は長年、八街市の農業に関わり続けてきました。現在は八街市長として市政を預かる立場で、地域農業の発展と、そこに根ざした文化・暮らしを守ることを自らの使命として歩んでまいりました。
千葉みらい農業協同組合グリーンやちまた園芸部に協力いただき、市内保育園児に西瓜の試食会を実施
しかしながら、農業を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。担い手の高齢化、後継者不足、気候変動による収量の不安定化などの課題がある中で、私は市長として、「農業を大切にする国でなければならない」との強い信念をもって、農業協同組合と連携し、地域農業の活性化に取り組んでまいりました。
このような中で、私が力を入れてまいりましたのは、「特産品のブランド化」です。
トップセールスとして、これまで、安倍総理、菅総理、岸田総理を表敬訪問し、ラッカセイ等を贈呈するなど、八街の特産品のPRを行っており、「甘みがあって品がある」などの評価をいただいております。
また、八街産ショウガを利用した「八街生姜ジンジャーエール」の企画・生産をしている企業組合への設立支援を行い、県産品を活用した製品の成功例として高い評価をいただいているほか、当市の特色を活かし、地元産業を持続的に発展させる取り組みとして、2020年3月に「八街市ワイン特区」の認定を受け、現在はこのワイン特区を活用し、1事業者が既にワイン製造を行っており、新規就農者を集い、耕作放棄地の活用を図りながら、生産、加工、販売を行う6次産業の取り組みとして促進しているところでございます。
そして近年は、美しい里山などの自然を活かした民間企業の取り組みとして、八街市小谷流地区の里山を利用した愛犬と一緒に楽しめる日本最大級の複合型リゾート「小谷流の里 ドギーズアイランド」を核とした大型リゾート開発が進められております。これらの民間主導による取り組みなどは、地域経済に好循環をもたらし、まちの活性化・ブランド化につながるものであり、新たな観光資源の起爆剤となるものと期待しております。
このように、八街市では様々な取り組みが行われておりますが、長引く物価高騰や気候変動による大規模災害の発生など、年々、不確実性が増している状況の中で、地域の文化や暮らしの根幹を成す営みである農業は、ますます重要となると考えております。
「下闇へ目の澄んでくる野良疲れ」。これは私の句ですが、一所懸命に農作業をしている暑い夏、木陰に入ったときの安堵感を唄っています。
農業を家業とし、長年営んできた私の経験と思いは、まさに私の人生そのものであり、地域の文化・伝統と結びついた深いものでございます。
これからも、農業を生きがいに感じられる国であることを願うとともに、農業という文化の灯を絶やすことなく、次世代へとつないでいくために、全力で取り組んでまいります。
【略歴】
きたむら・しんじ
1948年1月2日生まれ。千葉大学園芸学部農業別科1965年3月修了、市議会議員3期(1999年9月~2010年11月)市議会議長(2009年9月~2011年9月)、市長 4期(2010年12月~)。
印旛衛生施設管理組合管理者(2010年12月~)、佐倉市八街市酒々井町消防組合副管理者(2010年12月~)、北総中央用水土地改良事業推進協議会会長
(2010年12月~)、千葉県農政審議会委員(2018年8月~)など要職多数。
【推薦の言葉】
農業、地域振興けん引
北村氏は、八街市の基幹産業を農業と位置づけ、特産品であるラッカセイの全国的な認知度向上に努め、農業振興と地域活性化において多岐にわたる業績を積み重ねてきた。
農地の集積と経営規模の拡大を図る意欲的な農業従事者に対して、農業機械の整備支援を実施しているほか、千葉県農業者総合支援センターと連携し相談対応体制を整備した。トップセールスを精力的に行うなど、ラッカセイやショウガをはじめとする農産物のブランド化と販路拡大を推進した。
環境保全型農業を推進、「落花生まつり」など農業イベントも積極的に開催した。農業教育と人材育成にも注力。北総中央改良区の理事長として農業振興、地域発展にも貢献した。千葉県農政審議会委員など各種審議会等の委員としても農業振興を訴え、JA千葉みらいとも連携し農政課題に尽力している。
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