【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 香川県2025年8月20日
香川県農業試験場病害虫防除所は、県内でチュウゴクアミガサハゴロモを初めて確認。これを受けて、8月19日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
香川県農業試験場病害虫防除所によると、6月26日と30日に坂出市のかんきつ圃場においてハゴロモ類の産卵痕及びチュウゴクアミガサハゴロモと疑われる成虫を確認。また、6月27日に香川県農業試験場内(綾川町)に設置している予察灯において、チュウゴクアミガサハゴロモと疑われる成虫の誘殺を確認した。
誘殺された成虫を農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、香川県では未確認のチュウゴクアミガサハゴロモであることが確認された。
同種は中国原産。国内では、神奈川県、埼玉県、福岡県、山梨県、東京都、群馬県、熊本県、富山県、千葉県、奈良県および大阪府から病害虫発生予察特殊報が発出されている。
左から、写真1:チュウゴクアミガサハゴロモ成虫(体長14~15mm)と
写真2:チュウゴクアミガサハゴロモ幼虫の脱皮殻(提供:香川県農業試験場病害虫防除所)
成虫の体長は14~15mm。成虫が静止した時の翅の色は、茶褐色~鉄さび色、翅の外側の縁の中央に半円形、または三角形の白斑がある(写真1)。幼虫は白色で、腹部から背中にかけて白い糸状の蝋物質の毛束を広げている。背中には小さい黒点が見られる(写真2)。
チュウゴクアミガサハゴロモは極めて広食性で、農作物ではリンゴ、ナシ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ、ブドウ、カンキツ、カキ、イチジク、ブルーベリー、オリーブ、キウイフルーツ、チャ、宿根アスター等に加害報告がある。
成虫が枝の樹皮を剥いで産卵するため、樹が損傷し、樹勢の衰弱や細枝の枯死が発生することがある。産卵痕は白い糸状の蝋物質で被覆される(写真3)。成虫および幼虫が枝を吸汁し、集団で吸汁すると排泄物によりすす病が発生する。
写真3:キウイの葉裏における白い糸状の蝋物質で被覆された産卵痕(提供:香川県農業試験場病害虫防除所)
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)7月現在、チュウゴクアミガサハゴロモを対象とした登録農薬はない。
(2)圃場内をよく見回り、成虫や幼虫は見つけ次第捕殺する。
(3)産卵された枝は切除して圃場外に持ち出し、土中深く埋めるなど適切に処分する。
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