(477)「SNS映えx AI予測」で次のファストフードを考える【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2026年3月13日
食品分野において新製品開発は人気ある分野です。AIの機能とSNSの動向を合わせてみたらどうなるでしょうか?
世界中で面白い食品やいわゆる「映える」食品をSNSに投稿する行動が常態化してから久しい。そこで簡単な実験をしてみた。無料で使えるAIのChatGPTに「最近のインスタグラムの投稿写真の傾向から、次に人気が出る可能性あるファストフードを予測してほしい」と尋ねてみた。以下は、結果である。
・「酸味系スラッシュ/ドリンク系」・・・・・・写真映えする酸味フローズン
・「大胆フレーバーxシェア可能型」・・・・・・強烈味系チキン...
・「ノスタルジーx現代」融合型メニュー・・・ 懐かしいお菓子を用いたドリンク
・「具材が語れる」カスタム型バーガー・・・・スパイシー味に甘いソース
・「ビジュアル+物語」重視の食体験メニュー・・地域食材ミックスサラダボウル
さて、これらの内容を見て「何だこれ?」と思う方もいれば、「なるほど!」と思う方もいるであろう。例えば、最初の「酸味系スラッシュ」のスラッシュ(slush)とはジュースなどを凍らして、シャーベット状にしたフローズン飲料である。ここにピクルス味を付けると酸味系スラッシュとなる訳だ。
「具材が語れる」カスタム型バーガーなどは、その表現どおりである。例えばトッピングを幅広く準備すれば、一人一人の好みに応じたバーガーが作れる。最後の「ビジュアル+物語」重視の食体験メニューなどは、既に各地で実施されている。このビジュアルと物語の中に、地域食材や各地域の異なる食文化をうまく入れ込めば、そこにSNS「映え」する独自性を創造できる...というわけだ。
提示された予測案をよく見ると、ファストフードである以上は手軽さ(fast)は必須であり、それに話題性(visual)と共有可能性(shareable)が付加されたことが何となく理解できる。つまり、「手軽さx話題性x共有可能性」が少なくとも必要条件であるということだ。AIのこうした使い方は、これまで多忙な日常の中で新製品開発に時間と労力をかけていた中小零細の飲食業者には大変有難いかもしれない。
ただ、そもそも問いが既にインスタグラムに投稿された画像からの分析であれば、これはいわば当たり前の要素であることも理解しておく必要がある。同じことを数多くの人が行えば、最終的には最大公約数的な内容に収束していく可能性...である。
大学で研究と教育に携わる立場で言えば、研究テーマの選択と分析においてどこに本人の独自性や新規性があるのかが問われるのと同じである。課題に直面した学生や売上増に悩む経営者は、本質的な「問い」を考える前に、目の前の状況をどう処理するかの「対処法」にどうしても目が行く。そしてAIにより一定の処理手法は従来以上の容易さで習得できても、そもそも本質的に何を「問う」べきであったかを忘れがちになる
なお、冒頭で述べたような質問を例えば複数人が同時にAIにした場合、現在の無料モデルでは、生成に多少のランダム性はあるが、大枠の内容や傾向などはほぼ共通である。
さて、既に我々はAIと共存する時代に生きている。恐らく今後は、AIで出来ることと人間でしか出来ないことをしっかりと区別・理解しておく必要がある。熟練の経営者であれば、最初に出されたファストフード案が今や多くの飲食店で実施されていることに気が付くであろう。それを踏まえて、地元の食材を生かした形でどうオリジナル・フードとしての独自性を出すか、それこそが試される時代になりつつある。
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