飼料用米、稲WCSへの十分な支援を JAグループ2025年10月16日
JA全中とJA全農は10月16日に開かれた自民党の畜産・酪農対策委員会のヒアリングに出席し、「国産飼料基盤に立脚した安定的な畜産経営への転換に向けた支援の強化が必要」などと訴えた。
自民党の畜産・酪農対策委員会
JA全中からは樽井功副会長と藤間則和常務、JA全農からは由井琢也常務が出席した。
全中は国内飼料の生産・利用の維持拡大に向けた必要な対策を要請した。
そのなかで自給飼料として重要な飼料用米と稲WCSなどについて、これまで現場で進めてきた耕畜連携や、飼料用米を使った卵や食肉などのブランド化といった畜産物生産の継続が図れるよう十分な支援を講じるよう求めた。
また、地域計画に位置づけられた適地適作による飼料生産、中山間地域や耕作放棄地・遊休農地などでの飼料生産の取り組みや、飼料の広域流通や行政主体のマッチングなどを強力に推進し、自給飼料基盤の強化を図ることが重要だと強調した。
あわせて生産性の向上が課題となるなか、生産性向上に資する幅広い農業機械や施設の導入支援と、深刻化する鳥獣被害を低減するため、広域捕獲の促進やICT活用による捕獲強化など、各地域が確実に取り組めるよう鳥獣被害防止総合対策交付金の拡充も必要だと訴えた。同交付金は25年度予算では99億円を措置、26年度概算要求では116億円を要求している。
全農は国産飼料の利用拡大に向けた取り組みを紹介した。
全農グループは全国の産地と系統配合飼料工場と連携し、配合飼料に使う飼料用米や子実トウモロコシなど濃厚飼料の利用拡大に取り組んでいる。
飼料用米については、配合飼料工場の粉砕能力の向上や、飼料用米専用ふるい分け装置の導入などで年間82万tまで飼料用米を使用できる体制を整備した。
畜種別に飼料用米を有効活用するための給餌方法や、畜産物の品質への影響などを研究し、飼料用米を使った畜産物生産のノウハウも確立してきた。
こうした取り組みを背景に飼料用米を使用した畜産物のブランド化を推進している。由井常務は「プレミアムがつくような高付加価値化はハードルが高いが、国産飼料用米を差別化ポイントとした豚肉やたまごは消費者の支持を得て、安定的な畜産物流通として定着している」と評価した。しかし、2025年産では主食用米の高騰で飼料用米生産が前年産より作付面積が53%減少する見込みだ。由井常務によると24年産で14万tの取扱量が25年産では6万t程度となる見込みだという。
こうしたなか、飼料用米を使う畜産生産者やその先の実需者に飼料用米の配合割合の引き下げや使用中断を相談せざるを得ない状況だという。由井常務は飼料用米の使用について「各所から長期的、安定的な取り組みニーズが強い」と述べた。
出席した議員からは、長年築いてきた耕畜連携の維持の重要性と、主食用米の価格に左右されない飼料用米への支援のあり方を検討すべきことや、26年産での飼料用米の確保策を早急に検討すべきなど意見が出された。
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