JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える
【米価高騰・今こそ果たす農協の役割】緩んだ米需給、高値に違和感 年度内に「急落」も 神明・藤尾益雄社長インタビュー(上)2025年10月23日
放出備蓄米に増産が重なって、2026年6月末在庫はかつてない水準に膨れようとしている。バブルともいわれる米価は今後どうなるのか。安定供給への課題は何か。石破政権から高市政権に引き継がれた「令和の米騒動」の深層と打開策を、大手米卸・神明社長で食料・農業・農村政策審議会食糧部会臨時委員も務める藤尾益雄社長に聞いた。
インタビューに応じる神明代表取締役社長、藤尾益雄氏(兵庫県神戸市の神明ホールディングス本社)
相対取引価格は衝撃
――集荷競争が激化し、スーパー店頭でも精米5kg4000円を超える現状をどう見ていますか。
藤尾 玄米60kg当たり3万6895円(税込み)という2025年産米の9月の相対取引価格には正直、驚きました。そうなると自ずと、精米してスーパーに卸す価格が白米1kg当たり700円以上になり、スーパー店頭では、新米は5kg4500円くらいが平均になります。
私どもの主力取引先のスーパーさんの9月の銘柄別売上をみると、1番売れたのが輸入米のカルローズでした。次が、小泉前大臣が随意契約で売った備蓄米で、3番目は江藤元大臣が入札で売った備蓄米を使った5kg3500円くらいのブレンド米。新米が店頭に並び始めたのに、売れ筋が外米だったり備蓄米だったり。このように現在のような価格は消費減、米離れにつながります。
米価下落、12月と来年3月が節目
――去年は本当に米が足りませんでしたが、今年は需給状況も在庫も違いますね。
藤尾 去年とは明らかに違い、今の価格には違和感が拭えません。この2年ほどは、米が不足していました。だから価格が上がっていったのです。防げなかったのは問題ですが、こうした需給状況で価格が上がったのは当然でした。
今は、農水省の最新の需給見通しでは、25年産主食用米の生産量は24年産と比べ68万tほど増えます。需要が697~711万tだとすると、2026年6月末の民間在庫は218~232万tになり需給が大きく緩むことを予想しております。また、米価が高騰していることで、消費が落ち込むことが予想され、農林水産省が発表する26年6月末在庫は230万tを超える数字になる可能性さえあります。
農林水産省資料から作成。2026年の6月末民間在庫は農水省見通し。
下落を示す点線のグラフは予測で、下落時期、下落幅含め不確定である。
過去20年、6月末在庫が230万t以上になったことは一度もありません。一番多かったのは2014年の220万tで、この年は大暴落し相対取引価格は1万1000円台になりました。218万tになった2021年も1万2000円台に落ち込んでいます。
いつから下がるかはわかりませんが、過去よりも需要量は減少しているのですから、6月末在庫が230万t前後になると、価格は必ず下がります。
たしかに春先くらいまでは集荷業者が産地に入り高値を提示していたのですが、このところ動きが止まったと聞きます。さすがにこの値段になってくると売り先がないと集められないので、集荷業者も消極的になってきたようです。全農は概算金を払っているので販売価格をなかなか下げられませんが、相場が先に下がるでしょう。一つの節目は12月です。
――集荷がひと段落して。
藤尾 集荷状況も契約状況もわかってきます。資金繰りもありますので、集荷業者は、高い米を集めたら速く捌かないとお金が回りません。決算期の3月も節目になりそうで、高く仕入れた米を安く手放し損切りする業者も出てくるかもしれません。
懸念される中食での米離れ
――米は価格弾力性が低い ので価格が変化しても需要はあまり変わらないと思ってきたのですが、スーパーの売上などを見ると、必ずしもそうでもないのでしょうか。
わかりやすいのはコンビニの売り場です。
大手コンビニのおにぎりの値段を見ると、のりを巻いてない雑穀おにぎりで180円。ちょっとプレミアム感のある商品は300円くらいします。シーチキンでも200円近い。これは24年産米の時の話です。米価も25年産ほど高くないときの価格でしたが、これからの25年産の商談では、前年の価格で提案することが難しい状態です。
おにぎりの値段はもう一段上がり、売れ行きが厳しくなるでしょう。競合する総菜パンは140~180円が多いです。一時好調だったパックご飯も売れ行きが鈍り、コンビニの棚での扱いも小さくなっています。パックご飯は有名メーカーのNB商品だと1個200円、そうでない商品も160円はするので、コンビニPBブランドで170円ほどのカップ麺とぶつかってきます。
(下に続く)
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