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JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える

【米価高騰・今こそ果たす農協の役割】農協は農家のインフラ 急がれる「備蓄米買い上げ」 神明・藤尾益雄社長インタビュー(下)2025年10月23日

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「令和の米騒動」の背景には、生産基盤の脆弱化がある。米暴落を回避しながら農家がもうかる仕組みをどう作るか。JAグループへの期待も込めた神明社長・藤尾益雄氏インタビューの後編では、米安定供給への課題を掘り下げる。

米の安定供給のための「長期契約」に関してJAグループへの期待を語る神明社長の藤尾益雄氏(兵庫県神戸市の神明ホールディングス本社内)米の安定供給のための「長期契約」に関してJAグループへの期待を語る神明社長の藤尾益雄氏
(兵庫県神戸市の神明ホールディングス本社内)

次第に弱まる「米作りの力」
――中食での米離れが心配ですね。ところで、「水田でめいっぱい米を作ると1000万tになるが、国内需要は700万tなので、その差を調整しなければ」というのが、これまでの水田政策の前提となる構図でした。近年、この構図が変わってきたのでしょうか。

藤尾 そうです。30年前、農業就業者は413万人いて、平均年齢59歳でした。それが今は111万人に減り、平均年齢69歳です。30年間で300万人減り、65歳以上が全体の約70%を占めています。特に耕作面積5ha未満の小規模の農家が高齢化しています。今後就業者も面積も減るため、2035年には米生産量は年間500万tまで減ると予想しております。

「小さな農家が離農したら、大規模な担い手が農地を集積すればいい。そうすれば生産が維持できる」というのが国の発想ですが、もう少し考えてほしいです。小規模農家は中山間地が多いため、この人たちがリタイヤしても大規模生産者はなかなか田んぼを引き受けません。平地と違って中山間地は効率が悪いからです。農家の減少、高齢化を考えると、米を全力で作っても1000万tには遠く及ばず、今後さらに減っていく現実を見るべきです。

増産と輸出をめぐって
――藤尾社長は、増産して余ったら輸出することを提言されています。輸出は重要課題ですが、米の輸出価格は玄米60kg8000円ほどと聞きます。生産者が利益を出すのはかなり厳しいと思うのですが。

藤尾 実際のところ、米の輸出は着実に増え2024年は4万5000tを超えました。当社は早くから取り組み、輸出全体に占める当社のシェアは約20%です。

輸出する米は新規市場開拓米という位置づけで10a当たり4万円の補助が出て、1俵(60kg)当たり5000円ほどになります。だから生産者は輸出用の米を作ってくれ、輸出が伸びたのです。自治体によっては交付金を設定しておりますが、それがなくても8000円+5000円で手取りは1万3000円。特にB銘柄なら以前の概算金より高いです。ただ、ここまで概算金が上がると、今年は大きく減ると思います。逆に今後米価が下がったら、輸出が再び農家の経営を支える可能性はあります。考え方としてはやはり、増産をして余った分を輸出し、価格を調整するのが良いと思っています。

もうかる農業、「反当たり何円」で
――「農家がもうかる仕組みを作る」ことが持論ですね。

藤尾 米は、今年は儲かります。しかし来年は下手したら大暴落です。それでは意味がありません。農家が持続して利益を上げるには、まず効率よく生産することが必要です。神明では、静岡県菊川市の株式会社あかふじファーム菊川ラボでは52haの農地で、スマート農業も活用した効率化を研究しています。また、株式会社神明育種研究所では多収米の研究をしています。多収米は晩生品種が多かったのですが天候リスクを伴うので、できるだけ早生にしようと試行錯誤し「ふじゆたか」ができました。多収品種を植えることで「1俵当たり何円」ではなく「1反当たり何円」という計算で、手取りが増やせます。

業務用、たとえば牛丼チェーンでは米が必須で、国産米が買えなければ外米に切り替えられます。実際、国家貿易MA米のうち主食用に回るSBSが10万t全部落札される上に、民間貿易による米輸入量が高推移しており、今年は1~8月までで8万tに達しました。このように、米価高騰による中食・外食の外国産米の使用が増えてくることが予想されます。神明の売上では家庭用と業務用が半々くらいの割合です。一般的には6対4くらいですが、中・外食はそこまで販売割合が伸びてきております。ここを外国産米に取られるのではなく国産米を食べ続けてほしいです。

再生産支える「長期契約」ともに
――最後にJAグループへの期待や注文があれば。

藤尾 「米が集まらないから仕方なく」というのもわかりますが、25年産米は概算金を上げ過ぎたというのが率直な印象です。もう少し段階的にしてほしかったです。このままでは「農協が集荷し全農、米卸を経て実需にわたる」という流通が細っていくばかりです。

農協は農家のインフラです。農協がないと農家が成り立たない。農家としっかり向き合い、農協にお米を持ってきてもらえるよう頑張ってほしいなと思います。

当社は創業123年を迎えましたが、これまで続けてこられたのは農家さんが米を作り売ってくれたからです。最終的に大事なのは人間関係です。農協がないと農業が続けられないとなれば、高い安いでなく、農家は農協に米を出してくれると信じていますし当社も協力したいと思います。農家の「再生産価格+利益」、たとえば60kg2万円の5年契約でJA・全農が集荷し、それを当社が買って、実需に繋げる。そのように、農家、JA・全農、卸、実需が4者で長期契約を結んでいければ、農家が安定的に利益を出せるように十分できます。

政府は「備蓄米買い入れ」急げ
――貴重なご提案と思いますし、複数年契約は全農や各JAも取り組みを進めています。まずは暴落を止めたいですね。

藤尾 「備蓄米買い入れをもう打ち出せ」と国に言いたいです。2025年産は30万tでもいいです。26年6月末に見通される民間在庫230万tから30万tでも引かれれば適正在庫に近づきますので。

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