【コラム・ここがカンジん】"竜の目"に何を入れるか2014年12月26日
意味の分からない衆議院選挙が終わり、目論み通り与党は圧勝した。JAはTPPや農協の組織改変など自らの利益にならない政策を進める政府与党に抗するすべもなく、多くが自民党支持に回ったと思われる。共産党を除き、野党は政府与党に対する明確な対抗軸を示せず惨敗した。閣僚はすべて留任の方向だという。安倍内閣は一層の自信を得て、これまでのアベノミクスの路線を一層推進することになる。
◆与党の圧勝で
農業改革は成長のための第三の矢とされており、JAの組織改編については着々と実行に移されることになるだろう。JAはこれまで自らの組織の存在について考えたり、外に向かって自己主張することは苦手としてきた。
その背景には、国や農水省は、最後は悪いようにはしないだろうという安易な考えがあったことは否めない。ところが今回、農水省は全部がそうとは言えないまでも、本気で総合JAの解体という組織改編を考えている。これに対して、JAは全国連を含めて、今回は中央会の問題だ、全農の株式会社転換法も選択しなければいいなどというその場しのぎの雰囲気が強い。
今回の中央会の新制度への移行、JAの株式会社化などの政府提案は何かが欠けている。
それは“竜の目”である。今回の政府提案は、JAの農業専門的運営や会社化の方向を示しているが、“画竜点睛”の“点”がない。竜の目とは法律上、職能組合としてのJAの明確化である。現在、JAを構成する正組合員は農業者となっているが、その内容は農民と農業を営む法人となっている。このうち、法人はともかく農民については一年のうち90日以上農業に従事する個人とされており、必ずしも農業専業者とはなっていない。
◆職能か総合か
つまり、これまで示されてきた「規制改革実施計画」の基本的な考え方であるJAの職能組合としての方向づけは、農協法上の根拠に欠けるということだ。JAグループの自己改革案が出された際の記者会見で、西川農相は、政府の考えとズレがあるとして、JAの地域振興の取り組みを否定して見せた。来年の通常国会に向けて、当局は法案づくりを進めているが、この中で農協法第一条のJAの目的規定が専業農家育成というように見直される公算が大きいと考えるべきではないか。
今回の政府提案のJA改編の基本争点は、これまでJAが進めてきた「農を通じた豊かな地域社会の建設」という地域農協の方向と、これを否定する専業農家中心の職能協同組合の考えの対立である(農業専門JAvs総合JA)。国会では農業政策の取り組み、協同組合の役割、それを具現化する総合JAの意義・役割についてJAとしてしっかり理論武装して臨む必要がある。
法律でさらなる職能組合の方向が確定すれば、政府が決めた「規制改革実施計画」で示されたJA組織の改編案はすべて正当化(とくに信用・共済事業の分離)されることになり、総合JAは確実に崩壊の道をたどることになる。
重要な記事
最新の記事
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日
-
農水省『全国版畜産クラウド』とデータ連携 ファームノート2024年4月26日
-
土日が多い曜日まわり、歓送迎会需要増で売上堅調 外食産業市場動向調査3月度2024年4月26日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年4月26日
-
淡路島産新たまねぎ使用「たまねぎバーガー」関西・四国で限定販売 モスバーガー2024年4月26日