【現地レポート】能登半島地震から100日(1)真の復旧なお途上2024年4月16日
1月1日に石川県能登地方を震源とする「令和6年能登半島地震」の発生から100日の4月9日。
能登農協(JAのと本店は鳳珠郡穴水町)に代表理事組合長の藤田繁信さん(68歳)を訪ね、被災地に入った本紙特別編集委員の村田武九州大学名誉教授に取材報告してもらった。
4m隆起の海岸
石川県能登半島突端の珠洲市内を震央として1月1日の夕刻に発生した地震は、マグニチュード7・6という内陸部で発生する地震としては日本でもまれな大きさの地震であった。観測された最大震度は、珠洲市の西隣りの輪島市門前町と、羽咋郡志賀町で震度7であった。この地震は、能登半島西方沖から佐渡島西方沖にかけて伸びる活断層を震源とする地震で、日本海沿岸の広範囲で津波が観測され、土砂災害、液状化現象、火災などが広範囲に発生した。
地震による家屋の倒壊が相次ぐなかで、死者が200人を超え、交通網が寸断され、孤立集落が多数発生して救助活動が難航するなど、奥能登地域を中心に北陸地方の各地で甚大な被害が発生した。4月1日現在でも8109人が避難所暮らしをよぎなくされており、そのうち半分の3956人は地域外の宿泊施設など、いわゆる2次避難所暮らしである。仮設住宅の申し込みは7800件に及ぶ。これまでの完成は約900戸で、希望者全員の入居は8月だとされている。
いたるところで山崩れ
いたるところで山崩れが
森川斉災害対策室室長の運転する車で、藤田組合長と穴田睦実審議役(災害復旧担当)といっしょに、とくに農家集落と農業被害の現場を見せてもらった。驚かされたのは、これまで新聞等で報道された被災写真にはほとんどなかった海岸や山間の堆積岩層とみえる急傾斜地がいたるとこで崩壊して山肌が露出しているだけでなく、巨岩が転げ落ち、また途中でひっかかった恐るべき姿であった。そうした山崩れが道路を塞ぎ、42もの孤立集落を生み出すことになった。そうした孤立集落でも農家住宅の損壊で、住民が集落外に避難せざるをえず、無人となっている集落も残されている。
200人を超える死者のなかには、JAのとの職員一人も含まれる。
1月1日夜からの1次避難所として、本店の3・4階、輪島支店2階、河原田、町野の両セレモニーセンター施設、三崎育苗センターの5か所を提供した。合計約500人を受け入れることができた。珠洲地区では、スイカ出荷用ダンボール500枚を提供した。輪島市門前地区と能都町宇出津地区では、Aコープ店舗にあった食品を地域住民に無償提供した。家屋被災でJA貯金の通帳・カードを失った被災者には、JA窓口で10万円を上限に払い戻しを行っている。
JAのと本店5階
移動金融店舗車2台が、とくに被害のひどかった珠洲市で住民の暮らしを支えている。その内移動金融店舗車1台は、長野県伊那市のJA上伊那が2月初めから月末まで提供してくれた「カミマール号」である。
JA上伊那が提供してくれた移動販売車「カミマール号」
JAの給油所は全農石川のタンクローリーが金沢市からガソリン・軽油・灯油を緊急輸送してくれたので、地震3日後の1月3日には営業を開始できた。これは復旧関連車両への燃料供給で大きく貢献することになった。
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