シンとんぼ(87)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(1)2024年3月30日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、前回までにひと通りの検証と考察が終了したので、これまでのことを一度整理してみようと思う。
みどり戦略の大義は「安全な食糧を安定的に確保する」であり、それを実現するためには新しい技術開発、イノベーションが必要だとなっている。そこでシンとんぼでは、同戦略のKPIやスマート農業について、その有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証し、「食の安全」とは何かというテーマとを照らし合わせて、色々と考察を加えてきた。
その結果たどり着いたのは、どうやら現在の技術でも「安全」な食料の生産は可能であり、何も現在の技術を否定する必要は無いのではないかということだ。このことの根拠を農業生産に直接関係するKPIに絡めて整理してみようと思う。まずは農薬だ。
農薬は病害虫雑草の被害を防ぐために不可欠な資材であるが、厚生労働省と農水省が定めた厳しいハードルをクリアして登録認可されており、定められた使用方法で使用して生産された農産物が健康被害を起こすことはない。その農薬を、世界一勤勉な日本人の中でもさらに真面目な日本の農家が使用方法を曲げて使用することは限りなく低いので、日本の農薬を使用して生産された農産物を食べたことで健康被害が起こるリスクはほぼゼロだろう。さらに日本の農薬登録制度では、ヒューマンエラーによる残留基準値超過が発生した場合を想定して100倍以上の安全係数を設け、万が一残留基準値を超過した農産物が消費されたとしても健康被害が起こらないような仕組みになっている。現実に、農薬を散布して生産された農産物を食べた人に健康被害が起こった事例は皆無である。さらに、近年は環境影響に関するデータもたくさん積んで登録認可されているので、環境影響を起こすこともないだろう。
これほど安全な農薬なので、その散布量を減らすことは食の安全上は何の意味もないし、逆に食糧の安定生産、自給率向上に逆行することになるだろう。なので、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を本当に実現したいのであれば、「農薬の使用量を減らしましょう!」ではなく、「農薬は使用方法を遵守して正しく使いましょう!」と徹底すれば事足りるのではないだろうか? 無理に農薬の使用量を減らしても、収量、品質に影響を及ぼすばかりで、「安全な食糧を安定的に確保する」という大義から遠ざかり、全く意味が無いとシンとんぼは思う。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】シロイチモジヨトウ 全道で多発に注意 北海道2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】25年産主食用 作付増加傾向(1)2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】25年産 飼料用米の作付け減少(2)2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】24年産で高温耐性品種の割合増える(3)2025年8月25日
-
水稲用除草剤「ノックアウト楽粒」の効果・作業性は? 2年連続導入の生産者に聞いた 北興化学工業2025年8月25日
-
【人事異動】JA全中(9月1日付)2025年8月25日
-
ひとめぼれの概算金2万8000円 「3000円台で安定供給」 全農いわて2025年8月25日
-
観光地の熱海再生に学ぶ 新たな事業創造の実践【JA全中教育部・ミライ共創プロジェクト】2025年8月25日
-
耕畜連携・資源循環ブランド「3‐R」6周年フェア 広島のみのりカフェで開催 JA全農2025年8月25日
-
特大野菜と岡山県産豚の"晴ればれバーガー"を期間限定販売 JA晴れの国岡山2025年8月25日
-
県のオリジナル新品種「桃太郎トマトシルク」をPR 天満屋ストアでイベント開催 JA晴れの国岡山2025年8月25日
-
【農と杜の独り言】第3回 コンテストが園芸博の特色 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年8月25日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」山梨県で大玉で濃厚な甘みの すもも「皇寿」を収穫 JAタウン2025年8月25日
-
【推しの子】コラボの福島県産もも 好評で追加注文受付開始 JAタウン2025年8月25日
-
北海道産牛乳・チーズを買って当てよう「Choose!&Cheese!キャンペーン」ホクレン2025年8月25日
-
ジャガイモシストセンチュウ類 新たな土壌検査法を開発・検査サービス開始 農研機構2025年8月25日
-
日本の農業技術をインドへ エムスクエア・ラボと共同事業開発契約を締結 誠和2025年8月25日
-
世界初スイッチ型分解ペーパーポット 持続可能な農業資材を開発 ニッテン2025年8月25日
-
化学工学会の粒子・流体プロセス部会主催国際シンポジウム「MMPE2025」に協賛 丸山製作所2025年8月25日
-
LED植物工場で「甘くて栄養価の高いミニトマト」安定生産に成功 東京大学2025年8月25日