2025人事バナー縦
JA全農人事情報
左カラム_病害虫情報2021
新聞購読申込 230901
農協研究会
左カラム_コラム_正義派の農政論_pc
左カラム_コラム_米マーケット情報_pc
左カラム_コラム_地方の眼力_pc
左カラム_コラム_食料・農業問題 本質と裏側
左カラム_コラム_昔の農村・今の世の中_pc
左カラム_コラム_花づくり_pc
左カラム_コラム_グローバルとローカル_pc
左カラム_コラム_TPPから見える風景_pc
左カラム_コラム_ムラの角から_pc
ニッソーグリーンSP:マスタピース水和剤
FMCプレバソンPC
FMCセンターSP:ベネビア®OD

観光地の熱海再生に学ぶ 新たな事業創造の実践【JA全中教育部・ミライ共創プロジェクト】2025年8月25日

一覧へ

JA全中は8月20、21日、東京・大手町のJAビルで令和7(2025)年度の「ミライ共創プロジェクト」の第1セッションを開いた。今年度は同プロジェクトに全国のJAから10人が参加した。

第1セッションの様子

第1セッションの様子

地域課題の事業化とは何か?

同プロジェクトは、環境変化に対するJAのビジョンを組合員とともに描き、新しい価値(事業や活動)を創造・実践する経営人材の育成を目的に、40歳前後の次世代経営人材を対象に実施。年間を通じて、JAの外の現場から学ぶフィールドワークを行い、来年4月に成果を事業構想として発表する。

年間テーマは「私たちはミライのために、どのような価値を提供できるか」。第1セッションは「地域課題の事業化とは何か」を仮テーマとして実施した。

20日はJA全中の田村政司教育部長らによるオリエンテーションに続いて、Gensen&Co代表取締役の佐々木梨華氏による「事業創造による民間まちづくり会社の熱海再生」をテーマにした講演とワークショップを行った。

21日は、AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)のメンバーによる「新しい価値創造とは何か」をテーマに、新しい事業創造の進め方などをワークショップで学んだ。

Gensen&Co代表取締役の佐々木梨華氏Gensen&Co代表取締役の佐々木梨華氏

民間まちづくり会社による熱海再生

Gensen&Co代表取締役の佐々木氏は企業研修会社を経て、2019年から地域創生プロジェクトを担う団体に移り、"複業"として熱海に関わりながら、新規に企業研修事業を立ち上げた。熱海を拠点とする企業研修では100社、1200人が導入した実績を持ち、今年4月に独立、起業した。

熱海の宿泊者は1960年代の560万人をピークに衰退し、2000年代には半減。銀座商店街など中心市街地はシャッター通りと化し、旅館・ホテルの廃墟も目立った。住宅の空室や高齢化、生活保護などの比率は静岡県内でもワースト。佐々木氏はその姿を「50年後の日本の姿」に重ね、「100年後も豊かなくらしができる街」に向けて地域課題のビジネスによる解決を目指した。

観光客の回復に向けて、まずは地元住民の意識改革を重視した。「オンたま」(熱海温泉玉手箱)プロジェクトで昭和のレトロな街歩きや海・山の体験ツアーを実施し、年間最大5000人が参加。約7割の住民が「イメージが変わった」と実感するようになった。

市街地再生は「補助金に頼らず、民間主導のまちづくり」を進め、街づくり会社(machimori)を設立し、空き店舗のリノベーションでカフェやゲストハウス、コワーキングスペースを開設し、歩行者天国でのマルシェも実施。宿泊施設は旅館やホテルのように客を囲い込まず、街全体の機能を活用する「まちやど」に位置付けた。

実践的な手法を解説する佐々木氏実践的な手法を解説する佐々木氏

2016年頃からは新たな出店も増え「何も用事がなくても、銀座通りに行けば誰かに会える」商店街へと変貌した。人通りは数倍に増え、特に10代、20代の若い観光客を集めている。2021年には商店街1階の空き店舗はゼロ、雇用や人口、地価も上昇し、観光客は2015年に300万人を超えた。「コミュニティーの再生」も進み「お祭りに地元の参加者が何倍にも増え、若い人が増えた。それが一番うれしい」と語る。

再生は小さなプロジェクトの積み重ねの成果だが、当初から時代に合わせて変化する熱海を構想し、ビジョンとして「熱海サードプレイス計画」を掲げている。サードプレイスは家でも職場でもない場所だが、熱海では「観光と定住の間のグラデーションある多様な暮らしができるまち」と定義した。

ビジョン実現のため、若い世代の定住の障害であった住宅問題にも取り組んだ。熱海は高級リゾートマンションと老朽化した「風呂もないアパート」に二極化し、単身者向けのアパートが不足していたからだ。

2019年に不動産会社を設立し、「借り手を先に決めてから希望に合わせてリノベーションする」という通常とは逆転した手法を採用。街の機能を活用する「まちごと居住」を進め、渚町エリアには銭湯も作った。

この間、グループの売り上げは大きく成長した。今後、目指しているのは「100万人1回訪れるよりも、1万人が100回訪れる街へ」だ。

課題の実践的解決策と「原体験」

熱海再生の経験も踏まえ、佐々木氏は「地域課題の解決」と「事業創出」の実践的な手法を解説した。①課題・対象を深く理解し、特に現場や当事者の1次情報に直接アプローチし、体験や観察を重視する。②課題の広がりと構造を理解する。③他の視点から考える。④仮説をぶつけて検証する。そして、こうした過程を「行きつ戻りつを繰り返す」ことの重要性だ。

その前提として、⑤「社会を変えるには、まず自分が変わること」を指摘した。「課題に挑むうえで、自分自身の揺るぎないミッションを見出す」ことで、困難があっても乗り越えられる力や情熱にもつながる。自己変革の根っこにあるのが「原体験から築かれた価値観や志、問題意識」。これが課題解決や事業創出の出発点になれば、「評論家にならず、自分事として課題の本質が見え始める」。

参加者によるワークショップ参加者によるワークショップ

後半に行った原体験を探求するためのグループワークを受け、佐々木氏は様々な体験を通じて「何に心が揺れたのか、自分に向き合い、何に対して思いを持って取り組めるのかを大事にしてほしい」と結んだ。

重要な記事

ヤンマーSP

最新の記事

クミアイ化学右カラムSP

みどり戦略

Z-GIS 右正方形2 SP 230630

注目のテーマ

注目のテーマ

JA共済連:SP

JA人事

JAバンク:SP

注目のタグ

topへ戻る