(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
「機会があれば、海外で仕事や勉強をしてみたい」と思いますか?
「日本人の意識調査」(1973-2018)というNHK放送文化研究所の調査がある。1973年以降5年ごとに実施されており、まとめがWebで公開されている※1。項目は、基本的価値、経済・社会・文化、家庭・男女、政治、の大項目、さらに中・細項目がある。
例えば、「経済・社会・文化」の中項目は、コミュニケーション、人間関係、仕事と余暇、宗教、国際化、である。その中で人間関係は、親戚、職場、近隣、友人、という細項目に分かれているる。
ここでは人間関係(職場)を紹介しよう。1973年から2018年までのデータが棒グラフですぐに確認できる。質問は「職場の同僚とは、どんなつきあいをするのが望ましいと思いますか?」であり、回答は以下の5択である。
・形式的つきあい(仕事に直接関係する範囲のつきあい)
・部分的つきあい(仕事が終わってからも、話あったり遊んだりするつきあい)
・全面的つきあい(なにかにつけて相談したり、たすけ合えるようなつきあい)
・その他
・わからない、無回答
さて、どれを選択するか、まずは考えてみてほしい。最後の2個(その他、わからない、無回答)は3%程度のため、ここでは無視する。
概ね半世紀を通じて余り変化がないのは「部分的つきあい」であり、26-39%で推移している。興味深いのは、「形式的つきあい」と「全面的つきあい」の割合の推移である。
1973年には「形式的つきあい」11%、「部分的つきあい」26%、「全面的つきあい」は59%であった。それが2018年になると「形式的つきあい」27%、「部分的つきあい」33%、「全面的つきあい」37%へと変化している。
簡単に言えば、半世紀前の日本では全体として、職場の同僚とは「全面的つきあい」をしていた人が約6割存在していた。これが2018年には4割弱に減少した。そして、同期間に「形式的つきあい」の割合は約3倍に伸びている。
この調査は意外と親切であり、右側の年代別項目を選択できる。例えば、60-69歳に相当するデータを見ると、先の「全面的つきあい」は、1983年が71%で最大であり、2018年には31%と半分以下になる。1983年当時60-69歳であった人達の7割は職場の同僚とのつきあいが「全面的つきあい」である。このあたりはそのような上司や先輩に多数囲まれていたため体感としても何となく思い出せる。
興味深いのは20-29歳で、「全面的つきあい」の割合は1973年の48%から2008年の31%にまで低下する。だがその後は上昇し2018年には38%に到達している。リーマン・ショック以降の経済環境が影響しているのかもしれない。若者の感度も変化しているということだ。もう少し調べると面白いと思うが、詳しい背景はわからない。
さて、中項目「国際化」小項目「外国との交流(海外で仕事・勉強)」の推移を見ると、「機会があれば、海外で仕事や勉強をしてみたい」人の割合は、2003年の43%から、2018年には33%に減少している。年齢別で見た場合、16-19歳は62-68%がいずれの年でも「そう思う」と答えているが、年齢が上がると割合は減少している。ただし、60-69歳は25-28%が「そう思う」と答えているのはいつの時代も変わらない。
やや楽観的かもしれないが、どうも「機会があれば、海外で仕事や勉強をしてみたい」人は大学入学前か定年退職後においては常に一定割合が存在するようだ。そのため、人口減少局面で絶対数は減少してもここに集中したビジネスやサービスは継続的な需要が見込まれると考えられる。
なお、2018年に限定すれば、20代では6割、30代では5割、40/50代では4割が「機会があれば、海外で仕事や勉強をしてみたい」と答えている。年齢とともに数字は低下しているものの、関心は根強いことがわかる。
* * *
この調査は2018年で終了し2023年には実施されなかったようですが、あらためて見るといろいろと面白い発見があります。
※1 NHK放送文化研究所「日本人の意識調査」(1973-2018)、アドレスは、https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/nihonzin/ (2024年4月22日確認)
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