JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
私の地元JA遠州中央は静岡県の西部、天竜川の東に位置し、管内の山間地ではお茶、南部ではお米のほか、トマト、白ネギ、海老芋、レタスなどの特産品やイチゴ、メロンなどの果実も栽培されています。
さて、私自身、大切にしている言葉として、「人生は出会いから」と色紙に書きましたが、人は長い人生の中で、多くの人と出会いながら、多様な人生を歩むことになります。この出会いは人にとってとても大事であり、また本人のやる気次第でいかようにも変わると思います。
こうした思いを持った私が、多くの仲間の支援や協力のもと、JA遠州中央で取り組んだことの一端を紹介したいと思います。
一つ目は、「茶うどんの製造販売」です。
お茶の消費が減少し、厳しい状況が続く中、管内のお茶をPRするとともに、少しでも消費を伸ばすため、浜松の天竜区産の抹茶を練りこんだ「茶うどん」の製造に着手しました。うどんの製造には香川県の讃岐うどんとコラボするとともに、試作を繰り返し、讃岐うどん特有のコシとお茶の風味を楽しめる「静岡茶うどん」が完成し、2020年12月から販売を開始しました。ファーマーズマーケットだけでなく、観光物産所、駅の売店などへの販路拡大に取り組んだ結果、25年5月時点の販売数量は5万袋を超えています。
二つ目は、「ときめきマルシェ」の始動です。
2022年6月、買い物弱者の日常生活を支援することを目的にJA共済の地域農業活性化資金を活用して「ときめきマルシェ」という移動販売車を導入しました。地域支援であり、地域貢献を目的とした取り組みでありますが、組合員・利用者の皆さまからは、とても喜んで利用していただいており、JAとして非常に意義のある取り組みであると実感しています。
三つ目は、JA遠州中央における共済事業にかかる取り組みであります。
2019年4月に組合員・利用者の利便性向上を図ることを目的に、土日も営業する「共済アドバイスセンター」を設置いたしました。現在は名称を「共済相談プラザ」に変更し、2カ所で営業を行っており、今ではこの体制も定着し、プラザ内ではLA間の情報共有やOJT、スキルアップが図られていること、LAは必ず支店に出向き、情報共有が行われています。支店においては、共済事業だけでなく他事業も含めて一体となって取り組む意識の醸成にもつながっていると感じています。
また、近年、女性のLA登用を進めており、女子職員の活躍がJAの活性化とともに、JA内のD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)の取り組みにもつながっていくものと確信しています。
私は2023年6月にJA共済連静岡の運営委員会会長に就任いたしましたが、この年は2月に「共済事業における総合的な監督指針」の改正が行われ、6月には「規制改革実施計画」が閣議決定されました。このことはJAの共済事業、特に推進活動に大きな影響を与え、JAによっては、一般職員の推進活動を廃止するなど、事業量の縮小を余儀なくされました。
こうした状況を踏まえ、県下の事業基盤を維持していくため、JAごとの事業実施体制の再構築に取りくむとともに、JAと連合会が一体となって、組合員・利用者の保障充足に取り組んでいます。
イメージ写真:JA共済トーナメント少年軟式野球大会 始球式
また、JA・連合会では、JA共済の認知度向上やJAファンづくりとともに、農業振興、担い手育成支援にも積極的に取り組んでおり、地域農業活性化資金の後押しもあって、農林環境専門職大学や県下農業高校への研修資器材の寄贈や子育て世代応援イベントのほか、少年軟式野球大会などにも取り組んでいます。
これからもJA・連合会の役職員の皆さまとともに、JAの事業をPRし、地域になくてはならない存在であり続けられるよう、JA、JA共済に関わっていきたいと思います。
【略歴】
すずき・まさあき
2008年6月遠州中央農業協同組合経営管理委員、2014年6月同経営管理委員会副会長、2017年7月同経営管理委員会会長、令和2年6月静岡県農業協同組合中央会副会長、2023年6月遠州中央農業協同組合経営管理委員会名誉会長、同年6月全国共済農業協同組合連合会静岡県本部運営委員会会長。
【推薦の言葉】
地域と共済発展に尽力
鈴木氏は、地域の農業と社会の発展に貢献し続けている。JAでは「農業を通じて新しい時代の住みよい社会と、健やかでうるおいのある生活を地域の人たちとともに育み、高めつづける」理念を掲げ、JA共済は「農家・組合員が自然災害や万が一の時に大きな役割を果たす」と強い信念を持つ。
「組合員・利用者に安心と満足を提供することが使命」と保障充足に取り組み、全国有数の実績に導いた。現在も静岡県JAグループのリーダーとして、厳しい環境下でも「組合員・利用者本位の事業運営」を推進。県下JAと一体で共済事業基盤再構築に尽力している。
農業振興や担い手育成、地域貢献にも積極的で、資機材寄贈やイベントを通じて認知度向上や「JAファンづくり」にも貢献。安心して暮らせる社会を築きたいという強い思いがある。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 茨城県2025年7月11日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月11日
-
【注意報】果樹に大型カメムシ類 果実被害多発のおそれ 北海道2025年7月11日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月11日
-
【注意報】おうとう褐色せん孔病 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】農協運動 LAが原点 共済事業部門・千葉県・山武郡市農協常務 鈴木憲氏2025年7月11日
-
政府備蓄米 全農の出荷済数量 80%2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA加賀(石川) 道田肇氏(6/21就任) ふるさとの食と農を守る2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA新みやぎ(宮城) 小野寺克己氏(6/27就任) 米価急落防ぐのは国の責任2025年7月11日
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【2025国際協同組合年】協同組合の父 賀川豊彦とSDGs 連続シンポ第4回第二部2025年7月11日
-
米で5年間の事前契約を導入したJA常総ひかり 令和7年産米の10%強、集荷も前年比10%増に JA全農が視察会2025年7月11日
-
旬の味求め メロン直売所大盛況 JA鶴岡2025年7月11日
-
腐植酸苦土肥料「アヅミン」、JAタウンで家庭菜園向け小袋サイズを販売開始 デンカ2025年7月11日
-
農業・漁業の人手不足解消へ 夏休み「一次産業 おてつたび特集」開始2025年7月11日
-
政府備蓄米 全国のホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」で12日から販売開始2025年7月11日
-
新野菜ブランド「また明日も食べたくなる野菜」立ち上げ ハウス食品2025年7月11日
-
いなげや 仙台牛・仙台黒毛和牛取扱い25周年記念「食材王国みやぎ美味いものフェア」開催2025年7月11日
-
日本被団協ノーベル平和賞への軌跡 戦後80年を考えるイベント開催 パルシステム東京2025年7月11日