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JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える

地域産米の安定生産と集荷増大で信頼勝ち取る JAはだの組合長 宮永均氏2025年7月10日

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米価高騰の背景には気候変動にともなう米の作柄への影響や、国際情勢の不安定化による食料の供給不安など、長期的な課題があることを視野に入れておく必要がある。そのうえでJAは地域の農業振興と生産者支援を強化し、地域産米の安定生産と集荷量の増大を図ることが必要だとJAはだのの宮永均組合長は提起する。地域とともにあるJAの姿が消費者の信頼獲得にもつながる。

JAはだの組合長 宮永均氏JAはだの組合長 宮永均氏

国内の米価が高騰し、農家や消費者の双方にとって大きな関心事になっている。特に令和6年産の米価上昇は、気候変動や国際情勢の変化、国内の需給バランスの崩れなど複合的な要因も考えられるが、これまでの価格推移と比較しても異例な動きとなっている。このような状況下でJAはどのような役割を発揮すべきか。今こそ、その存在意義と役割を再認識し、具体的な行動を取らなければならない。

米価高騰の背景と現状

市場での米価高騰となった背景は、令和4年以降の気候変動による異常気象により米の生産量は全国的に減少傾向にあり、特に北海道や東北地方を中心に収穫量の減少が顕著となり供給不足懸念が高まったとされている。

しかし、農林水産省が令和7年3月に発行した「米の基本指針に関する主なデータ等」による主食用米作付け状況は、令和6年産が125・9万ha、令和5年産は124・2万ha、令和4年産125・1万haであり、収穫量も令和6年産679・2万t、令和5年産661万t、令和4年産670・1万tとされている。需要量は700万t前後と大きな変化は見られないため、米不足による米価高騰は見当違いかもしれない。

では、どうしてか? 米の流通におけるJAグループの集荷量のシェアは、令和6年産米の集荷量に関しては、国内の米生産量の約40%をJAが占めている一方で、このうちJA全農のシェアが令和6年産で26%にまで低下している。JA全農やJAグループ以外のコメ集荷率について具体的な最新の統計データは公表されてないが、一般的にJAグループのシェア約40%で、残りの60%は民間の米卸業者や直接販売、地域の小規模集荷団体などが占めていると考えられる。つまり、JA全農のシェアが低下する一方で、民間卸業者や地域の集荷団体、直接販売などの割合が増加していることが確認される。米価高騰の原因は民間卸業者などの取扱量増加の影響が大きいことを指摘する。

今年6月5日にNHKが島根県松江市で販売された米の平均小売価格の構成額について試算した結果を報道した。

「価格に占める卸業者と小売業者の割合が令和5年から過去5年間に収穫された米の平均のおおよそ3倍であった。卸売業者と小売業者、JAが農家に支払った生産者概算金、JA分の3つを試算した結果、精米5kg当たりの平均小売価格3921円のうち、卸業者と小売業者は2000円、生産者概算金は1667円、JA分は254円であった。平均小売価格が1・9倍だったのに対し、卸売業と小売業はおおよそ3倍になっていた」

明らかに米価を高く設定していることが要因となっている。

しかし、国際的な情勢が影響していることも否めない。米をはじめとする穀物の輸入制限やウクライナ情勢の緊迫化により、輸入米供給が不安定となり国内産米の需要が高まったのも事実である。さらに、国内消費者の健康志向や高齢化に伴う米の需要変化も価格上昇に拍車をかけていることもあろう。

これらの要因により令和6年産の米価は、前年と比べて約20%以上の高騰となっていて、農家経営の収益改善に寄与する一方、消費者の負担増や流通コストの上昇といった課題も浮き彫りになっている。

米価高騰に対するJAの役割

政府は、米政策の見直しに関して食管法を1995年に廃止した。農業の大規模化や農業生産法人化を推進するなど、効率性ばかりを追求し小規模農家や条件不利地での耕作を排除してきたことから混乱を招くことになった。

産地からは食管法の復活を求める声が根強く上がっているが、JAには単なる販売・流通の仲介役を超え、農業の持続と食料安全保障の観点からの役割発揮が求められる。まずは価格安定と適正な流通の確保が必要だ。米価高騰は一時的な市場の乱高下によるもので、JAは価格安定を図る仕組みを強化すべきであり、具体的には米の集荷・販売の一元管理や価格保証制度の導入・拡充と米の在庫調整や需給調整を通じて過度な価格変動を抑制することが重要課題だと考える。

「JAはそもそも農業生産力の増進と農業者の地位の向上を図り、国民経済の発展に寄与することを目指すことを農協法で定めている。このため、長期的、多面的、利他的な視点で地域農業の維持を目指すのがJAで、利益を追求する企業とは性質が異なる」とJA全農元常務理事の久保田治己氏が発信するとおりである。こうした対応ができるのはJA以外にない。

新たな基本法の下での対応は何処へ

石破首相の所信表明は何処へ行ってしまったのか。「地方こそ成長の主役です。地方創成をめぐるこれまでの成果と反省を生かし、地方創成2・0として再起動」されるはずである。新たな基本法の下、最初の5年間に計画的かつ集中した施策を講じて、食料安全保障の確保、環境と調和のとれた食料システムの確立、農林水産業の持続的な発展、中山間地域をはじめとする農山漁村の振興を図り、国内の生産基盤の維持の観点も踏まえていくとして、地域創生に終わりはなく「地域づくりは人づくり」人材育成こそがすべてであり、「自分が先頭に立って、国・地方・国民が一丸となって地方創成に永続的に意取り組む機運を高める。」と明言した。しかし、自給率目標一つ上げても2018年に38%(カロリーベース)を2025年に45%を目標としていたが未達成。2030年に45%とする目標で先延ばしとなり現実は遥か遠くなっている。

条件不利地域を支える政策の在り方

このような状況下、農業・農山村の農業政策を考える上で、日本と同様に中山間地域をはじめとする条件不利地域で、元気な農業・農山村を実現しているオーストリアの取り組みがモデルとなる。

「オーストリアはヨーロッパ屈指の有機農業大国であるが、西部から中部がアルプス山脈に位置しており国土の大半が山岳地域で、農地面積の64%、国土の81%が条件不利地域である。このため1971年から山岳農家政策として、山岳農家補助金が直接農家に支払われてきた。条件不利地域ほど離農が進んでいる現状に鑑み条件不利農地を所有する農家ほど多くの補助金を受け取ることができる制度設計を行うことで山岳農家の所得を支え、それによって離農を抑制し自然資源を維持してきた。現在では、共通農業政策に則り農業政策が実施されていて、山岳農家補助金は廃止されたが、個々の農家の営農困難度に基づいて条件不利地域支払いは現在も実施されている。(石倉研「月刊住民と自治」2020・11)」

条件不利地域を支える政策の在り方として日本政府も見習ってほしい。

JAは地域とともに

米価高騰は一時的な現象ではなく、気候変動や国内外情勢の変化に伴う長期的な課題と捉える必要もある。

JAはこれまでの流通・販売の枠組みを超え、米の集荷量を増加させ集荷率の向上を図ることが必要だ。具体的には、地域の農業振興や生産者支援を強化し、地域産米の安定供給を実現することだ。また、食料安全保障の観点から自給率の向上に積極的に取り組み、担い手農家の育成や、産地と連携した効率的な流通体制の構築を推進しなければならない。しかし、課題も多く農業者の高齢化や担い手不足、コスト増加による経営の圧迫、消費者の価格感度の高まりなど解決しなければならないことが山積している。特に産地ではICTやスマートの農業の導入、ブランド化、多様な販売チャネル開拓など、革新的な取り組みが求められる。

米価高騰の今こそ、JAはその本来の役割を再認識して積極的に行動するときである。価格の安定と適正化や地域の持続可能な農業の推進、消費者との信頼関係構築のために地域とともに歩むJAとしてリーダーシップを発揮しなければならない。

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