JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】地道な努力 必ず成果 経済事業部門・愛知県経済連会長 平野和実氏2025年7月10日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
私は農業高校卒業以来、一年間の農家研修を経て、1973年に就農し、愛知県蟹江町農協鉢物部会に入会して50年余、一貫して鉢物生産に取り組んできました。
この部会に入会した理由として「花は組織で作れ!」を運営方針とし、月1回のほ場巡回で技術交流を図るほか、資材の共同購入、共同出荷、資金借り受け時の相互保証など、経営面でも協力し合い、活動を通じて栽培技術に限らず、経営全般を学ぶことができ、地域農業の先端的役割を担っている部会であり、私にとって大変勉強になると思ったからです。
経営が安定してきたのは、平成の時代に入って。それまで3カ所に分散していたほ場を1カ所に集積し、鉢物生産で多くの労働時間を要するかん水作業をいかに削減するかが大きな課題であり、それを解消するために、普及員の指導を受け、いろいろな自動かん水システムを工夫してきました。
農地の集積も随時進め、作業効率が出来るだけスムーズに行えるよう、グランドデザインを描きながら増設を進めてまいりました。
そして、2001年に就農した後継者である長男の自立を目的に、家庭内での役割分担を明確にし、徐々に経営全体を取り仕切るよう誘導していきました。また、地域の役職も並行的に引き受けながら、いろいろな場面に参加し、人とのつながりも多くなってきました。
2008年、合併したばかりのあいち海部農協の非常勤理事に就任し、農協を運営する役員の一員となりました。とは言え、自分の経営をしていく上で、農協は利用するところであり、農協自体を経営するところではないと思っていました。
一期、二期、三期と経験を重ねていくうちに、初代組合長が定年を迎えることから、次期組合長を意識してきました。
しかし、農業をする傍ら、非常勤から常勤になるということは、今までの生活が一変してしまいます。何度も家族会議を開き、最終的には説得し、決断するに至りました。
2017年6月に代表理事組合長に就任し、以来満8年を迎えることができました。
2019年にはトマトセンター選果機、23年には、れんこんセンター選果機を更新し、共に選別機の高精度化による品質の高位平準化と選果能力の向上による労働の省力化を実現しました。
また、22年に共同乾燥施設の増強改修を行い、処理能力を向上させることにより、三つの共同乾燥施設を一つに集約、合理化効率化を実現しました。
そして、海部郡管内にある2JAの合併については、「海部地域をひとつに」をスローガンに、24年7月1日にJAあいち海部を存続農協とする合併を果たしました。
合併式典の様子
また、23年6月には愛知県経済農業協同組合連合会経営管理委員会会長に就任し、特に園芸販売の強化に取り組み、青果物・花きの生産者出荷作業、JA荷受け作業の効率化をはかる県域標準園芸販売集出荷システムを導入し、25年3月末時点で11JA、延べ86品目が利用しています。
また、園芸販売力強化と持続可能な輸送体制を確立するため、包装加工・選果・貯蔵・通過型物流の機能を持つ園芸広域拠点を設置する大型投資を組織決定し、用地の選定と取得交渉をすすめています。
さらに、当JAの産直店舗にて県内JA共選品の品ぞろえを充実させた売場づくりの実証を開始しました。
私は農協事業運営は就任以来、規模の大きさは違っていても、自分自身の農業経営の延長であると考えています。効率よく施設を整備し、働きやすい労働環境、計画的な投資等を進めていくことです。
「継続は力なり」。私の好きな言葉です。地道に少しずつ続けていけば、必ず成果となって現れる。合併して新たな問題も出てきました。一つずつ根気よく、皆さんの理解を得ながら解決していく覚悟であります。
【略歴】
ひらの・かずみ
1973年4月就農、2008年6月あいち海部農業協同組合理事、2017年6月あいち海部農業協同組合代表理事組合長、2023年6月愛知県経済農業協同組合連合会経営管理委員会会長、同年7月全国農業協同組合連合会経営管理委員。
【推薦の言葉】
地域の発展に尽力
平野氏は1972年に就農し、省力かん水装置を活用した小鉢生産や、露地・施設を組み合わせた高回転の周年生産体系を確立。地域農業の先導的役割を果たした。
飛島村花き生産出荷組合長、あいち海部農業協同組合理事を経て2017年に組合長に就任。新しい技術や品目導入では研究会を立ち上げて迅速に普及し、青年農業者育成や消費者交流、体験学習、地域花壇の植栽など、幅広く貢献した。
組合長として2JAの合併を主導し、施設の集約や隣接JAとの協定、物流拠点整備、販売集出荷システム導入により効率化と販売力強化を実現。販売力向上や持続可能な物流体制、組合間連携、産直店舗での共選品販売の促進に尽力し、県域や全国の農業者所得向上、持続可能な農業推進に多大な功績を残した。
重要な記事
最新の記事
-
なめらかな食感と上品な甘み 鳥取県産柿「輝太郎フェア」15日から開催 JA全農2025年10月14日
-
インドで戦う卓球日本代表選手を「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年10月14日
-
松阪牛など「三重の味自慢」約80商品 お得に販売中 JAタウン2025年10月14日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島県で「マロンゴールド」を収穫 JAタウン2025年10月14日
-
「令和7年産 新米PR用POPデータ」無料配布を開始 アサヒパック2025年10月14日
-
「Rice or Die」賛同企業の第2弾を公開 お米消費拡大に向けた連携広がる アサヒパック2025年10月14日
-
腸内細菌由来ポリアミンの作用研究 免疫視点から評価「食品免疫産業賞」受賞 協同乳業2025年10月14日
-
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
亀田製菓とコラボ「ポテトチップス ハッピーターン味」期間限定で新発売 カルビー2025年10月14日
-
「惣菜管理士」資格取得へ 3390人が受講開始 日本惣菜協会2025年10月14日
-
シンとんぼ(163)-食料・農業・農村基本計画(5)-2025年10月11日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(80)【防除学習帖】第319回2025年10月11日
-
農薬の正しい使い方(53)【今さら聞けない営農情報】第319回2025年10月11日
-
食料自給率 4年連続38%で足踏み 主食用米消費増も小麦生産減 24年度2025年10月10日
-
【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内の園芸作物で初めて確認 高知県2025年10月10日
-
【特殊報】スイカ退緑えそ病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日