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JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える

米価暴落の懸念も 問われる市場に関与した政府の責任 元JA全中専務 冨士重夫氏2025年7月3日

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政府は高騰する米価を沈静化させようと政府備蓄米を5kg2000円で放出しているが、これまでの米政策の検証がないまま、生産現場では米過剰による暴落も懸念されている。元JA全中専務の富士重夫氏は米価が下落した場合の所得補償などが明確でなく生産者に不安が広がっていることを指摘、主食である米政策の適正化を図るための、今考えるべき論点を示す

元JA全中専務 冨士重夫氏元JA全中専務 冨士重夫氏

今回の米騒動は、米の需給調整の民間移行、国の役割低下、米流通の自由化などによって国民の主食である米が品薄感の中で、金もうけ、投機の対象として、様々な業者が取り扱うことによって米価高騰が生じた。

これまでの政策展開への検証、反省が全く無い中で、「米の需要が減少することを防ぎたい」との理由で政府備蓄米5kg2000円の消費者米価の供給、MA米の主食用数量の拡大、作況指数の廃止など、場当たり的、参議院選挙を意識した消費者受けを考えた対応に終始し、米の需給、価格安定や流通秩序の確保などに対する国の役割の見直しや、食料安全保障の強化方策としての米、水田に関する政策展開の方向性などについて、何も語らない、何も示していない。

グローバリズム、自由貿易、市場経済主義の負債をどう考え、ロシア・ウクライナ戦争、イスラエルとアラブやイランとの戦争、インド・パキスタン戦争、貧困や飢餓の拡大、そして民主主義国家と共産独裁国家との対立、石油や鉱物資源の偏在や貿易の不均衡、不公正の顕在化といった世界情勢の中で、もはやグローバリズムや自由貿易経済主義では運営できなくなっている実態を根底に置いた新たな政策の展開、新たな国の役割、食料安全保障政策のあり方が問われている。

1.随意契約で5kg2000円という価格水準で消費者米価に政府が直接関与した論点

(1)①随意契約による備蓄米2000円の米②指名競争入札備蓄米と銘柄米の3000円のブレンド米③令和6年産銘柄米の4000円という一物三価の主食用米が出回る状況となっているが、②③が令和7年産米が出回る時期に入っても繰り返され、古米在庫となった場合どうするのか。仕入れ価格水準を下回り、取扱業者の損失が生じた場合や、令和7年産米の価格が概算金水準を大きく下回った場合はどうするのか。政府自ら市場価格に関与して一物三価を誘導して需給緩和や生産者米価下落が生じた場合への対応を明らかにすべきである。

(2)令和8年産以降も供給過剰により米価が下がり、生産者の生産コストや所得が確保できない場合が生じたら、消費者米価に関与して生じた結果は、政府の責任として生産者の生産コスト、所得は補償するということと、米の需給均衡、安定に政府がどのような役割を果たすのか、明確にすべきである。生産者がもっとも不安に思っていることは、生産者に不公平な取り扱いをするのではないか、であり、新たな基本法の目玉である農産物の価格形成適正化に関する法律を制度化している中で、生産コストを下回るような価格で消費者に提供しておいて、生産者の米価がコスト割れしても補償されるかどうか何も明確にしないで、うやむやにされてしまうのではないか、というのが論点の核心である。

2.備蓄米やMA米を主食用として供給する要件、基準を変更している論点

(1)備蓄米は作況が100を大きく下回るような不作の状況で主食用として供給する。MA米は10万tだけ主食用に供給するという基準を今回、変更しているが、今後政府備蓄米の保有水準、約100万t程度という水準をどう考え、全体数量をどう設定するのか、そして備蓄米の買い入れ方法や供給する用途別の数量や基準、MA米の主食、加工、飼料用の供給数量基準をどうするかなど、今後の米の需給安定をどのようにはかっていくのか明確にすべきである。

米が足りなくなればいつでもいくらでも外国産を輸入して対応すれば良いとするのか。水田や米の持続可能性を高め、自給率を向上させ、国民食料の安定供給をはかるのか。食料安全保障の根幹の考え方を問われているというのが論点の核心である。

(2)主食用米の網目を大きくするとか、作況指数を止め、収穫量調査を精巧にするとしているが、今回の米騒動の要因の一つとして令和6年産の網下米の数量が少なく、低価格帯の主食用米が網下米の用途へ供給されたことで、主食米の全体の供給数量が減少し、高価格帯の銘柄米のシェアが高くなった事が原因ではないかと言われており、今後の収穫量調査では、米の網上と網下の両方の供給数量水準を把握したうえで、備蓄米やMA米の用途別供給や運用を考えて、米需給の安定の取り組みを検討しないと、また、今回のような事態を招きかねないことになる。

3.JAが米の買い取りを実施すべきという論点

JAは政府の付属機関でもなく、株式会社でもなく、協同組合という法人である。

協同組合は、組合員が出資し、事業利用し事業運用に参画するもので、いわば組合員と一体のものであり、JAと組合員との関係性は、取引先と対抗するような関係ではない。米の販売事業(共同販売)は、組合員の委託を受けて、団結して米の産地形成、銘柄米・ブランドの確立を図り、できるだけ高い販売価格を実施すべく取り組み、費用は原価清算し、人件費は販売手数料として清算して、生産者・組合員の手取り収入を最大限確保する共同販売が基本である。

JAが生産者から高く買い取って、業者に安く売って赤字を抱えることも、生産者から安く買って、業者に高く売って、もうけることも本意ではない。持続可能な生産者、生産基盤を担保し、主食である米の安定した需給を継続することが大切である。

協同組合は私益ではなく、公益でもない。地域社会、経済社会において「共益」という概念を基本とする法人である。株式会社化とは違う協同組合という法人の目的、本質を踏まえて、考え対応すべきである。

SDGsなどは協同組合の目的そのものである。JAを悪者にして流通問題を改善するというのはまさに論点のすりかえである。米の流通に勝手気ままに参入し、投機的行為を行えることや流通業者の多重化・多様化・複雑化、無秩序化という現在の状況を改善し、国民の主食である米流通の秩序化、適正化へ向けた再構築をはかるのか否かが論点の核心である。

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