【農協研究会】 准組合員拡大に力 3年で8000人増 JAいちかわ代表理事組合長・今野博之氏2025年11月18日
11月15日に開かれた農協研究会の2025年度第1回研究会で、JAいちかわの今野博之代表理事組合長が「JAいちかわ~協同活動と総合事業の革新へ~」をテーマに報告した。JAいちかわは、正組合員が減少するなかで、質の高い自己資本をめざして准組合員拡大を戦略的に進めることで「JAいちかわと付き合ってよかった」と言われる関係づくりをめざしている。
JAいちかわ代表理事組合長・今野博之氏
都市型農協のJAいちかわ
JAいちかわは、本店が所在する市川市まで東京駅から快速で22分という都市型農協である。管内人口は175万人。総組合員数が2万6000人、うち准組合員数が2万1525人と組合員の8割を占める。
農業振興応援団(准組合員)拡大運動
都市型農協である当JAでは正組合員の拡大は難しい。そこで当JAは自らの最大の役割を「生産者の営農と組合員のくらしを守ること」と、JAが将来にわたり安定した経営を続けるため時代の波をしっかりと捉えた新たなビジネスモデルを確立すべく、准組合員を「農業振興応援団」として位置づけた准組合員拡大運動に取り組んでいる。
2022度からの3か年目標は5000人拡大。実績では初年度で4874人、3年間合計で8150人が新規准組合員となった。2025年度から新たな3か年計画として6000人拡大を目標に掲げる。
質の高い自己資本にむけて
当JAはかつて自己資本比率が8%ぎりぎりで自己資本集めに苦労した。その経験をふまえ、管内に居住する多くの組合員さんが地域農業振興の応援団として総合事業を利用し協同活動に参加することで、将来の組織基盤となる「質の高い自己資本」を獲得しようと切り替えた。一人の百歩より百人の一歩である。
このため、なぜ新たなパートナーがほしいのか、職員みんなに詳しく語りかけた。職員の受け止め方は様々。「協力します」という人の実績は目標の3割、「全力を尽くします」で5割。「俺たちでやるんだ」で9割。「99%は目標達成ではない」とも語った。これも教育であり、職員はみんな頑張ってくれた。結果、当JAの自己資本比率は15%を超えている。
地域貢献と信頼獲得
「地域に密着、地域に貢献」を口癖に取り組んでいるのが災害対策。地震が来たときには水の確保が大事、と本店に井戸を掘った。支店にも井戸掘りを拡大中である。さらに女性が使いやすいマンホールトイレを構想している。そして「なにかあったらここに来てください」と伝えている。さらに設計を建築家の隈研吾氏に依頼した支店を建設中である。近くの人が気楽に出入できる地域に開かれたランドマークにすることが狙いだ。JAを自然に人が集まる地域の拠り所にしたい。
また、お祭りを大事にしている。JA主催の桜まつりや秋の梨まつりは2000人規模のイベントとなっており、祭りを開催するたびに准組合員加入が伸びている。同様に2021年から当JAのファンづくりのために女性大学を開講している。1年間を通じて、学びや新米や梨などを味わうとともにJA理解の時間も設けており、多くの受講生が准組合員となっている。
楽しく組合員還元しようと年1回、東京国際フォーラムで2日間約1万1500人が集う有名歌手を招いた歌謡ショーを、また今年初めて准組合員の集いを東京の明治座で開催した。さらに2025年度よりがん医療コーディネーターによる医師紹介等の相談を始めた。役職員と家族向けだが今後は生産部会員や女性部員、准組合員にも提供し、組合員の生活に寄り添っていきたい。
地元農業の魅力を伝える
特産品「市川のなし」を山崎製パンやシャトレーゼと提携し、加工品化を進めている。また輸出に挑戦し、ドバイではガルフード(中東最大級の食品見本市)に2025年に出展した。時期が1月・2月のため生鮮は難しかったが、新たな雪氷冷凍庫技術で生果の輸出に成功した。2026年の出展も決定済みである。
2022年6月にひょうが降り、JAでは被害果を「あた梨(り)ちゃん」と命名してネットや管内のJR駅などで被害梨の支援を呼びかけたところ、売上8億8000万円と予想被害額の65.7%を挽回。また、2023年に中国からの梨花粉の輸入が全面停止されたため、JAが花粉採取専用圃場に取り組んでいる。
このような取り組みを通じて若手生産者と意見交換をするようになった。すると、若手生産者は自発的に自分たちの仲間を集めて准組合員を募ってくれた。
時代の波を捉える
今、AIを使って小規模無人で地元農産物の販売店舗をつくろうと思っている。既にスマートフォンの台数がパソコンの台数を超え、町中に防犯カメラがあふれ、車の自動運転化は実用段階になった。時代の波を的確に捉えて、新たな事業の機会を逃さない。有名ではなく本物にならなければならない。私は准組合員拡大運動で8000人を超えたときに「JAいちかわはうまくやれば、なんでもできる」と思った。私は「やれ」と言ったことはない。「できそうだね」と面白くやっていくことだ。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(176)食料・農業・農村基本計画(18)国民一人一人の食料安全保障・持続的な食料システム2026年1月17日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(93)キノキサリン(求電子系)【防除学習帖】第332回2026年1月17日 -
農薬の正しい使い方(66)植物色素の生成阻害タイプの除草剤の作用機作【今さら聞けない営農情報】第332回2026年1月17日 -
【地域を診る】能登半島地震から2年 復興法人制度活用の提案 京都橘大学学長 岡田知弘氏2026年1月16日 -
スーパーの米価、2週ぶりに低下 前週から149円下がり5kg4267円に 米からパン、めん類にシフトか2026年1月16日 -
「2026年 ISEKI Global Awards」開催 井関農機2026年1月16日 -
近づく限界、米価に暴落懸念 「2014年の再来」防げるか2026年1月16日 -
(469)なぜタイのエビは主役ではなくなったのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2026年1月16日 -
岩手県の直営飲食店舗で「いわての牛乳ありがとうフェア」20日から開催 JA全農2026年1月16日 -
縁起が良い赤い食べ物「冬土用未(ひつじ)の日フェア」17日から開催 JA全農2026年1月16日 -
バッテリー診断・価値向上によるEVコンバージョントラック普及へ 共同実証開始 JA三井リースグループ2026年1月16日 -
日本の蚕糸 消滅していいの? 3月にフォーラム開催 大日本蚕糸会2026年1月16日 -
【浅野純次・読書の楽しみ】第117回2026年1月16日 -
「花・緑ガイドボランティア」募集200人に3493人が応募 2027年国際園芸博覧会協会2026年1月16日 -
トラクタ「JAPANシリーズ」BJ65・74・90・105を新発売 無段変速ミッション搭載で2026年6月投入 井関農機2026年1月16日 -
北海道の暮らしと仕事セミナー「一次産業(農業・林業・水産)のお仕事編」開催2026年1月16日 -
防災力アップ体験イベント「もしもFES大阪2026」3月に開催 こくみん共済 coop2026年1月16日 -
推しいちごに投票「天下分け目のいちご戦国時代2026」開催 食べチョク2026年1月16日 -
フルーツ王国ふくしま「ゆうやけベリー・県産いちご」フェア開催 福島県2026年1月16日 -
「いちごさんどう2026」開幕 相武紗季をゲストに迎え発表会 佐賀県2026年1月16日


































