JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】組合員の未来に伴走 信用事業部門・秋田やまもと農協常務 大鐘和弘氏2025年7月14日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
信用事業部門・秋田やまもと農協常務 大鐘和弘氏
秋田やまもと農協は、1999年1月1日に秋田県北部に位置する山本郡内5町村の5農協の合併で設立され、現在は世界遺産「白神山地」を一部に含む八峰町と八郎潟干拓地の東岸に位置する三種町地域を管轄しております。2006年の第1回全国地産地消フォーラムでは、農林水産大臣賞を受賞いたしました。
私は、1982年、旧金岡農協に営農指導員として入組、2014年4月信用共済部長、20年6月代表理事常務として現在に至っております。管内は稲作中心ですが、多様な農業が盛んな地域です。「組合員と地域住民の目線に立ち、魅力ある農業と豊かな地域社会、環境づくりに貢献します」という経営理念の下で「組合員の営農と暮らしを守る」ために事業活動をしております。
私が常務として、第一に注力したのは職場風土改革です。特に共済事業の一斉推進が職員の退職要因の一つとなっていたことから、2017年に個人ノルマを廃止しました。そして職員が利他の精神を判断基準として、チーム一丸となっての総合力で成果を実現する組織の構築を目標としました。命令、指示、管理ではなく、助け合い協力して主体的に問題解決できる組織文化を醸成するための組織変革です。
第二に注力したのは、全組合員の声に耳を傾ける組織活動です。当JAの主な組合員組織は、運営委員会、女性部、青年部、年金友の会、生産部会組織等で構成されています。なかでも総代・組織代表者・准組合員代表から構成される運営委員会は、年2回全地区(5地区)において開催しています。各集落座談会も同様に開催し、全組合員からの意見要望書を年1回郵送で集約しています。各地区の運営委員会・集落座談会には、組合長をはじめとする常勤役員・非常勤役員が必ず出席し、組合員の意見に直接対応する地道な活動を展開しています。
秋田県では組合員の高齢化や人口減少等が深刻化し、当JAでも組織基盤・経営基盤の強化のため、何らかの対策の必要性が高まっていました。そこで私は、先進的に取り組んでいる他JAへの視察研修(2022年度JAやまがた)やJA全中の研修会に率先して参加し、相談事業の実際を学び、2024年度から金融課に次世代対策などの相談事業を専門とする「融資相談担当」部署を新設しました。第三の注力は相談事業の展開です。
その結果、農地活用など多様な相談が漸増したことで、農協の強みを生かした他事業への波及効果が期待され、事業としても有効性が高いと評価されました。
2023年11月には東京都のJA世田谷目黒元相談役と同JA元理事長を講師に招き、組合員向けセミナーと県内JA役職員向け相続相談研修を企画・開催し、組織をあげて相続相談の必要性を学習しました
相続・事業承継セミナー(令和5年11月)
一方、組合員からは2024年産米価高騰による節税対策勉強会の開催が強く望まれました。迅速に対応すべく、税理士にセミナー講師を依頼し、今年度開催のセミナー及び相談会情報を組合員全戸訪問によって提供しております。
当JAの財務状況は、2025年3月末の総貯金残高は、前年同月比伸び率が3・7%(1549百万円)増加、総貸出金残高(金融機関向け貸出金を除く)は、主に農業資金により前年同月比伸び率が5・2%(297百万円)増加し、秋田県JA総貸出金残高(金融機関向け貸出金を除く)の4・4%の増加を上回っています。その結果、当JAの農業資金は1744百万円(県9位)、農業資金割合29・0%(県2位、平均11・4%)となり、農業資金需要が増加しつつあります。
こうした成果を踏まえ、私は、一人一人の課題に丁寧に向き合い、今後も組合員の未来に伴走する組合員本位のJAになるために組織をあげて尽力してまいります。
【略歴】
おおがね・かずひろ
1962年8月16日生まれ。秋田県立農業短期大学 農業科卒業。1982年4月金岡農協入組、審査課長、金融課長、八峰支店長、信用共済部長を歴任(管理職のみ表示)、2020年6月代表理事常務に就任、2025年6月現在に至る。
【推薦の言葉】
職場風土を改革
大鐘氏は現場に根ざした実践を積み重ね、JA秋田やまもとの代表理事常務として組織の中核を担っている。 同JAの基本理念「組合員と地域住民の目線に立つ経営」に基づき、組合員との対話を重視し、組織改革と人づくりに力を注いだ。相続や事業承継に対応した専門性の高い職員育成と相談会により、組合員との信頼を深めている。
特に、金融商品提案から相談事業への転換により、組合員の将来不安に寄り添う農協のあり方を実現しつつある。女性や若手の組合員参画も促進し、多様な意見を組織運営に反映するしくみを整備。信用・貸出事業の着実な成長をけん引し、県内トップレベルの成績を残している。職場風土改革では「相談し、協力し合う職場づくり」を進め、職員が生き生きと働ける環境づくりにも尽力。真摯な姿勢と行動力は、「組合員からの感謝の言葉」を目標とするJAの姿を体現している。
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