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【報告3】コウノトリがつなぐ地域と農業 JAたじま常務理事 西谷浩喜氏2024年4月24日

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農業協同組合研究会が4月20日に東京都内で開いた2024年度研究大会「基本法改正の下でわがJAと生協はこの道を行く」で行われた各報告の概要を紹介する(文責:本紙編集部)。

農協研 西谷氏報告JAたじま常務理事 西谷浩喜氏

生き物を増やす農法へ

但馬地域は兵庫県の北部の3市2町からなり、面積は県の約4分の1を占め、東京都の総面積に匹敵する。ほぼ中山間地域で人口は15万人余り、県内総人口のわずか3%で過疎化が進んでいる。

但馬地域でJAたじまが有機農業に取り組んだきっかけはコウノトリである。コウノトリは全長110センチ、羽を広げると2メートルにもなる大型の鳥で一日にドジョウに換算すると70匹から80匹と大量の餌を必要とする。但馬地域では古くからコウノトリと但馬牛、人間が一緒に暮らしていた。

しかし、高度成長期に日本の農業が大きく転換し、化学肥料や農薬を使用した経済性を重視した農業へと変わっていった。その影響で餌となる生き物が減少し、コウノトリ自身も繁殖力を失い1971年に最後の生息地だった豊岡市で絶滅した。

このような経過を反省しコウノトリを復活させようと誓い、そのためにもっとも変わらなければならなかったのが農業だった。農薬や化学肥料に頼った農業からの転換を決意し、栽培方法の検討を行った。そして慣行栽培を見直し、農薬や化学肥料の削減と生き物を増やす工夫をしていった。

試行錯誤の確立したのが、コウノトリ育む農法である。ポイントは農薬については栽培期間中は不使用もしくは7.5割減、化学肥料は使用しない。さらに大きなポイントは水管理。深水管理、中干し延期、早期湛水、冬期湛水を行う。

この農法に取り組むことによってより多くの生き物が育まれるようになった。コウノトリ育む農法の特色は、春には早くから水を張ることで生き物をたくさん育て、夏には生き物の成長に合わせた水管理を行うことである。そして秋には稲刈り後に米ぬかや堆肥を播いてしっかり土づくりを行い、冬には水を張って鳥の憩いの場を作る。

私たちはコウノトリ育む農法を農薬や化学肥料に頼らない安全・安心な米と多様な生き物を育みコウノトリも住める豊かな文化、地域環境づくりをめざすための農法と定義した。

それによって生まれたのが「コウノトリ育むお米」である。今ではJAたじまの米づくりの象徴のような位置づけになるまでに成長した。

但馬地域での環境に配慮した米づくりのスタートは1988年でコープこうべからの依頼で特別栽培米「つちかおり米」を作付けしたことだった。これがJAたじまの環境創造型農業の先駆けとなった。現在では管内で17種類の特別栽培米が生産している。

価値に見合った価格を

当JAでは従来の全農に販売委託する方式に加えてJA独自で直接、卸業者に販売する直接販売の取り組みを始めた。そのため必要な倉庫の整備、精米工場の増強など施設面でも直接販売に対応するかたちを整えてきた。

販売体制も整備し直接販売の専門部署「米穀課」を設置し積極的な営業活動に取り組んだ。それらの地道な取り組みの成果もあり、2022年度では米の販売の約3割が直接販売となった。

JAとしては農業者の所得増大を図ることが大きな使命だ。これだけ手間をかけて生産した米をJAは適正な価格で販売する努力をしてきた。生産者へ支払う概算金は、慣行栽培で生産された米にくらべて、「コウノトリ育むお米」の有機JAS米は約2倍にしている。

同時に直接販売を拡大していくために、生産者とJA職員、関係機関の職員による販売促進活動に力を入れている。店頭でコウノトリ育むお米の成り立ちやストーリーを丁寧に説明し、消費者の理解と共感を広げる努力をしている。

海外でも販促活動を行い、コウノトリの野生復帰に向けた取り組みへの理解を世界にも広げていきたいと考えている。ただ生産数量が限られているため輸出を主とした販売は行っておらず、年20t程度である。

また、販促活動に加えてこの取り組みへの理解を広げ産地を支援したもらいたいと、消費者や実需者と産地交流会を長年続けている。

農水省は農業由来の温室効果ガス削減の取り組みを農産物のラベルに表示する取り組みを始めているが、コウノトリ育むお米は32%削減と認められ「3つ星」ラベルを張って販売している。

販売は全国に広がっており、関西に約700t、関東に約150t、沖縄に約400tという状況になっている。作付けは500haしかないので販売数量は1225tとなっている。現在の部会員は約250名となっている。高齢化で部会員は減少傾向にあるものの面積は担い手が引き受けて維持している。

このような取り組みを進めるなかで、2007年から学校給食で減農薬米が使われるようになった。これは生徒たちが当時の市長に直談判したことで、コウノトリ育むお米の消費が増えれば水田が守られ、野生復帰したコウノトリの生息環境が広がるのではないか、と考え行動を起こした。2017年以降は週に5日使用されている。さらに現在は多収米の「つきあかり」に品種を変え、無農薬米として提供する取り組みを進めている。

コウノトリと共生する町づくりについて子どもたちにも理解を深めてもらい、米の食べることによって環境も守られるということを感じてほしいと思っている。私たちの取り組みが全国に普及できる見本となればと考えている。

JAたじまの使命として、コウノトリ育む農法を通じてかけがえのない日本の食料、農業への次世代への継承、自然環境と共生できる農業の振興、子どもたちに安心して食べさせられる食の提供にしっかり取り組んでいきたい。

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