(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
米国農務省は毎年6月30日にエーカレッジ・レポートを公表します。今年のトウモロコシは昨年より5%増加した一方で、大豆は4%減少しました。今週はこの報告の内容をトウモロコシと大豆を中心に検討してみます。
最初に報告書の要点をまとめると、2025年の米国産トウモロコシの作付面積は、9,520万エーカーで、昨年から5%(461万エーカー)増加している。この作付面積は1944年以来3番目に高い水準である。全米48州のうち、実に41州における作付けが昨年と同水準あるいは増加している。作付面積に対する収穫面積の割合は91%ほどであり、今期の収穫面積は8,680万エーカーが見込まれている。これも前年比5%増加である。
6月の需給見通しでは作付面積は9,530万エーカーとしていたため、10万エーカーほど少ないが、大勢に影響はない。また、6月時点での単収見込みは181ブッシェル/エーカーであり、これに収穫面積を掛け合わせると、157.1億ブッシェルとなる。トン換算すれば約4億トンに達する見込みだ。
6月の見通しでは世界のトウモロコシ生産量は12.7億トン、そのうち米国産トウモロコシは世界の3分の1を占める計算になる。
総耕地面積が限られている以上、生育時期が重なるトウモロコシが増加すれば、大豆はある程度減少せざるを得ない。その結果、大豆の作付面積は8,340万エーカーと昨年より4%減少している。その他の品目は、小麦が1%減少、綿花が10%減少などだ。
ところで、このエーカレッジ・レポートにはもうひとつ興味深い内容が掲載されている。それは、全作付面積に対する遺伝子組換え品種の作付割合である。
2025年の米国産トウモロコシの場合、全作付面積に占める割合は、昨年同様94%が遺伝子組換え品種だ。ただし内訳は微妙に異なり、害虫耐性品種が3%、除草剤耐性品種が8%、そして両者の特性を併せ持つスタック(stacked)品種が84%である。
同様の数字を大豆で見ると、全米の大豆は96%が除草剤耐性で傾向は変わっていない。綿花も全米では97%である。ただし、大豆が除草剤耐性のみであるのに対し、綿花は害虫耐性、除草剤耐性、スタック品種という内訳で見れば、各々4%、6%、87%である。
遺伝子組換え品種が普及し始めた1990年代後半から2000年代の特徴は、トウモロコシは害虫耐性、大豆は除草剤耐性の品種が圧倒的であった。ほぼ30年を経た現在、トウモロコシと綿花の主流はスタック品種である。
こうした数字を細かく見ると意外な発見に出会う。例えば綿花の場合、中西部の主要産地ではないカリフォルニアでは、2024年にはスタック品種が65%を占めていたが、今年は49%へと大きく減少している。その代わり、同時期に除草剤耐性品種が18%から38%へと大きく伸びている。この背景は何か?
すぐに思い浮かぶのは昨年8月、EPA(環境保護庁)が最終版を公表した「除草剤戦略(Herbicide Strategy)」であろう。この結果、薬剤の飛散リスク、残留物の懸念、使用期限などについて、複数の除草剤を使用するスタック品種よりも、管理が容易な除草剤耐性品種にシフトした可能性が高い。
この関連で言えば、グリホサート耐性除草剤として開発され期待されていたジカンバの使用制限の影響もある。今シーズンの作付けではジカンバ耐性を持つスタック品種から、より管理が容易な他の品種へ切り替えが進んだ可能性がある。
また、スタック品種自体の価格の問題も考えられる。多機能ゆえに農家にとっては高コストとなり、より安価な単一除草剤耐性品種へ切り替えられた可能性がある。
率直に言えば、以前ほど毎日この分野の動向を追っている訳ではないため、詳細については不案内である。しかし、年に1度のエーカレッジ・レポートだけでも深堀り可能なポイントが満載である。そのあたりは、この分野に関わる業界関係者や研究者にしっかりとフォローしてもらいたい。
* *
こうした動きを踏まえた新品種の導入動向には、今後も注目したいですね。
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