作物と微生物の多様な共生が拓く農業の未来 意見論文が米国植物科学誌に掲載 国際農研2025年7月4日
国際農研とオーストリアのウィーン大学、カナダのアルバータ大学、メキシコの国際トウモロコシ・コムギ改良センター、オーストラリアのマードック大学、米国のミシガン州立大学の国際研究グループによる意見論文(Opinion)が6月に、Cell Press発行の米国国際植物科学総説雑誌『Trends in Plant Science』に掲載された。
同論文は、作物とその共生微生物の相互作用における自然な多様性を作物開発に活用することで、環境に配慮した持続可能な農業の実現を提唱。特に、植物の進化が植物と微生物の相互作用に大きく影響されてきた点に着目し、植物と共生微生物の集合体「植物ホロビオント」の分子生態を解明することの重要性を強調している。
近年、持続可能な農業分野で注目を集めている「生物的硝化抑制(BNI)」については、国際農研が世界に先駆けてその自然現象を発見し、その活用方法の確立を進めてきた。こうした自然現象の積極的な活用は、持続的な農業に多様な恩恵をもたらすことが期待される。
さらに同論文では、植物ホロビオントにおける自然な多様性の理解を深めるための研究の道筋を提案。このアプローチは、作物の成長促進、ストレス耐性、窒素利用効率の改善、BNI の活用、健全な土壌の維持と自然に近い施肥方法の確立など、現代農業が直面する様々な課題に対応するもの。また、これまで活用されてこなかった遺伝資源から新たな遺伝的多様性を発見し、育種に活かすため、メタボロミクス 、プロテオミクス、数理モデルを統合した「PANOMICS アプローチ」と、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を組み合わせることを提案している。これにより、根の分泌物や土壌微生物叢の構成、BNI 活性などを制御する植物の遺伝子候補を特定が可能になる。
こうした取組を通じて、農業生態系における植物ホロビオントの自然な多様性を深く理解することが、気候変動に強い新たな作物品種の開発と食料安全保障の実現に大きく貢献すると示唆している。
世界に先駆けて開発したBNI技術の知見を基に、窒素肥料に由来する農業からの環境負荷を軽減する技術の開発を目指す国際農研は、BNI技術の実用化に向けた研究を推進するとともに、国際的なBNI 研究を束ねるBNI国際コンソーシアムを主宰している。
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