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コラム:グローバルとローカル:世界は今

【三石誠司 宮城大学教授】

2018.01.12 
(065)茨城で真珠?!一覧へ

 「茨城で真珠?」が多くの人の実感だろうが、日本の淡水真珠は大半が霞ヶ浦産である。茨城県のホームページを見ると、陸稲、ほしいも、れんこん、はくさい、レタス、ピーマン、栗、メロン、みずな、ちんげんさいなどは、いずれも全国1位である。野菜全体の生産額は北海道に次いで2位。そして、淡水真珠(パール)は全国シェアの8割近くを占めている。
 実は水陸バランスのとれたとてつもない農業県・・・が真の姿なのに、都道府県魅力度ランキングでは北海道と茨城は対極にある(北海道1位vs. 茨城47位)(注1)。
 首都圏という巨大マーケットに近く、1300年近く前に『常陸国風土記』で「常世の国」と記され(注2)、農業技術のレベルも高く、市町村レベルでは学位取得者数も恐らく日本のトップクラス(つくば研究学園都市)であろう。農業産出額約5000億円の茨城県には、是非とも県全体の本格的なマーケティングを頑張ってもらいたい。規模は茨城の1割(売上高500~600億円)でも全国展開している有名な食品企業は数多く存在するため、こうした企業のマーケティングを参考にするのも良いかもしれない。

※  ※  ※

平成28年度主要農畜産物における産出額の順位

 さて、昨年12月26日、農林水産省は「平成28年 農業総産出額及び生産農業所得」を公表した(注3)。 農業総産出額(全国)は2年連続して増加し、9兆2025億円(4.6%増)、都道府県別のベスト5は、北海道、「茨城」、鹿児島、千葉、宮崎である。
 以下、正月休みに義実家で筑波山を遠目に眺めつつ統計(都道府県別)から考えたことを記す。
 この中には「主要農畜産物における上位5都道府県の産出額と構成割合」という表があり、そこには日本農業の上位9品目が県別産出額別に列記されている。1位のコメ(1兆6579億円)はすぐに思い浮かぶにしても、2位生乳(7406億円)、3位肉用牛(7334億円)、4位豚(6162億円)、5位鶏卵(5192億円)、6位ブロイラー(3452億円)と、2~6位までが全て畜産というのは意外に思う人が多いかもしれない。ここで述べた畜産の合計はコメの2倍弱に相当する。産出額で見た場合、畜産全体は今や日本農業最大部門だが、これは以前にも述べた。ちなみに以下は、7位トマト(2574億円)、8位みかん(1761億円)、9位いちご(1749億円)と続く。
 さて、筆者が気になった点はここではない。「過去5年の農業産出額都道府県別順位」表を見ると、不動の1位が北海道、同様に不動の2位が茨城である。3~5位は、過去3年は鹿児島、千葉、宮崎の順であり、4~5年前は千葉、鹿児島、熊本の順である。
 問題は、1位の北海道ではなく2位の茨城だ。先に述べた9品目を県別のベスト5で見た場合、北海道は主要9品目のうち6品目が上位5位までに列記されているのに対し、茨城はコメ、鶏卵、トマトの3品目のみである()。

※  ※  ※

 古い話だが、1966年以前の東京都立高校入試は9科目であり、国・英・数・理・社、の他に、保健体育、音楽、技術・家庭、美術があったようだ。上位校に合格するには900点満点中800点をかなり越えなければ難しく、受験生は主教科ばかりでなく実技系の副教科をいかに効率よく勉強するかが試されたという。
 茨城県民に失礼を承知であえて乱暴な例えを用いれば、現在の北海道は9教科のうち主要6科目の成績が全体の5位以内で総合1位だが、茨城は5位以内が3教科にすぎない。茨城の特徴は少数の有力品目と一見目につかないが重要な品目の多く(冒頭で述べたはくさい、れんこんなど)が他県より高いことのようだ。そのため、総合点数では常に2位にいるが、その優秀さとユニークさが広くは知られていないのかもしれない。
 頑張れ、茨城県!!


注1:ブランド総合研究所「地域ブランド調査2017_魅力度都道府県ランキング表」(2018年1月6日確認)
注2:『常陸国風土記』編さん1300年観光いばらき、2018年1月6日確認)
注3:「平成28年農業総産出額及び生産農業所得(全国)」及び「平成28年農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)」の公表について:農林水産省(2018年1月6日確認)
 以下の3に公表資料として掲示されている。

 

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