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JAの活動:創ろう食と農 地域とくらしを

【現地ルポ・JAあしきた(熊本県)】「6次化はJA事業そのもの」 商品開発と販売で全国ネット2014年11月5日

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・1次産業が主導で
・全国に125会員
・コンビニと提携
・「総合力」を生かす

 「6次産業化はJA事業そのもの」―この考えで町村や地場企業などと連携し、地域産業興しを軌道に乗せているのが熊本県のJAあしきたである。原材料を持つ1次産業の強味を発揮し、2次、3次産業に入り込むことによって、生産者の所得向上に努めている。特に信用や共済などのJAの総合事業で得られる情報網やノウハウを生かして全国に販売ネットワークを拡大。小さなJAが全国を視野に入れた大きな試みに挑戦している。

 総合事業生かし地域産業興し

JAあしきた・高峰博美組合長 JAあしきたの最大の特徴は積極的な商品開発とマーケティングにある。同JAのある熊本県芦北地方は、鹿児島県と接する熊本県の最南端で、背後に山が迫り、前は八代湾が広がっており、農業はその間の狭小な耕地で営まれている程度だった。しかし、温暖気候を生かした甘夏ミカン、その後デコポンを導入し、全国トップの産地になった。ほかに辛みの少ないタマネギ「サラたまちゃん」、「あしきた牛」など、特徴ある産地となっている。
 農産物の加工では、昭和25年から始め、平成19年まで続いたJAマークの「組合麺」の製造販売がある。熊本・鹿児島・宮崎の全県、福岡・佐賀・大分の一部で販売したが、自ら製造し販売するという、現在の同JAの6次産業化の原点がこの組合麺にある。そのとき蓄積された製造・販売のノウハウがあった。
 6次産業化の必要性について同JAの高峰博美組合長は、第1に「農村・農業の再生には必要不可欠」を挙げる。全国の中山間地の例にもれず、同JA管内の高齢化、人口減少は急ピッチで、農耕地の維持に赤信号が点っている。従って「新しい農業生産モデルの構築が必要」という。
 第2に「世界的食料問題と食品への安全・安心への関心の高まり」がある。特に「安全・安心」は、輸入食品の農薬混入や偽装表示問題等が後を絶たず、国産・地場産への関心が高まっている。
 そして第3に「生産農家の所得増大と地域活性化への貢献」である。旬の農産物、手づくり加工品の人気が高まっており、今や、農産物の直売所での販売が急増している。

(写真)
JAあしきた・高峰博美組合長

◆1次産業が主導で

 もう一つ、2次、3次産業の農業参入の増加がある。6次産業化は2次、3次の企業主導で行われ、1次産業は単なる原料供給者になるケースが多い。高峰組合長は、「せっかく1次産業は原料を持っているのだから、それを武器に2次、3次産業に入る姿勢が必要だ」という。そのためには6次産業化法や6次産業化のファンドへの対応で、JA単協、県連、全国連それぞれの機能に応じた参画、あるいはJA資金を積極的な運用を促す。
 1次産業主体の6次産業化の考えから生まれたのが、同JA独自の農商工連携「農産物直販ネットワーク協議会」である。JAあしきたの組合員農家、熊本県内JA等の農産品と1次産業(生産)、OEM(相手先ブランド名製造)による食品メーカー、JAあしきた加工工場の2次産業(加工)、それにマーケティング・販売・サービスの3次産業の3者がJAあしきたブランド商品の生産・販売でコラボレーションする。

◆全国に125会員

遠方からのリピートも増えたファーマーズマーケット「でこぽん」 このネットワーク協議会には、全国で125会員がいる。加工・流通企業、JAグループでは単位JAはもちろん、県連合会や全国連合会、生協、行政、マスコミ、各種学校などが加わる。さらに信用や経済事業で取引のある関係機関や組織、企業なども参加し、加工・販売だけでなく、商品開発のヒント、消費動向などの情報を得る貴重なルートにもなっている。
 こうしたネットワークの活用等で、同JAが今日までに開発・販売している330種類もの商品が生まれた。地場産の原料の利用が中心だが、単にJA管内にこだわらず、必要な場合は県内の他の産地にこれを求め、また加工も県内の企業に委託するものも多い。この柔軟性が、数多くの商品づくりを可能にした。
 同JAのこのようなオープンな姿勢はファーマーズマーケットの運営、あるいはコンビニとの提携にも現れている。同JAのファーマーズマーケット「でこぽん」は、平成25年度実績で9億8000万円を売り上げる。農産品、鮮魚、加工品、精肉と、食品のすべてを扱う総合食品マーケットだ。
 ここでは地元産を中心に扱うが、これにこだわらず県内外、特に九州のJA農産物や加工品、季節にはサクランボやリンゴなどの物産展も開く。さらに、県内を中心に地元以外のネットワーク会員の商品も扱う。
 高峰組合長は「他店にない品そろえでリピーターの確保をめざす。将来は、ここで生活に必要なものがすべて賄える物産館機能をもたせたい」という。同組合長は、芦北のフードバレー構想をあたためているが、「物産館」はその拠点にというわけだ。JA本所に隣接して、「でこぱん」があり、そこには、すでにあしきた牛のレストラン「ぎゅーぎゅー亭」もある。「でこぽん」の利用者はすでに管内と管外の割合は6対4で、遠方からの来店者が多い。
 提携先の企業に製造依頼するOEMだけでなく、JA独自の加工にも力を入れる。現在、ゼリー加工工場、製茶工場、精米工場を設置、いずれも平成25年度から稼働している。ゼリー工場では、他のJAや企業からのOEM製造もある。
 その中で、同JA発案で生まれた「熊本彩果」は、県内の4地域のデコポン、甘夏ミカン、ブルーベリー、「新高梨」のゼリーとプリンの詰め合わせ製品。第1に地場産、そして県内産に原料を求め、よりよい商品づくりを目指す同JAの姿勢が分かる代表的製品である。

(写真)
遠方からのリピートも増えたファーマーズマーケット「でこぽん」

◆コンビニと提携

コンビニの中にあるJAあしきたまるごとコーナー 6次産業化のなかで生まれ事業の一つにコンビニエンスストアとの提携がある。JAコンビニ株式会社を設立し、平成25年に3店舗、現在6店舗で展開。コンビニ内に地元農産物のコーナーがあり、JAの主な加工品が並ぶ。
 コンビニとの提携は、当初、支所の統廃合を余儀なくされたことがきっかけだった。コンビニなら365日開店、24時間営業で、JAの組合員だけでなく、ATMの利用をはじめ、地域住民の生活拠点になると考えた。JAの信用や運営のノウハウも生かすことができる。「農協だからこそ、コンビニを生かせると思った」と高峰組合長。こうしたJAの考えとノウハウは、コンビニを拠点とした移動販売・御用聞き事業につながっている。
 同JAは「らいふサポート事業」として取り組んでいる。御用聞きによる組合員訪問のほか、買い物弱者を対象に車による移動販売、「らいふサポートセンター」による介護用品等の販売、「ビューティヘルパー事業」による在宅療養者への出張理美容などであり、高峰組合長は「まだ取り組み途中だが、農村部にとってライフラインの確保は農協の大事な仕事であり、同町はこれから力をいれなければならない事業だ」と、JAが取り組むべき重要な役割として強調する。

(写真)
コンビニの中にあるJAあしきたまるごとコーナー

◆「総合力」を生かす

山間地域で喜ばれているコンビニと提携の移動販売車 JAあしきたの本所がある芦北町は、九州でも少ない農業・農村振興の条例「未来につなげる芦北町農林漁業振興基本条例」を制定している。町、農林漁業者および町民がそれぞれ果たす役割を明記し、町全体で農林漁業を発展させる体制づくりを行うことを明記。その中でJAを「6次産業化は農協の出番、町は積極的に後押しする」(竹碕一成町長)と位置付けている。
 高峰組合長は、これからの地域農業はJAが生産農場を運営する必要があると考えている。「JAは、地域において公的性格を強く持っている。生産農場によって、雇用の場を確保し、農地を維持する。それは資金があればできるというものではない。総合事業と、そこで培った加工や販売などのノウハウが欠かせない」と指摘する。

(写真)
山間地域で喜ばれているコンビニと提携の移動販売車

【JAあしきた(熊本県)概況】
○組合員数:1万288人(うち正組合員4363人)
○職員数:302人(うち正職員158人)
○貯金残高:459億円
○長期共済保有高:1851億円
○購買品供給額:33.9億円
○農産物販売額:35.9億円
○直販販売額:7.6億円
(平成25年度末)


(特集目次は下記リンクより)

【特集 食と農、地域とくらしを守るために】農協が地域を創生する

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