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JAの活動:JAは地域の生命線 いのちと暮らし、地域を守るために 2017年今農協がめざすもの

【インタビュー・JA北海道中央会 飛田稔章会長】550万道民をサポーターに2017年1月11日

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「総合農協」こそ北海道農業と暮らしの守り手
聞き手:(一社)北海道地域農業研究所飯澤理一郎所長

 地域に農業が根づき農協がそれを支える礎になっている北海道では、総合農協の機能発揮が地域維持に不可欠だ。「道民550万人をサポーターに」をJA自己改革の目標に掲げた飛田稔章会長に聞いた。(聞き手は飯澤理一郎・(一社)北海道地域農業研究所所長)

 ――昨年のJA北海道大会実践フォーラムで打ち出した「550万人サポーター」にはどんな思いをお持ちでしょうか。

JA北海道中央会 飛田稔章会長 北海道は農業が生活のなかに根づいており、農協が地域住民の生活の礎になっています。しかし、過去に員外利用規制がかけられたことから、みなさんには准組合員になっていただくというかたちで対応してきたわけです。
 それが今度の農協改革では准組合員がなぜこんなに多いのかという問題になった。しかし、とくに北海道では生活を支えていくための非常に重要な機能が農協にあって、准組合員のみなさんとも一緒に運営をしていくという姿勢を持ちながら、農協は経営をしっかりがんばっています。
 そこで、国のいう農協改革とは別に、やはり自らの農協組織について変えるべきことはしっかり変える自己改革をしっかりやろう、それには道民全員にJAの准組合員になってもらうんだという思いで取り組もうということです。
 とくに最近の農協は地域の方々と一体となった農業生産を基本にしなければなりません。さまざまな産業との連携も大切な時代になっていますから、地域と一体となった農協運営が大事です。そこをしっかり見直して、組合員、地域の方々にもそれに目を向けてもらうことが必要です。

 ――消費者に支持される農産物を作ることが大切ですが、そのとき農協改革で議論になった肥料の銘柄集約などの問題についてはどうお考えでしょうか。

(一社)北海道地域農業研究所 飯澤理一郎所長  とにかく生産資材を安くすべきだという話になってしまいましたが、たとえば段ボールにしても流通業者や消費者からのニーズがあるから種類が増えてきたということです。
 肥料は組合員が土壌診断をしっかりしてどういう成分がどれだけ足らないのかをふまえて選択しています。土には必ず違いがある。にもかかわらず、銘柄を集約すれば安くなる、というだけの話ならわれわれはそれに答えていく必要はないと思っています。土が同じではないのに1種類に統一すれば安くなるかもしれませんが、絶対に生産は落ちます。丁寧に農産物を作ろうという思いが薄れていけばわれわれが心がけてきた安心・安全という特徴もなくなっていくかもしれません。
 むしろ肥料を一本化すればいい、などという発想にあるのは競争原理だけです。最低でも500~600haの農地を持てば競争力ある農業ができるといいます。しかし、人がいなくなったらどうやって生活するのか。日本には、やはり地域の方々とともに生きながら農業生産をしていくという基本があると思います。

 ――その点でいえば農協改革の議論のなかで職能組合化という方向が強調されていますが、むしろ地域協同組合的なあり方が必要ではないかと思います。

 農協は原点がしっかりしていないとだめだと思います。それは日本のように農地面積の少ないなかでは総合農協だからこそ農業を継続していけるということです。
 北海道はまだ150年ほどの歴史です。この地に入植し開墾して農地と地域をつくってきたなかで何が大事だったかといえば、やはり資金でした。それをふまえて農協のクミカン、組合員勘定制度が昭和36年にできました。
 ところが規制改革推進会議農業ワーキング・グループは即刻廃止すべきだとの意見を出した。本当に理解していないと怒りが湧きました。同じような制度はクミカンとは言わなくても全国にあります。
 春に種を播いてから秋まで収入がない。そこで組合員にきちんと営農計画書を書いてもらい理事会で査定し組合員にきちんと資金を貸付するから、しっかり経営をしてくれというシステムです。何も組合員を困らせるためにやっているわけではありません。むしろこのクミカンがあるから専業で農業ができる。経営の規模拡大にはどうしても投資が必要ですから。

 ――都府県の農業生産額が減少しているなかで、北海道は農家数4万戸で1兆円をあげています。

 私は1兆5000億円ぐらいの農業生産額にしなければならないと思っています。ただ、北海道も遊休農地が1万haぐらいあります。かなり増えてきており、このうち3000haほどは農地として使えないという状況もありますから、使える土地は有効に活用して生産を上げなければなりません。収入は生産を上げればついてきますから。なかなか難しいことですがやらなければなりません。

 ――そういう農業をつくっていくためにはどこが重要でしょうか。

 北海道でいちばん心配なのは担い手対策です。担い手をどのようにしっかり残していくかです。
 あわせて北海道の特徴を生かした生産体制をしっかり確立をすることです。とくに畑作地帯では輪作体系を守りながら北海道の特徴をどう生かしていくか、より高度な生産体制をつくっていくことです。
 北海道は米でいえば「ゆめぴりか」が高い評価を得ていますが、これは組合員と研究機関のたゆまざる努力の成果です。小麦にしても北海道は組合員が拠出をして研究機関に品種改良してもらっているという取り組みがあります。
 都府県とくらべると10倍の農地を持っていますからそのなかで畑作では輪作体系を守っていくというのがいちばんの基本です。それを守りながら農地をどう活用していくかです。もちろん面積が広いといっても、傾斜のある農地もあれば石が浮いてきたりもします。土地改良事業は欠かせませんが、経営者としてそこに住んで経営する以上、いかにその土地の力を最大に発揮させるかということを常に考えていかなければなりません。

 ――一方で人口減少と過疎化も進むなか、農業の担い手はもちろん地域の担い手を獲得していくことも大事になりますね。

 高齢になると暮らしやすい町中に移らざるを得ないということもありますが、やはり人がいないと人間的な生活はできません。仲間がいてお互い話し合いがあるから生活できる。地域の方々のコミュニケーションがいかに大事かということを私たちもしっかり頭に置かなければなりません。
 総合農協には地域を守るという使命がこれからどんどん大きくなっていくと思います。信用事業の譲渡など信共分離の考えがまた出てきましたが、これにはわれわれは何があっても抵抗します。金融事業は人が生きていくうえで非常に重要で、農協にとっては支所の機能もどう生かすか課題です。
 
 ――地域をどう作っていくか、地域内の相互金融が農協の信用事業の原点だと思いますし、農業振興にとっても、地域自らが新しい作物に挑戦するための融資機能を発揮できるなど役立ちます。

 農協への攻撃は協同組合全体への一手目だと思います。ここでわれわれがしっかり反論し抑えていく必要があります。
 同時にわれわれは農業の楽しさをもっと伝えなければなりません。北海道では4万戸の農家ががんばって生産をしています。農業の最高の喜びはやはり消費者のみなさんにおいしいといって食べてもらうこと、その次は夫婦でともに働けることです。共稼ぎの人はたくさんいますが、別々の仕事をしていることが多いと思います。農業は夫婦で同じ仕事をする。それから自然のなかで夫婦でともに時を過ごすことができる。こんな素晴らしい職業はないと思います。
 そのためにも産業として成り立つ農業でなければ若い人たちは戻ってきませんから、農業のよさをしっかりと伝えていかなくてはなりません。
 昨年は長時間労働や働き方が問題になりましたが、楽しく仕事をすることを考えなければなりません。もちろん農業も楽しいばかりではありません。苦労もあるけれども、そこに楽しさもあるということをみんながもう一度認識したいですね。そういう思いを持ちながら、消費者のニーズがどこにあるか常に知るよう努めなければなりません。

 ――どうもありがとうございました。

(とびた・としあき)
 平成元年幕別町農協理事、10年幕別町農協代表理事組合長、13年北海道厚生農業協同組合連合会理事、14年北海道信用農業協同組合連合会経営管理委員、17年北海道農業協同組合中央会副会長、20年北海道農業協同組合中央会会長。

【インタビューを終えて】
「苦労もあるが、消費者の皆さんが美味しいと食べてくれる。そこに楽しさがある」。わが国切っての食料基地=北海道の飛田会長は言う。それが農業の神髄であり、550万人サポーターへの基盤と言える。また、それは道民の地域生活に寄り添いながら、インフラ機能を担っていくことへの決意表明とも受け取れる。地域から商店、銀行、病院などが消える中で、今、総合力を持つ農協こそがその出番の時を迎えているのかも知れない。(飯澤 理一郎 )

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