【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(097)グローバル化のリアルは足元から2018年9月7日
先日、ある方から聞いた話である。
その方のお子さんが通う中学校では、今年は新入生の約3分の1が外国人であるという。お子さんの部活動について話を聞いたところ、新入部員のうち8割が外国人とのことだ。
この学校は何も特別な教育を実践している学校ではない。極めて普通の公立の中学校だ。しかしながら、学年の3分の1が外国人となると、これまでの学校の活動に様々な影響が出る。当然である。一応、教育言語は日本語だが、外国人新入生の日本語レベルは様々であるし、何よりも物の考え方を含め、親を通じて受ける各々の母国や文化・宗教など日本とは異なる習慣なども存在する。
子供達は抽象論でのグローバル化ではなく、日々の現実として同級生たちと仲良く毎日を過ごしていくためには何をどうすれば良いかがお互いに求められ、学校という組織では、教師・事務職員・給食担当から生徒、そして保護者まで、あらゆるレベルで現実に対応せざるを得なくなる。
山本夏彦氏の名著に『茶の間の正義』がある。世の中では、グローバル化の是非について様々なことが述べられているが、いずれも、先に述べたような現実の前では「茶の間の正義」の感が強い。現場から離れ、自らを心地よい場所に置いた上での是非の論議はまさに「言葉が躍る」だけであり、圧倒的な現実には手も足も出ない。
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さて、法務省の在留外国人統計(2017年12月末時点)によると、全国の外国人数は256万人である。都道府県別に見た場合、10万人以上は7都道府県であり、順に東京(54万人)、愛知(24万人)、大阪(23万人)、神奈川(20万人)、埼玉(17万人)、千葉(15万人)、兵庫(11万人)と、上位7都道府県の合計は163万人、全体の64%を占めている。
さらに、上位7位には含まれないが首都圏(1都6県)として茨城、栃木、群馬を含めた形で見た合計は121万人(全体の47%)と全体の約半数が関東地方に集中している。ちなみに筆者が住んでいる宮城県は全体の20位(2万人)であり、東北6県ですら合計は5.5万人と、静岡(5.6万人)や福岡(7.2万人)、茨城(6.3万人)をはるかに下回る。
統計だけで見れば、外国人が最も多い地域は首都圏、そして関西の中でもとくに大阪・兵庫(この2つで33万人)など人口が集中している地域である。外国人数2万人の宮城県が47都道府県中20位ということは、残りの26県はいずれも2万人未満ということである。
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問題は、こうした統計からは見えてこない様々な現実があることだ。例えば、統計上は県内1万人の外国人と出ていても、そのうち8000人が親の勤務先の工場などの関係で特定の小さな市や町に集中していれば、親族や子供を含め、その自治体が直面するグローバル化の諸問題は、同じ県内の他の自治体とは大きく異なる。それなりに世の中のことを理解した大人が仕事をするために外国に来た場合でもコミュニケーションは難しい。まして、小中学生の場合には、本人達も、そして受け入れる地域社会や学校は逃げられない以上、それなりの覚悟をせざるを得ない。
挨拶やゴミの出し方、地域行事や学校行事への関わり方、掲示版の掲示の出し方や記述言語の種類、相互の文化や宗教への配慮、感情表現の方法など、そこには各地の大学が高らかに掲げる国際交流や異文化交流などという綺麗な表現ではなく、生々しい日々の生活のひとつひとつを通じ、いかにお互いが共存していくかを見つけ出すという「生活上の知恵と妥協」、そしてその実践が求められる。
筆者はある大学で「国際経営」を講じている。学生の多くは海外には関心が無いようだが、実はそこで話す「国際経営」の技術的内容は、今や「国内経営」においてこそ不可欠と感じている。
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