JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】地域ブランドつなぐ 営農経済部門・福岡県・にじ農協組合長 右田英訓氏2025年7月9日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
営農経済部門・福岡県・にじ農協組合長 右田英訓氏
福岡県の我がにじ農業協同組合は、1996年に浮羽町農協、吉井町農協、田主丸町農協の3農協が合併し発足しました。今年合併30年を迎えます。米・麦・大豆をはじめカーネーションやユリ、バラを中心とする施設栽培、イチゴやトマトの施設野菜の生産が盛んです。また山麓地帯では柿やブドウ、梨などの果樹栽培が盛んでJAにじのブランドになっています。特に柿の品種「秋王(あきおう)」は育成当初から生産者としてかかわってきました。2024年度の販売品販売高は81億円を超えました。今後も様々な販売チャネル、トップセールス、契約販売等を継続し所得向上に向けた動きを加速しなければなりません。
私は1959年、右田果樹園の長男として生まれました。物心ついた時から、「英訓が後を継いで果樹園をやるんだ」と言われ続けました。
1981年、東京農業大学を卒業後すぐに就農。元来右田果樹園は「観光柿狩り」発祥の柿園です。両親から引き継ぎ、JA共選にも力を入れた経営を続けています。
就農と同時に青年部活動に参画、にじ青年部の部長、福岡県農青協の委員長を2年勤め、その後青年代表理事を拝命し、JAの経営に初めて参画しました。その後も柿部会副部会長、農政連副委員長そして組織代表理事を経験。多くの先輩方から「百姓が組合長をやるべきだ」と後押しを頂き2018年代表理事組合長を拝命することになりました。
就任して組合員の意見をどうやって営農事業に反映させるかは大きな課題でした。就任2年目機構改革の中で、「担い手支援課」を新設しTACを3人の専任態勢にしました。併せて組合長、専務、常務、部長、金融・経済の課長も参加する「担い手支援合同会議」も新設し、JA内部の横断的な会議体でTACが吸い上げてきた様々な課題に、リアルタイムで判断ができる体制を作りました。成果の一例としてはイチゴやトマトの空きハウスのマッチング、新規就農者の支援、様々な補助事業等の支援、そして鳥獣害対策(イノシシ、シカ等)支援を行っています。
2023(令和5)年7月10日、私の地元は大規模な土石流が発生、1人の方が土石流に巻き込まれ亡くなる豪雨災害に見舞われました。同日災害対策本部を立ち上げ、被災者に「寄り添う気持ちで接していこう」を合言葉に職員は休み返上で対応してくれました。土石流に見舞われた農地、樹園地の土砂の撤去作業には職員やJAグループ福岡から延べ約500人の役職員の方々が応援に駆けつけてくれました。「農家の方々に、ありがとうの言葉を頂きに行こう」と猛暑の中、スコップや一輪車を駆使して頑張っていただいたことに、ただ感謝するばかりです。中でも私どもと友好JAである神奈川県のJAはだのの宮永組合長には大きなご支援を頂きました。この御恩は忘れることができません。
にじの耳納の里20周年イベント20万人達成
農産物直売所「にじの耳納の里」は2024年「20周年」を迎えました。7年前組合長就任時11億円台後半だった販売高が初めて15億円を突破しました。私どもは通過点と位置づけ今後は20億円を目指していきます。直売所は栽培面積が小さい多くの農家・生産者に支えられています。生きがいの創出にもつながります。多くの方々に育てて頂いたことに感謝し、「にじの耳納の里」を進化させていきます。
農業協同組合の原点は「相互扶助」助け合いの心だと信じています。今の時代は「今だけ・金だけ・自分だけ」の考え方がまん延しているかもしれません。私たちは様々な事業を展開する中で、組合員や地域の方々に寄り添う気持ちを忘れてはなりません。
にじ農業協同組合は、合併30年を迎えました。これまで先輩方が築き上げてきた「伝統や文化」、汗水流して築いてこられた「農畜産物のブランド」を次の世代につないでいくことも私たちに課せられた使命です。
【略歴】
みぎた・ひでのり
1959年1月7日生まれ。1999年4月JAにじ青年部部長、2000年4月福岡県JA青年部協議会委員長、2003年6月JAにじ青年理事、2015年4月同柿部会副部会長、2015年6月同農政連田主丸地区委員長、同理事、2021年6月同代表理事組合長。
【推薦の言葉】
地域に根ざした実践
右田氏は東京農大卒業後に就農し、家業で柿・桃の栽培に従事し、地域農業に根ざした実践を続けてきた。柿狩り観光農園の先駆けとして地域の魅力を発信し、農業の価値を広げた。また、JAにじ青年部活動を機に、青年層と協働で組織づくりに尽力し、現場の声に耳を傾けながら信頼を築いた。
特に苗づくりに強くこだわり、気候風土に合う高品質な果実の安定供給と収益向上に貢献し、加工品開発や直売所を通じて付加価値を高め、さらに消費者とのつながりを強化。経営の持続可能性を追求し、農業の多様化を実現している。現在はJAにじの代表理事組合長として、意見交換会や研修で一体感ある組織運営を行い、組合員との対話を重視している。行政や関係団体と連携し、地域に根差した農業政策を提言し、地域農業の未来を見据えた取り組みを牽引している。
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