移植苗のリン浸漬処理でイネ増収と冷害回避に効果 アフリカの安定イネ生産に貢献 国際農研2020年4月24日
国際農研は4月23日、マダガスカル国立農村開発応用研究センターと共同の研究で、移植苗のリン浸漬処理がリン欠乏圃場でのイネ増収と生育日数の短縮につながることを解明したと発表した。また、生育日数が短縮することで、生育後半の低温ストレス回避につながることを実証した。同実証により、リン欠乏や低温ストレスに悩まされるアフリカの安定的イネ生産への貢献が期待される。
マダガスカルは、日本人の2倍以上のコメを消費するアフリカ随一の稲作国。しかし、イネの生産性は停滞しており、主食であるコメの安定供給と農村地域の貧困削減を妨げている。その結果、マダガスカルは、国民の77%が1日1.9ドル未満で暮らす世界の最貧国の一つに数えられている。
イネの生産性を阻害する要因として、農家が貧しいために肥料を購入する資金が少ないことや、栄養が乏しい土壌が広く分布していることが挙げられ、特に、作物の三大栄養素の一つであるリンは、土壌中の存在量が少ない。また、土壌のリン固定能が高いために、施肥をしても土壌に吸着し、イネに吸収されにくいという問題があった。
そこで、同研究は、かつて日本で実践されていた揉付(もみつけ)などにもヒントを得ながら、リン固定能の高い土壌でも、少ない肥料で効率的にイネの生産性を改善できる施肥技術の開発をめざした。
同研究で着目したリン浸漬処理は、リン肥料(重過リン酸石灰)と水田土壌を混合した泥状の液体(スラリー)に苗の根を30分程度浸してから移植する、小規模農家にも実践しやすい局所施肥技術の一つ(図1)。 マダガスカルの農家のほ場で、2年間にわたり同技術の効果を評価したところ、リン浸漬処理を施すだけで、無施肥に比べて59~171%、表層施肥に比べて、同量もしくは半分の施肥量で9~35%、籾収量が増加することを確認。リン固定能の高い熱帯の貧栄養土壌でこの技術の効果が高いことが明らかになった(図2、1)。
さらに、リン浸漬処理は、無施肥に比べて約3 週間、表層施肥に比べて約10日間、イネの生育期間を短縮できることが分かった。
その結果、同技術は、標高の高い地域における生育後半の低温ストレスを回避し、イネの登熟不良の改善にも有効であることが示された(図2 、2)。
リン欠乏がイネの発育を遅延させることはよく知られているが、同研究では、リンの施肥法の違いにより顕著に生育日数が変化することがわかった。それにともない、環境ストレスが回避できることも生産現場で初めて実証することに成功した。
マダガスカルをはじめ、サブサハラ地域のイネ生産は、リン欠乏のみならず、水不足や低温・高温ストレスなど生育期間中の様々な環境ストレスにさらされている。同成果は、こうした栽培環境での安定的なイネ生産にもつながることから、学術的にも実用的にも価値が高いといえる。
この成果は、マダガスカルの現地メディアにも広く取り上げられ、農家や行政機関の関心が高まっている。
今後は、マダガスカルの共同研究機関、農業畜産水産省、肥料会社、JICA技術協力プロジェクトPAPRIZ2などと協力し、数百世帯の小規模農家を対象とした実証試験を予定。実証試験で得られたデータを基に、同技術の効果や農家が実践する上での課題を抽出し、技術の汎用化と広域への普及をめざす。
同技術が普及することで、マダガスカル政府が掲げる2023年までのコメの自給達成や、同様の生産課題を抱えるサブサハラ地域の安定的なイネ生産と、同地域の食料安全保障や貧困の削減への貢献が期待される。
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