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奇跡のリンゴVS植物工場2016年4月14日

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【加藤一郎(前全農代表理事専務)】

 「奇跡のリンゴ」で名高い自然栽培の木村秋則氏と植物工場の先駆者である古在豊樹氏NPO植物工場研究会理事長(前千葉大学長)は180度異なる分野で活躍されている方である。しかし180度異なるとは、角度は異なるものの植物との接し方には多くの共通点がある。

◆木村秋則氏との出逢いと自然栽培認証事業

 法律の専門家と農業の専門家が同じ事務所にいるとの理由から、農水省の友人から木村秋則氏を紹介された。木村氏が指導している自然農法認証事業の支援依頼である。私は適正に施肥・散布すれば化学肥料、農薬の使用は安全性、環境保全上問題がないとの立場でこれまで仕事をしてきた。また古在理事長のもと、密閉型植物工場の設置運営支援事業をしている者にとって"奇跡"の言葉には違和感があった。したがって木村氏に会う前では、お断りする予定だった。初めて木村氏にお会いした日は私にとって衝撃だった。木村さんの笑顔に引き込まれ、植物に対する深い洞察と愛情に感銘を受けた。木村氏に協力したいと心から思った。
 現在、中島弁護士とともに関係者と「木村式自然栽培認証委員会」を立ち上げ全国の木村氏の自然農法を実践している生産者団体の生産工程認証と生産物の認証を通じ木村式自然農法のブランド化と同農法の学問的な究明を目指している。諮問機関として、千葉大学の中牟田教授(植物保護学)犬伏教授(土壌学)からなる第三者委員会を設置した。
 
◆古在氏と木村氏は植物と会話をしている。

 木村氏の著書「わたくしの畑の小さな世界」(エスプレスメディア出版)はファーブルの「昆虫記」を彷彿させる畑の昆虫に対して「かけがえのないもの。失いかけた大切なことがここにある。」と語りかけ「生きものを育てることは、その植物との間に信頼関係が生じる。」と書かれている。
 古在氏の著書「幸せの種はきっと見つかる」(祥伝社)は氏の幼少期の苦難な時代に「小動物、植物が教えてくれたフェアな心」を学び、「常識を疑うことから創造が始まる」とし、「好きなことはあらゆる進歩、向上の原動力」と書かれている。
 両氏はともに筆舌に尽くしがたい困難期のなかで、植物と昆虫と会話を続けたことが共通している。両氏とも多忙な日々過ごされているが、両者の対談の機会を是非とも作りたいと考えている。

◆ストレスは植物の機能を強化する。

 モロッコのリン鉱石(全農は肥料原料として輸入)鉱山を経営する会社の役員の子息が採掘跡地(夏には53度にもなる灼熱の土漠)に周囲の反対を押し切りオリーブを植え付けた(米国では採掘跡地の緑化が義務付けられている)。結果は半数のオリーブが枯死した。生き残ったオリーブの果実も少なかった。しかし果実を分析したところ通常のオリーブの30倍のポリフェノールと抗炎症作用に優れたオレオカンタールを豊富に含んでいることが判明し高機能オリーブとして脚光を浴びている。(我が国では生活クラブスプリット社がオリビエプラス30Xオイルとして通信販売を開始)
 植物は取り巻く環境からストレスを受けると様々な自衛手段を身に着け、機能性を高める。植物工場でも特定成分や糖度を上げる手法として人工的にストレスをかける手法が取られる。木村氏の「奇跡のリンゴ」として取り上げられた無農薬、一般栽培で利用される肥料を使用しない栽培手法もリンゴの樹が強いストレスを受けても耐え続け、生き残るためについに結実した結果とも云える。木村農園のリンゴは「樹の実」と呼んでいる。
 
◆木村秋則自然農法とJAグループ

 木村氏の自然農法を実践する農家は全国で毎年拡大してきている。岡山ではNPO岡山県木村式自然栽培実行委員会(高橋啓一理事長)はJA岡山等4JA、全農岡山県本部と連携してお米の在来種の「朝日」を栽培し、東京、岡山の寿司屋さん、百貨店の高島屋さんなどで販売し、昨年度105戸、約2900俵、70haに達した。反収は減収(7~8俵)するものの生産者価格は2万円を超える単価となった。これまでのお米の品種改良は食味の向上と栽培の容易さを追求してきた。その意味では化学肥料の感受性が大きく貢献してきたと考える。しかし最近は寿司米など業種にあったお米を求める動きが顕在化し「朝日」「銀坊主」「ササシグレ」「ムツニシキ」などの在来種を求める機運が高まってきている。木村式自然農法はこれら在来種の栽培に向いている。
 消費者、外食業者の求めるお米も多様化してきている。また地域営農振興もこの多様化に対応することが重要であり、貴重な経営資源である営農指導員をもつJAと木村秋則自然農法との連携は新たな事業戦略の一つになると思う。

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