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コラム:TPPから見える風景

【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

2017.03.09 
行方の定まらないメガEPAとトランプ政権の影一覧へ

 2月17日、早期大枠合意の途を探ろうとした岸田外相とEUマルムストロ-ム委員との会談も、前進・早期合意を確認したものの次回日程も決まらないまま終わった。また2月27日―3月3日のRCEP第17回会合も新たに合意した分野がないまま、次回フィリピンの日程を確認して幕を閉じた。後景に退いたTPPを気にしなくてもよくなった国、TPPで得られなかったものを新たな市場で確保しようとする国、思惑は様々だろうが、メガEPAを巡る各国の動き、特にTPP署名国の動きには確信が見られない。

◆盛り上がりを感じさせないメガEPA交渉会合

盛り上がりを感じさせないメガEPA交渉会合

 2月、前進を期待された日欧EPA(17日)閣僚級会談、第17回RCEP交渉官会合(2月27日~3月3日)が開催され、国会の予算委員会では日米新経済対話についてのやり取りもあった。
 しかし、15年夏~秋~16年2月迄、テレビ・新聞でTPPが連日紙面をにぎわしていたことと比べ、嘘のような静けさだ。そしていずれの交渉もその行く末について明確な方向性は示されていない。神戸で1週間に渡って開催されたRCEPでは日本の登録メディアは18社とのことだが、海外でのTPPの会合に100人近くが日本から登録していたのに比べるとメディアの取材に掛ける意気込みも雲泥の差だ。テレビで詳細が取り上げられた記憶はないし、新聞も地元の神戸新聞を除けば、1週間の会合にも拘わらず2度以上紙面を飾った記憶は無い。そして政府は保秘義務契約も結んでいないのに、TPP以上の秘密主義に徹している。
 TTIP、TISAも、多分トランプ政権の立ち位置が見えてこない限り、交渉再開の目途は立たないのだろう。
 そして3月中旬のチリでの野心的な、と見えた太平洋同盟+米国を含むTPP参加国+中韓の閣僚・ハイレベル会合も、日程を見ると太平洋同盟の閣僚会合が14日の2時間、TPP参加国の会合は15日のワ-キングブレックファスト1時間、参加国全体の会合(と思われるもの)が15日の3時間+15日午後のワ-キングランチ2時間、まとめの会合が1時間といったところだ。
 米国の参加もほぼ確定したようだが出席者はまだ発表されていない。日本からは、内閣府、経産省、外務省から副大臣が出席すると報道されている。この会合はTPP参加国の今後の方向性、太平洋同盟としてはアジアへの拡大を探るものとされていた。TPP寄託国NZのマックレイ貿易相が2月上旬に各国歴訪をした際の意図もそこにあったはずだった。しかし、日米のスタンスからは、それにふさわしい議論が出来るのか、疑問を禁じえない。

◆"日米経済対話"の影はないだろうか?

 EUでは、日欧EPAについても"コンサルテ-ション"という形での対話がもたれている。そこに参加した市民から、残るいくつかの日欧の争点に関連して「日米2国間協議が見えてこないと日本は大胆な譲歩に踏み込めないのではないか?」とのコメントが伝えられてきている。
 国会での政府と野党のやりとりでも、政府はトランプ政権が早い段階での果実を求めてくることを覚悟しつつも、未だ日米2国間協議をどう進めるべきか諮りかねているとしか思えない。世耕経産相も早期に訪米をして、ロス商務長官と4月のペンス副大統領訪日の準備をしたいという段階だ。そして米新政権の体制も確立しないままでいる。

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