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【小松泰信・地方の眼力】ポテチが教える不都合な現実2017年4月12日

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【小松 泰信 (岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 参考人として陳述したが力及ばず、農業競争力強化支援法案は4月6日の衆院農林水産委員会において与党などの賛成多数で可決された。そして11日、衆院本会議における自民、公明、維新の賛成多数により衆議院を通過した。

◆農業農協解体切り売り法案

 第5条(農業者等の努力)に関して、「ものすごく違和感のある条文...。こういう条文が自由主義経済のこの我が国で法案として成立するというのは、もう私には信じられない」、さらに、"一昔前なら法制局を通らない"と、参考人質疑において岸本議員(民進党、元大蔵・財務官僚)は酷評した。
 日本農業新聞(4月6日)によれば、5日に行われた同委員会の質疑において、自民党の福田議員ですら「法案は民間事業者を主な対象としているが、第5条で農協にも努力義務が課されている。農協法で既に農協に対する努力義務が課されている。全農も自主改革をつくっている。さらに追い打ちをかけるようだが、何か強制する意図があるのか」と質した。齋藤健農水副大臣は「国が全農や農協に対して新たに何かを強制する意図はない。全農が自己改革を通じて農業者の立場に立ち、共同購入のメリットを最大化した資材の調達や、農産物の販売体制の強化などに取り組んでくれることを大いに期待している」と答えている。
 「農業者やJAに農業資材価格の引き下げの努力義務を課すことに『罰則もなく指導の根拠にもならないなら、この条文の存在意義は何か』」という重徳議員(民進党)の指摘(日本農業新聞4月4日)は、だれもが抱く疑問である。
 農協改革から本法案、そして手ぐすね引いて待ち構える信用事業問題までの一連の流れを冷静に見る時、政府・与党と農水官僚には、わが国の農業を国民の食料主権を守るために持続的な根強い農業にする、という姿勢は皆無であることがわかる。規制改革推進会議をドリルの刃先にした安倍ドリルによって、小分けにされた岩盤規制は国内外の民間に切り売りされる。それも"良質かつ低廉"で"有利な条件"を備えた商品として。
 よって本法案は、鈴木宣弘氏が言う"農業弱体化法案"にとどまらず、"農業農協解体切り売り法案"と位置づけられる。

◆"姿消すポテチ"が近未来の食料事情を暗示する

 「昨夏の台風で原料難... 姿消すポテチ カルビー、湖池屋 販売一部終了や休止」という見出しに目を奪われた(山陽新聞4月11日)。ジャガイモ主産地の北海道十勝地方などに深い爪痕を残した昨年6月の長雨や8月の台風によって、原料のジャガイモが不作で例年と同程度の量を確保するのが難しいため、カルビーと湖池屋が一部のポテトチップの販売終了や休止を相次いで決めた。カルビーは原料の大半を占める北海道産の減少を受けて米国産の輸入量を増やしたが、品質が不十分なものが多く、カバーしきれなかった。湖池屋は国産100%にこだわっており、販売の見直しが避けられないと判断した。
 この現実は、"フリマで一袋500円 販売休止で一気にプレミアム化"といった軽いフレーズで、ワイドショーなどにも取り上げられている。しかし、決して軽い話ではない。農水省はこの惨地化した大産地の復旧のために、十分なフォローやケアをしたのだろうか。目の前に突きつけられている彼らにとっての不都合な現実は、近い将来、"貧困なる農政"が国民にもたらすであろう災禍のプロローグである。

◆ブラックユーモアですね、農水省のビジョン・ステートメント

 村岡議員(民進党)は、前述した5日の同委員会の質疑において、「昨年6月の週刊ダイヤモンドで、農水省の奥原(正明)次官が『農業が産業化し、農水省がいらなくなるのが理想だ』と言っているが。大臣も同じ考えか」と質した(日本農業新聞、4月6日)。週刊誌の記事が出て以降、本人が公式的に抗議をしたとか否定したという話は聞かない。だとすれば記事を信じる。この発言の主が次官の椅子に座っている省から、まともな政策が出されるわけがない。
 農水省管理職の名刺の裏に、"ビジョン・ステートメント"と銘打って、「わたしたち農林水産省は、生命(いのち)を支える『食』と安心して暮らせる『環境』を未来の子どもたちに継承していくことを使命として、常に国民の期待を正面から受けとめ時代の変化を見通して政策を提案し、その実現に向けて全力で行動します」と書かれている。できの悪い、ブラックユーモア。奥原さんこそこのステートメントを拳拳服膺(けんけんふくよう)すべきである。週刊ダイヤモンドの言葉になぞらえれば、「農業を惨業化させないために、奥原次官が農水省からいなくなることが理想だ」となる。

◆張り子の虎の威を借る狐と議員の責任

 日本農業新聞(4月8日)の一面は、「規制会議 全農の進捗管理徹底 議論再開 信用事業にも関心」という見出しで、規制改革推進会議が7日に再開されたことを伝えている。「きょうが新たなスタートだ」と張り切る金丸座長は、安倍・菅という張り子の虎の威を借る狐と化して、「改革を推進する方が選ばれることを期待する」と、全農の役員人事に口を出す。実は、『文藝春秋』(5月号)でも、「今年は、全中会長や全農会長の交代期です。農業者の期待や意思を反映し、開かれた選挙で自己改革を強力に推進する方が組織の会長に選ばれることを切に願っております」と、全中会長人事に言及している。何様のおつもりですか。
 これに対して自民党議員からも「協同組合への人事介入はやめるべき」「協同組合の自己決定権を侵害するもので許されない」との批判が出ている(日本農業新聞、4月11日)。さらに、同紙12日は、2016年度食料・農業・農村白書の記述に、規制会議の意向が色濃く出ていることへの不満が、同党議員から噴出していることを伝えている。
 悪名高き同会議は、"獅子身中の虫"になりつつあるようだ。政権与党の議員たちには、狐にだまされないようたっぷりと眉に唾をつけることをおすすめする。自業自得とまでは言わないが、票の重みを自覚せよ、という意味を込めて言ってやる。
 「地方の眼力」なめんなよ

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